【完結】王太子の求婚は受け入れられません!

みやちゃん

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警違隊を呼び出す

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「ねぇ、何で答えないの?」
いきなり暴風が吹いた。

何が起きているかすらわからない周囲の人たちが固まっているのがわかる。
静かに警備兵に近づく私に、警備兵が後ずさる。

「レイ、これ以上はやめとけ。深呼吸しろ。」
ドイルの声が届き、レイシアは深呼吸する。

「ふぅ、確かにこれ以上はダメね。私の感情が揺れすぎる。後は任せた方が良さそう。」
レイシアは決して自分の事では怒らない。
感情豊かではあるが、負の感情に飲まれる事はあまりない。
ただ、不正や理不尽な行いは別だ。

皆が笑顔で暮らせるようにする‥
お母さんやお父さん、生まれた街の人たちにはできなかった事を精一杯、他の人たちに返そうとしていた。
そう、それが街を吹き飛ばし消滅させたレイシアにとっての罪滅ぼしであり、罪悪感から逃れる手段でもあった。

領民を苦しめる、その行為はレイシアにとっての地雷源だ。
内容次第によってはいきなりドカンと爆発する。
レイシア自身も、一年間側にいたドイルもその事をよくわかっていた。

もうすぐ一年経つし、王城に戻らないといけないから居場所ばれても問題ないだろうし。
正式に警違隊に依頼するには時間がかかる。
私が暴発するのと呼び出すのだったら暴発の方が困るはず!

レイはブツブツと何かを言っている。
ドイルもレイシアを見守っている。
こういう時のレイシアに話しかけても無駄な事を知っているから。

自分に言い訳をして警違隊を呼び出しの詠唱を唱えた。
元々、レイシアがアレンと作った組織だ。
連絡は取る事は難しい事ではなかった。
だか、今のレイシアには呼び出す権限はないため、後々問題になって後悔するかなぁとぼんやりと思ってはいた。
実際は呼び出した事を後悔するのは、1分後だったが‥

「警違隊に次ぐ!レイシアの名の下に姿を表せ」
パァと辺りが明るくなる。

周囲の人、警備兵、ドイルまでも目を丸くしている。

「どういう事だ」
警違隊という言葉に反応した警備兵の叫び声が聞こえる。

誰が来るのかな?

アイルくらいがいいわよね。
優しいし、私を見てもお小言はない。

フィンランは冷静にこの場をおさめてくれそう。

ルーパーは、見た瞬間にネチネチと文句言いそうだけど、久しぶりに会いたいわ。

ウキウキしながら光の中から現れる人物をまった。
その人物を確認するまでは‥ちょっと懐かしむ余裕さえ、私にはあった。

出現した2人を見て‥今まで余裕の微笑みを浮かべていた私は完全に固まった。

ハッと意識を戻し、すぐさま先に現れた人物に保護を付けた。

会うのはもう少し後だと心の準備は何もできていなかった私はパニックになった。

この一年ずっと会いたかった人‥
焦がれて焦がれて仕方なかった人‥

王太子アレンが現れたのだ。
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