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アレンとレイシアの語らい
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私は何も言葉を出すことができなかった。
私の知っているアレンとは全く違う。
この一年で何があったのか?
「この一年どう過ごした?」
アレンは私に聞いた。
「‥‥色々な領を回っていました。」
「そうか。それらはレイシアから見てどういう風にみえた?」
「素晴らしい国というのにはまだ程遠いけど、着実にアレンの望んだ国に近づいていると思う。」
私は離れていてもあなたの臣下。
この国を支えていく覚悟は変わりない。
そういう思いを込めて、まっすぐにアレンを見つめた。
アレンがクスクス笑う。
何かおかしなところがあったのか?
何で笑われているのかわからない。
「私が望んだ国とはどんな国だろうな?」
??
アレンの言う意味がわからず顔をしかめた。
「レイシア、私は一度も国のため、民のために何かをしようと思った事はないよ。」
??
アレン はまだクスクス笑っている。
何が言いたいの?
「あなたが民の安心して過ごせる国にしたいと言った。あなたが民の生活を心配した。あなたが民に教育をさせたいと言った。あなたが領主、警備兵の不正は許せないと言った。 」
少し間を開けアレンは言った。
「私はそんなレイシアの望みを叶えようと思っただけだ。」
何を言っているの?
アレンの言葉が信じられない。
だって、色々な政策を打ち出してきたじゃない。
「意味がわからない。どうしたの?民のために、素晴らしい政策をいくつもしてきたよね?他国との和平も積極的に結んだよね?」
「国が危機にあれば、レイシアにも危険が迫るだろう。自分を犠牲にしても皆を助けようとするから。それに色々な者たちにレイシアは私の妃と認めさせないといけなかったしね。貴族の後ろ盾なんかなくても私は問題ないことを証明しないといけないだろう?」
話を聞いて倒れそうになった。
今の話をまとめると
「アレンは国や民より私が大切だと?」
「そうだな。少なくとも王になるよりあなたにアレンと呼ばれる方が嬉しい。もともと国や王に興味がないからな。」
アレンはニコリと笑った。
私は真っ青になった。
王太子とは思えない発言の数々に倒れそう‥
まずいなんてものではない。
将来の王の発言として、あまりにも危険な内容だった。
一人の女の意見で全てが決まるなんて。
傾国の美女ならまだしも、私のどこがそんなに良いのかわからない。
どのくらいの沈黙が流れたのだろう‥
無言の状態が続いていたが、さきにアレンが沈黙を破った。
「そろそろ出ようか。私の魔力ではこのくらいの時間が限界だな。向こうの取り調べも終わっているだろう。レイシアがせっかく連絡してきてくれたんだ。彼らにはしっかりお礼をしなくちゃね。」
とびきりの笑顔でアレンは笑った。
怖すぎる‥
呼び出すのではなかったと2回目の後悔がレイシアを襲った。
私の知っているアレンとは全く違う。
この一年で何があったのか?
「この一年どう過ごした?」
アレンは私に聞いた。
「‥‥色々な領を回っていました。」
「そうか。それらはレイシアから見てどういう風にみえた?」
「素晴らしい国というのにはまだ程遠いけど、着実にアレンの望んだ国に近づいていると思う。」
私は離れていてもあなたの臣下。
この国を支えていく覚悟は変わりない。
そういう思いを込めて、まっすぐにアレンを見つめた。
アレンがクスクス笑う。
何かおかしなところがあったのか?
何で笑われているのかわからない。
「私が望んだ国とはどんな国だろうな?」
??
アレンの言う意味がわからず顔をしかめた。
「レイシア、私は一度も国のため、民のために何かをしようと思った事はないよ。」
??
アレン はまだクスクス笑っている。
何が言いたいの?
「あなたが民の安心して過ごせる国にしたいと言った。あなたが民の生活を心配した。あなたが民に教育をさせたいと言った。あなたが領主、警備兵の不正は許せないと言った。 」
少し間を開けアレンは言った。
「私はそんなレイシアの望みを叶えようと思っただけだ。」
何を言っているの?
アレンの言葉が信じられない。
だって、色々な政策を打ち出してきたじゃない。
「意味がわからない。どうしたの?民のために、素晴らしい政策をいくつもしてきたよね?他国との和平も積極的に結んだよね?」
「国が危機にあれば、レイシアにも危険が迫るだろう。自分を犠牲にしても皆を助けようとするから。それに色々な者たちにレイシアは私の妃と認めさせないといけなかったしね。貴族の後ろ盾なんかなくても私は問題ないことを証明しないといけないだろう?」
話を聞いて倒れそうになった。
今の話をまとめると
「アレンは国や民より私が大切だと?」
「そうだな。少なくとも王になるよりあなたにアレンと呼ばれる方が嬉しい。もともと国や王に興味がないからな。」
アレンはニコリと笑った。
私は真っ青になった。
王太子とは思えない発言の数々に倒れそう‥
まずいなんてものではない。
将来の王の発言として、あまりにも危険な内容だった。
一人の女の意見で全てが決まるなんて。
傾国の美女ならまだしも、私のどこがそんなに良いのかわからない。
どのくらいの沈黙が流れたのだろう‥
無言の状態が続いていたが、さきにアレンが沈黙を破った。
「そろそろ出ようか。私の魔力ではこのくらいの時間が限界だな。向こうの取り調べも終わっているだろう。レイシアがせっかく連絡してきてくれたんだ。彼らにはしっかりお礼をしなくちゃね。」
とびきりの笑顔でアレンは笑った。
怖すぎる‥
呼び出すのではなかったと2回目の後悔がレイシアを襲った。
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