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アメリアの目の前でアルフード様が優雅にお茶を飲んでいる。
アメリアは混乱していた。
何がいけなかったのかさっぱりわからない。
あのお茶会からすぐにアルフードとアメリアの婚約は成立してしまった。
あの時の私を見て王妃様がどうして婚約に許可を出したのかわからない。
「アルフード様、こんな頻繁に会わなくても良いのではないですか?お忙しいでしょう?」
今回のアルフード様もものすごく積極的だ。
何かある毎にこうやってお茶会などの招待を受けた。
「もうすぐ妃教育が始まって頻回には会えなくなるのですから、今のうちに会っておきたいのですよ。」
アルフード様は笑う。
そう、もうすぐ王城で妃教育を受けに行くことになっている。
その中には王妃様との勉強もある。
前はあんなに大好きだった王妃様なのに、お茶会で冷たい視線を受けられてからあの目が怖くなっていた。
そんな私の様子を感じ取ったのかアルフード様はさらに優しい声を出した。
「大丈夫ですよ。母はあなたの事を心配はしていましたが、嫌ってはいませんよ。いつも通りのアメリア嬢なら問題ありません。」
いつもの?
どうしてアルフード様は私を知っているの?
「アルフード様とお茶会以前に会ったことがありますか?」
アメリアは一番気になっていた事を聞いた。
アルフード様はニコリと笑って
「それは内緒です。ですが、私はアメリア嬢をずっと好きでした。こうやって婚約者になれて嬉しいです。」
アルフード様が私の事を好きだった?
そんな事があるの?
私が婚約を希望したからアルフード様は公爵家である私の実家に遠慮していたのだと思っていた。
違うわ、好意を示してくれたのは目の前のアルフード様だもの。
一番最初のアルフード様より2度目のアルフード様は婚約に積極的だった。
3度目のアルフード様は私を初めて好きだと言ってくれた。
だんだんとアルフード様も変わっている?
なぜ?
私が変わったから?
2度目のアルフード様は迷いもなく平民となった。
ならこのアルフード様はどうなるの?
もうアルフード様の迷惑になりたくないのに…
アルフード様の好意に何も返答する事ができないまま、お茶会は終わった。
「アルフードの言った通りなのね。完璧よ。」
王妃様の教育の日、わざとにできない振りをするのをやめた。
そうしたってアルフード様の婚約者になってしまった。
多忙の王妃様の時間を無駄に使うのが申し訳なかったからだ。
「はい、申し訳ありません。」
頭を深く下げたまま、あげる事ができなかった。
どうしてそんな事をしたのか聞かれても返答に困るから。
「頭をあげて。大丈夫よ、あなたの事を咎めはしないわ。アルフードは迷惑をかけていないかしら?何かあればすぐに言ってくれていいのよ。」
顔を上げると王妃様は困ったような顔をしていた。
「いえ、とても優しくしてくださいます。私がアルフード様に釣り合わないだけです。」
アメリアは慌てて王妃様に返答する。
正直、アルフード様の気持ちは嬉しかった。
だけど、私にはアルフード様の気持ちに応えられない。
私よりアルフード様にはお似合いの令嬢がいるはずなのだ。
どこで私を見初めたかはわからないが、そんな一時の気の迷いに人生をかける必要などない…
平民になるなど以ての外だ。
前回、私がアルフード様を平民にした。
今回も迷惑をかけないとは限らない。
王妃様は私の戸惑いを感じ取ったのだろう、少し表情が硬くなった。
人の気持ちに敏感なお方だから…
前の人生の時も私の態度がおかしければすぐに気付いてくれた。
「アメリア嬢、アルフードは本気よ。あの子を見捨てないでやって。」
この国の安寧のために…という言葉を王妃は飲み込んだ。
アメリアは混乱していた。
何がいけなかったのかさっぱりわからない。
あのお茶会からすぐにアルフードとアメリアの婚約は成立してしまった。
あの時の私を見て王妃様がどうして婚約に許可を出したのかわからない。
「アルフード様、こんな頻繁に会わなくても良いのではないですか?お忙しいでしょう?」
今回のアルフード様もものすごく積極的だ。
何かある毎にこうやってお茶会などの招待を受けた。
「もうすぐ妃教育が始まって頻回には会えなくなるのですから、今のうちに会っておきたいのですよ。」
アルフード様は笑う。
そう、もうすぐ王城で妃教育を受けに行くことになっている。
その中には王妃様との勉強もある。
前はあんなに大好きだった王妃様なのに、お茶会で冷たい視線を受けられてからあの目が怖くなっていた。
そんな私の様子を感じ取ったのかアルフード様はさらに優しい声を出した。
「大丈夫ですよ。母はあなたの事を心配はしていましたが、嫌ってはいませんよ。いつも通りのアメリア嬢なら問題ありません。」
いつもの?
どうしてアルフード様は私を知っているの?
「アルフード様とお茶会以前に会ったことがありますか?」
アメリアは一番気になっていた事を聞いた。
アルフード様はニコリと笑って
「それは内緒です。ですが、私はアメリア嬢をずっと好きでした。こうやって婚約者になれて嬉しいです。」
アルフード様が私の事を好きだった?
そんな事があるの?
私が婚約を希望したからアルフード様は公爵家である私の実家に遠慮していたのだと思っていた。
違うわ、好意を示してくれたのは目の前のアルフード様だもの。
一番最初のアルフード様より2度目のアルフード様は婚約に積極的だった。
3度目のアルフード様は私を初めて好きだと言ってくれた。
だんだんとアルフード様も変わっている?
なぜ?
私が変わったから?
2度目のアルフード様は迷いもなく平民となった。
ならこのアルフード様はどうなるの?
もうアルフード様の迷惑になりたくないのに…
アルフード様の好意に何も返答する事ができないまま、お茶会は終わった。
「アルフードの言った通りなのね。完璧よ。」
王妃様の教育の日、わざとにできない振りをするのをやめた。
そうしたってアルフード様の婚約者になってしまった。
多忙の王妃様の時間を無駄に使うのが申し訳なかったからだ。
「はい、申し訳ありません。」
頭を深く下げたまま、あげる事ができなかった。
どうしてそんな事をしたのか聞かれても返答に困るから。
「頭をあげて。大丈夫よ、あなたの事を咎めはしないわ。アルフードは迷惑をかけていないかしら?何かあればすぐに言ってくれていいのよ。」
顔を上げると王妃様は困ったような顔をしていた。
「いえ、とても優しくしてくださいます。私がアルフード様に釣り合わないだけです。」
アメリアは慌てて王妃様に返答する。
正直、アルフード様の気持ちは嬉しかった。
だけど、私にはアルフード様の気持ちに応えられない。
私よりアルフード様にはお似合いの令嬢がいるはずなのだ。
どこで私を見初めたかはわからないが、そんな一時の気の迷いに人生をかける必要などない…
平民になるなど以ての外だ。
前回、私がアルフード様を平民にした。
今回も迷惑をかけないとは限らない。
王妃様は私の戸惑いを感じ取ったのだろう、少し表情が硬くなった。
人の気持ちに敏感なお方だから…
前の人生の時も私の態度がおかしければすぐに気付いてくれた。
「アメリア嬢、アルフードは本気よ。あの子を見捨てないでやって。」
この国の安寧のために…という言葉を王妃は飲み込んだ。
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