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公爵令嬢のアメリアは第二王子アルフードの婚約者。
そんなアメリアには悩みがある。
それは‥婚約者のアルフードが優秀すぎるのだ。
アルフードは美男子で学業や剣術にも優れている。何でも完璧にこなしてしまう。
その横に立つ予定のアメリアの取り柄は‥
公爵令嬢としてのマナーや可愛らしさはあるものの人の目を引く美貌や話術がある訳でもなく、特別頭が良い訳でもない。
人より秀でたものが何もなかった。
可もなく不可もない令嬢。
普通ならそれで良かったのだが、婚約者が完璧な王子様だ。
余計にアメリアができないように見えてしまう。
『落ちこぼれのアメリア様』
皆が影でクスクス笑っているのをアメリアも知っている。
アメリアだって陰口を叩かれるのに納得している訳ではない。
だが、どんなに頑張ったってアルフードのようにはできない。
人を惹きつける容姿も人望もないのは私のせいではないのにと言いたい。
こればっかりは生まれ持ったものも多く、努力ではどうにもならない。
努力で何とかなるなら、朝から晩まで家庭教師について勉強し続けているアメリアは報われるべきなのだ。
そんなアメリア相手にもアルフードは婚約者としていつも微笑みを向け、大切に扱う。
だからこそ、アメリアは自分の不甲斐なさが余計に許せない。
自分が笑われるということはアルフード様の顔に泥を塗っているのと同じだ。
「アルフード様から身を引かないと‥」
アメリアはアルフードが大好きだった。
彼の迷惑となるのだけは避けたい。
だが、アルフードは王子だ。
アメリアの実家より格上のアルフードとの婚約破棄はできない。
向こうから婚約破棄をしてもらわなければならない。
「アルフード様に好きな人ができないかしら?」
そうすれば、私が応援してあげるのに。
アルフード様の横で別の令嬢が笑っているのは少し胸が痛いけれど、私が迷惑をかけるよりも何倍もまし。
「アルフード様、どのようなタイプの女性が好みですか?」
直球で聞いてみる。
「なぜ、そのような事を聞くのですか?」
アルフードは不思議そうに質問を返す。
「私もアルフード様の好みの女性となりたいので。」
ニッコリ笑ってアルフード様に言う。
少し照れたようにアルフード様は笑った。
このはにかんだ笑顔が大好きだ。
「私は婚約者にそのように思われて幸せですね。私の好みはアメリア嬢なので何も変わらなくても良いですよ。」
アルフードが天使の微笑みとセリフを向けてくる。
何で何もできない私にこんなに優しいのか。
私の不出来さに後釜を狙う令嬢達が多いことも知っている。
アルフード様ももっといい令嬢がいっぱいいるのに、どうして婚約破棄をしてくれないのか。
はぐらかされて話が終わってしまうので、結局アルフードの好みはわからず、婚約者のいない友人達をアルフードに引き合わせた。
アルフードはアメリアを立てて笑顔で友人達と話はするが親密になることはない。
それどころか、アメリアを友人達の前でも大切に扱う。
「アメリア嬢と一緒にいるのが一番幸せです。」
普通ならそんな風に言われると嬉しいところだが、何とか婚約破棄をしたいアメリアから見ると不思議でしょうがなかった。
「女性はお好きではないのでしょうか?」
実は男性が好きかもしれないと幼馴染の貴族令息達とアルフードに引き合わせるが、それもうまくいかない。
「彼らはアメリアとどういう関係ですか?どうして私に会わせるのですか?」
普段は穏やかなアルフードを怒らせたのがわかり、アメリアはもう男性と会わせるのは止めようと思った。
そんなアメリアには悩みがある。
それは‥婚約者のアルフードが優秀すぎるのだ。
アルフードは美男子で学業や剣術にも優れている。何でも完璧にこなしてしまう。
その横に立つ予定のアメリアの取り柄は‥
公爵令嬢としてのマナーや可愛らしさはあるものの人の目を引く美貌や話術がある訳でもなく、特別頭が良い訳でもない。
人より秀でたものが何もなかった。
可もなく不可もない令嬢。
普通ならそれで良かったのだが、婚約者が完璧な王子様だ。
余計にアメリアができないように見えてしまう。
『落ちこぼれのアメリア様』
皆が影でクスクス笑っているのをアメリアも知っている。
アメリアだって陰口を叩かれるのに納得している訳ではない。
だが、どんなに頑張ったってアルフードのようにはできない。
人を惹きつける容姿も人望もないのは私のせいではないのにと言いたい。
こればっかりは生まれ持ったものも多く、努力ではどうにもならない。
努力で何とかなるなら、朝から晩まで家庭教師について勉強し続けているアメリアは報われるべきなのだ。
そんなアメリア相手にもアルフードは婚約者としていつも微笑みを向け、大切に扱う。
だからこそ、アメリアは自分の不甲斐なさが余計に許せない。
自分が笑われるということはアルフード様の顔に泥を塗っているのと同じだ。
「アルフード様から身を引かないと‥」
アメリアはアルフードが大好きだった。
彼の迷惑となるのだけは避けたい。
だが、アルフードは王子だ。
アメリアの実家より格上のアルフードとの婚約破棄はできない。
向こうから婚約破棄をしてもらわなければならない。
「アルフード様に好きな人ができないかしら?」
そうすれば、私が応援してあげるのに。
アルフード様の横で別の令嬢が笑っているのは少し胸が痛いけれど、私が迷惑をかけるよりも何倍もまし。
「アルフード様、どのようなタイプの女性が好みですか?」
直球で聞いてみる。
「なぜ、そのような事を聞くのですか?」
アルフードは不思議そうに質問を返す。
「私もアルフード様の好みの女性となりたいので。」
ニッコリ笑ってアルフード様に言う。
少し照れたようにアルフード様は笑った。
このはにかんだ笑顔が大好きだ。
「私は婚約者にそのように思われて幸せですね。私の好みはアメリア嬢なので何も変わらなくても良いですよ。」
アルフードが天使の微笑みとセリフを向けてくる。
何で何もできない私にこんなに優しいのか。
私の不出来さに後釜を狙う令嬢達が多いことも知っている。
アルフード様ももっといい令嬢がいっぱいいるのに、どうして婚約破棄をしてくれないのか。
はぐらかされて話が終わってしまうので、結局アルフードの好みはわからず、婚約者のいない友人達をアルフードに引き合わせた。
アルフードはアメリアを立てて笑顔で友人達と話はするが親密になることはない。
それどころか、アメリアを友人達の前でも大切に扱う。
「アメリア嬢と一緒にいるのが一番幸せです。」
普通ならそんな風に言われると嬉しいところだが、何とか婚約破棄をしたいアメリアから見ると不思議でしょうがなかった。
「女性はお好きではないのでしょうか?」
実は男性が好きかもしれないと幼馴染の貴族令息達とアルフードに引き合わせるが、それもうまくいかない。
「彼らはアメリアとどういう関係ですか?どうして私に会わせるのですか?」
普段は穏やかなアルフードを怒らせたのがわかり、アメリアはもう男性と会わせるのは止めようと思った。
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