上 下
7 / 36

レイシアの想い

しおりを挟む
どうしてこのようなことになったんだろう‥

レイシアは自室のベッドで仰向けになり、ボーと考え事をしていた。

アレンは私を正妃とすると言った‥

「そんなことはできるはずないのに‥」
ボソリと声がでる。

アレンのことだ、何か思惑がある?

でも、いくら考えてもレイシアには彼の思惑がわからない。
私を正妃にできない理由などいくらでも挙げられるけど‥
逆に言えば、私を正妃にするメリットは何もないよね‥

世界最強と言われる魔力が欲しかった?

そんなわけない‥
私はこの国に命を捧げる覚悟をしているし、正式に宣言もした。
アレンもその事を知っている。
正妃でなくても私を手に入れたもの同然‥

愛情?
王太子である彼がそんな私情で動く?
いつも優しく微笑んでいるけど、決して優しいわけではない。
国のためなら、犠牲も厭わない冷酷さも兼ね合わせている。
国内外問わず、アレンの有能さは有名だ。
私もアレンを尊敬している。
この国を良いものにしてくれると夢を見る事ができる。

「私のそばにいるのはレイシアしかいない」
「これからも一生一緒にいたい」
っていつも言っていたのは、幼馴染の情や臣下としてじゃなかった?

そうだとしたら‥
アレンをどれだけ傷つけてきたのだろう。
真剣に取り合うこともなかった。

私が側妃マリアージュ様と王家の間で起こった事件を知っている。
アレンも知っているから、まさか私を求めるのが妃としてだとは思わなかった。

そして、王様が今どういう状況か知っているからこそ、私が正妃になり、アレンを不幸にするわけにいかない。

アレンは、どういう手を使えば、事を進められるか知っている。
それは、私も同じ。
どうすればアレンを退かせる事ができるのかわかっている。
ずっと一緒にいたのだから‥

それをすることにより、私とアレンの間はもう元には戻らない亀裂が入ることもわかっている。
できればその選択肢は選びたくない。

彼の正妃にはなれないけど、ずっとそばにいたい。

ずっとアレンの側で彼を守る。
彼の国を、彼の妃を、彼の子を守る。
そう決めていたのに‥





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ふたりは片想い 〜騎士団長と司書の恋のゆくえ〜

長岡更紗
恋愛
王立図書館の司書として働いているミシェルが好きになったのは、騎士団長のスタンリー。 幼い頃に助けてもらった時から、スタンリーはミシェルのヒーローだった。 そんなずっと憧れていた人と、18歳で再会し、恋心を募らせながらミシェルはスタンリーと仲良くなっていく。 けれどお互いにお互いの気持ちを勘違いしまくりで……?! 元気いっぱいミシェルと、大人な魅力のスタンリー。そんな二人の恋の行方は。 他サイトにも投稿しています。

断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。

メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい? 「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」 冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。 そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。 自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。

【完結】さいこん!〜最悪の政略結婚から始まる(かもしれない)愛〜

しゃでぃや
恋愛
聖王国第四皇女セラスティアは、突然の勅命に驚いた。 兄である聖王猊下から、自身の婚姻が発表されたのだ。 セラスティアが一度は嫁いだ小国は兄王の統治する祖国によって滅ぼされ、出戻って来たばかりだというのに。 しかも相手はよからぬ噂の絶えない筆頭宰相ザカリアス。 曰く付きの皇女を下賜することにより、宰相の力を削ごうというのが王の狙いだった。 お互い意に染まぬ政略結婚。 宰相と皇女は反目しすれ違いながらも、しかし少しずつ心を通わせ合う…… ※葦(奇数話)としゃでぃや(偶数話)の合作小説です。 葦     →https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/680880394 しゃでぃや →https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/467163294 ※合作の為、文体などに多少の違いがあります。奇数話は宰相寄り、偶数話は皇女寄りの視点です。 ※ほぼ打合せなし、見切り発車ではじめたので設定にはいい加減なところがあります。“ぽさ”を重視しています。 ※完結済みハッピーエンドです。全22話。 ※なろうにも同じものをあげています。 イラストは炉鳩様(@rohatomura )に描いて頂きました。

本当の勝者は正直者

夕鈴
恋愛
侯爵令嬢ナンシーの婚約者は友人の伯爵令嬢に恋をしている。ナンシーが幼馴染の婚約者の恋を応援しても動かない。不毛な恋愛相談に呆れながらも、ナンシーはヘタレな幼馴染の恋を叶えるために動き出す。 幼馴染の恋を応援したい少女が選んだ結末は。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

周りから見たら明らかに両想いなのに当人同士はどちらも自分の片想いだと思っている夫婦の話

きんのたまご
恋愛
政略結婚が決まった日から私はずっと片想い。 とお互いが思っている夫婦の焦れったい話。 元、両片思いを拗らせた夫婦の話を続編として公開してますのでこちらと併せて宜しくお願いします!

悪役令嬢になりそこねた令嬢

ぽよよん
恋愛
レスカの大好きな婚約者は2歳年上の宰相の息子だ。婚約者のマクロンを恋い慕うレスカは、マクロンとずっと一緒にいたかった。 マクロンが幼馴染の第一王子とその婚約者とともに王宮で過ごしていれば側にいたいと思う。 それは我儘でしょうか? ************** 2021.2.25 ショート→短編に変更しました。

男装の公爵令嬢ドレスを着る

おみなしづき
恋愛
父親は、公爵で騎士団長。 双子の兄も父親の騎士団に所属した。 そんな家族の末っ子として産まれたアデルが、幼い頃から騎士を目指すのは自然な事だった。 男装をして、口調も父や兄達と同じく男勝り。 けれど、そんな彼女でも婚約者がいた。 「アデル……ローマン殿下に婚約を破棄された。どうしてだ?」 「ローマン殿下には心に決めた方がいるからです」 父も兄達も殺気立ったけれど、アデルはローマンに全く未練はなかった。 すると、婚約破棄を待っていたかのようにアデルに婚約を申し込む手紙が届いて……。 ※暴力的描写もたまに出ます。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

処理中です...