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魔女の家の扉をトントントンと叩く。
ギギギッと音を鳴らしながら扉が開く。
「また来たのかい。今度は何の用だい?」
ガラガラ声の魔女はアメリアの事を覚えていた。
「もう一度時間を戻してください。お願いします。」
アメリアは深々と頭を下げた。
「金次第だ。私の噂は聞いているのだろう?」
ニヤリと魔女は笑う。
何でも願いを叶える魔女。
ただし金額により叶えてくれる内容から変わる。
「お金は少ないですが、この髪の毛は売れると聞きました。これではダメですか?」
アメリアはカフェで働いたお金と三つ編みしている自分の髪を見せながら魔女に聞いた。
「…いいだろう。前回もたんまりもらったし、おオマケしといてやるさ。」
アメリアは髪を切り魔女に渡した。
長く綺麗な髪は皆からいつも褒められていたアメリアが唯一自慢できるものだった。
短く切った髪を触りながらアルフード様が「アメリアの髪はいつでも綺麗ですね。キラキラしています」と言ってくれていた事を思い出していた。
魔女はニヤッと笑うとまたパァと周囲が明るくなる。
「前回と同じところからスタートだ。頑張りな。」
遠くで魔女の声を聞き、そこでアメリアの意識はなくなった。
そして…
またアメリアは8歳の頃に戻っていた。
今回は失敗しないようにしなくちゃ。
アメリアは決意していた。
今度こそ、アルフード様の婚約者にはならないと。
アルフード様や王妃様達に嫌われるように振る舞えばいいのよ。
そうすれば、アメリアを婚約者に押す事はしないはず。
「そうと決まれば、やる事があるわ。」
アメリアはベットから起きだして侍女を呼んだ。
「アメリア様、今日は朝が早いですね。そんなに王子様とのお茶会が楽しみなのですか?」
侍女のマリアは微笑みながらアメリアの着替えを手伝っていた。
楽しみ…そうね。前はとても楽しみだったわ。
今はただ、アルフード様を見るだけで辛くなる。
「お茶会に着ていくドレスを変えるわ。」
アメリアはドレスや化粧、香水の指示を出した。
「それではアメリア様の良さが消えてしまいます。」
マリアは指示を聞いて焦った。
プンプンと臭うつけすぎた香水、どぎつい化粧、ドレスは派手なデザインだった。
王家に呼ばれたお茶会に行く格好ではない。
アメリアは8歳の子供には似つかわしくないものをあえて選んだ。
アルフード様が良いと言っても王妃様が私を認めないはずよ。
不敬にならない範囲でお茶会を壊して、もう呼ばれないようにしなくては。
まだ子どもだからちょっとくらい非常識でも許されるわ。
そうアメリアは思っていた。
ギギギッと音を鳴らしながら扉が開く。
「また来たのかい。今度は何の用だい?」
ガラガラ声の魔女はアメリアの事を覚えていた。
「もう一度時間を戻してください。お願いします。」
アメリアは深々と頭を下げた。
「金次第だ。私の噂は聞いているのだろう?」
ニヤリと魔女は笑う。
何でも願いを叶える魔女。
ただし金額により叶えてくれる内容から変わる。
「お金は少ないですが、この髪の毛は売れると聞きました。これではダメですか?」
アメリアはカフェで働いたお金と三つ編みしている自分の髪を見せながら魔女に聞いた。
「…いいだろう。前回もたんまりもらったし、おオマケしといてやるさ。」
アメリアは髪を切り魔女に渡した。
長く綺麗な髪は皆からいつも褒められていたアメリアが唯一自慢できるものだった。
短く切った髪を触りながらアルフード様が「アメリアの髪はいつでも綺麗ですね。キラキラしています」と言ってくれていた事を思い出していた。
魔女はニヤッと笑うとまたパァと周囲が明るくなる。
「前回と同じところからスタートだ。頑張りな。」
遠くで魔女の声を聞き、そこでアメリアの意識はなくなった。
そして…
またアメリアは8歳の頃に戻っていた。
今回は失敗しないようにしなくちゃ。
アメリアは決意していた。
今度こそ、アルフード様の婚約者にはならないと。
アルフード様や王妃様達に嫌われるように振る舞えばいいのよ。
そうすれば、アメリアを婚約者に押す事はしないはず。
「そうと決まれば、やる事があるわ。」
アメリアはベットから起きだして侍女を呼んだ。
「アメリア様、今日は朝が早いですね。そんなに王子様とのお茶会が楽しみなのですか?」
侍女のマリアは微笑みながらアメリアの着替えを手伝っていた。
楽しみ…そうね。前はとても楽しみだったわ。
今はただ、アルフード様を見るだけで辛くなる。
「お茶会に着ていくドレスを変えるわ。」
アメリアはドレスや化粧、香水の指示を出した。
「それではアメリア様の良さが消えてしまいます。」
マリアは指示を聞いて焦った。
プンプンと臭うつけすぎた香水、どぎつい化粧、ドレスは派手なデザインだった。
王家に呼ばれたお茶会に行く格好ではない。
アメリアは8歳の子供には似つかわしくないものをあえて選んだ。
アルフード様が良いと言っても王妃様が私を認めないはずよ。
不敬にならない範囲でお茶会を壊して、もう呼ばれないようにしなくては。
まだ子どもだからちょっとくらい非常識でも許されるわ。
そうアメリアは思っていた。
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