1 / 36
迷惑な求婚
しおりを挟む
今、私はなんでここに呼ばれているのか‥
自分が罪を犯した訳ではない‥
にも関わらず、国の怖い方々に囲まれて取り調べを受けている。
いきなり連れて来られて睨まれる‥
か弱い乙女にすることじゃないと泣きたい。
まぁ、魔力だけでいうならこの国に叶うものはいないくらい強い。
これは自慢できるところでも、マイナスポイントでもある。
外見は‥まぁ、普通?
王城は、国のトップが集まるだけあって、キラキラした人がいすぎ‥
平民出身の私の周りをキラキラした外見の方たちに囲まれている。
「何でこんなことをなってしまったのだ」
私に向かって宰相は睨みながら聞く。
宰相は今は横に大きくなっているが、昔は男前だったと言い切れる顔をしている。
「そんなことを聞かれても私にわかりませんよ。」
私が言い出したことじゃないんだから、本人に聞いてもらいたい。
拗ねたように言って呆れられる。
ここに呼ばれて来た経緯を誰も説明してくれないが、好き勝手に質問やヤジを飛ばされ、大体の内容は把握した。
それにしてもお偉い人全員集めましたという集団。
王に王妃、宰相に大臣たち、省のトップの方々‥
そんな方々に睨まれて‥ため息が出る。
「レイシア、お前から言ってはもらえないか。この話は受けられないと」
眉間にしわを寄せながら王は言った。
私だってできることならこの方を悩ませたくない!
って一応は思っている。
育ててもらった恩もあるし。
私はアレンと共にこの国を守りたいだけなのに。
どうしてこんなことに‥
「私が言っても聞き入れてもらえませんよ。聞くつもりがあるならば、先に私に伝えているはずですから」
私の言葉を聞き、王はため息をついた。
「そうか、お前も知らなかったのか。」
私も申し訳なくなり、頭を下げることしかできない。
「はい、今、初めて聞きました。」
私は力なく微笑んだ。
「それはどういうことですか?知らない訳ないでしょう。一人で決められることではない。」
宰相の声大きい。
耳が痛い。
空気読めというように王はため息をつく。
5歳の頃から訳あって王城で育っている私は、王の付き合いは長い。
私の言葉で王は全てを理解した。
宰相が否定したその事を王太子アレンがやったのだと‥
私も王も、そして隣の王妃も彼の性格をよく知っている。
私と王の困惑の横で王妃のみ涼しい顔で二人を見つめていた。
アレンがどうして先に私に相談しなかったのかは分かっている。
「私が先にその事実を知れば、アレン‥王太子から離れるという選択をする事がわかっていたと思います。」
だから私にバレないよう秘密裏に王と議会の承認申請を先に行った。
「アレン王太子は一度も私を妃に望んだことはありません。魔法使いとしてこの国を守りたい、家庭を持たないのいう私の話をいつも笑顔で聞いておられました。」
一緒に育ったという幼馴染みでも、一方は平民の私、もう一方は王太子で将来この国のトップに立つ方‥
普通に考えて、普通に考えなくても妃になるなんて思うはずがない。
宰相は焦ったように言う。
「しかし、廃嫡など許されるものではありません。あの方の代わりはいません。」
そう、王太子は婚約者に私を指名し‥
私と結婚できなければ、廃嫡し、私と一緒に王家を出るという、とんでもないおまけを突きつけた。
王や議会に対し、私を正妃として認めろと正式に宣言した。
そこに私の意思が全く入っていないことに腹が立つ。
今も国のお偉方に事情聴取されるという嫌がらせを受けているのだ。
でもその反面、正妃に望んでくれる彼の気持ちは嬉しいと思ってしまう。
そりゃ、好きか嫌いかといえば好きだ。
ずっと一緒に育ってきたのだから。
異性に対する好きというより家族みたいな感じが近いかもしれない。
まぁ、平民が王太子に家族みたいなど言うのは本来、不敬ではあるが‥
アレンは気にしないだろう。
ずっとそうやって一緒に育ってきた。
この国に王太子アレンの代わりがいない。
政治的手腕、人望など他の王子や姫を圧倒している。
事実、重要な政策はアレンが行っているものが多い。
この国に必要な方というのは、誰でも認めるところだ。
そのため、王もアレンに強く出れない面がある。
今、国外的に見ても廃嫡なんて以ての外だ。
王太子が彼であるため、和平を結んでいる国も多い。
味方には優しいが、一度敵になると恐ろしい存在であることは他国の共通認識といっても過言ではない。
その事は、アレン自身もよくわかっている。
つまり、廃嫡という選択肢はなく、そうして欲しくなければ、私を正妃に迎えろと王を、議会を、そして私を脅しているのだ。
小さな頃から一緒にいるが、アレンは国の為に生きていた王族としてとても尊敬できる人だった。
それがここに来て、国益にもならない最大の問題を出してきた。
「私は王太子妃にはなれません。」
私の結論は出ていた。
自分が罪を犯した訳ではない‥
にも関わらず、国の怖い方々に囲まれて取り調べを受けている。
いきなり連れて来られて睨まれる‥
か弱い乙女にすることじゃないと泣きたい。
まぁ、魔力だけでいうならこの国に叶うものはいないくらい強い。
これは自慢できるところでも、マイナスポイントでもある。
外見は‥まぁ、普通?
王城は、国のトップが集まるだけあって、キラキラした人がいすぎ‥
平民出身の私の周りをキラキラした外見の方たちに囲まれている。
「何でこんなことをなってしまったのだ」
私に向かって宰相は睨みながら聞く。
宰相は今は横に大きくなっているが、昔は男前だったと言い切れる顔をしている。
「そんなことを聞かれても私にわかりませんよ。」
私が言い出したことじゃないんだから、本人に聞いてもらいたい。
拗ねたように言って呆れられる。
ここに呼ばれて来た経緯を誰も説明してくれないが、好き勝手に質問やヤジを飛ばされ、大体の内容は把握した。
それにしてもお偉い人全員集めましたという集団。
王に王妃、宰相に大臣たち、省のトップの方々‥
そんな方々に睨まれて‥ため息が出る。
「レイシア、お前から言ってはもらえないか。この話は受けられないと」
眉間にしわを寄せながら王は言った。
私だってできることならこの方を悩ませたくない!
って一応は思っている。
育ててもらった恩もあるし。
私はアレンと共にこの国を守りたいだけなのに。
どうしてこんなことに‥
「私が言っても聞き入れてもらえませんよ。聞くつもりがあるならば、先に私に伝えているはずですから」
私の言葉を聞き、王はため息をついた。
「そうか、お前も知らなかったのか。」
私も申し訳なくなり、頭を下げることしかできない。
「はい、今、初めて聞きました。」
私は力なく微笑んだ。
「それはどういうことですか?知らない訳ないでしょう。一人で決められることではない。」
宰相の声大きい。
耳が痛い。
空気読めというように王はため息をつく。
5歳の頃から訳あって王城で育っている私は、王の付き合いは長い。
私の言葉で王は全てを理解した。
宰相が否定したその事を王太子アレンがやったのだと‥
私も王も、そして隣の王妃も彼の性格をよく知っている。
私と王の困惑の横で王妃のみ涼しい顔で二人を見つめていた。
アレンがどうして先に私に相談しなかったのかは分かっている。
「私が先にその事実を知れば、アレン‥王太子から離れるという選択をする事がわかっていたと思います。」
だから私にバレないよう秘密裏に王と議会の承認申請を先に行った。
「アレン王太子は一度も私を妃に望んだことはありません。魔法使いとしてこの国を守りたい、家庭を持たないのいう私の話をいつも笑顔で聞いておられました。」
一緒に育ったという幼馴染みでも、一方は平民の私、もう一方は王太子で将来この国のトップに立つ方‥
普通に考えて、普通に考えなくても妃になるなんて思うはずがない。
宰相は焦ったように言う。
「しかし、廃嫡など許されるものではありません。あの方の代わりはいません。」
そう、王太子は婚約者に私を指名し‥
私と結婚できなければ、廃嫡し、私と一緒に王家を出るという、とんでもないおまけを突きつけた。
王や議会に対し、私を正妃として認めろと正式に宣言した。
そこに私の意思が全く入っていないことに腹が立つ。
今も国のお偉方に事情聴取されるという嫌がらせを受けているのだ。
でもその反面、正妃に望んでくれる彼の気持ちは嬉しいと思ってしまう。
そりゃ、好きか嫌いかといえば好きだ。
ずっと一緒に育ってきたのだから。
異性に対する好きというより家族みたいな感じが近いかもしれない。
まぁ、平民が王太子に家族みたいなど言うのは本来、不敬ではあるが‥
アレンは気にしないだろう。
ずっとそうやって一緒に育ってきた。
この国に王太子アレンの代わりがいない。
政治的手腕、人望など他の王子や姫を圧倒している。
事実、重要な政策はアレンが行っているものが多い。
この国に必要な方というのは、誰でも認めるところだ。
そのため、王もアレンに強く出れない面がある。
今、国外的に見ても廃嫡なんて以ての外だ。
王太子が彼であるため、和平を結んでいる国も多い。
味方には優しいが、一度敵になると恐ろしい存在であることは他国の共通認識といっても過言ではない。
その事は、アレン自身もよくわかっている。
つまり、廃嫡という選択肢はなく、そうして欲しくなければ、私を正妃に迎えろと王を、議会を、そして私を脅しているのだ。
小さな頃から一緒にいるが、アレンは国の為に生きていた王族としてとても尊敬できる人だった。
それがここに来て、国益にもならない最大の問題を出してきた。
「私は王太子妃にはなれません。」
私の結論は出ていた。
20
お気に入りに追加
2,373
あなたにおすすめの小説
ふたりは片想い 〜騎士団長と司書の恋のゆくえ〜
長岡更紗
恋愛
王立図書館の司書として働いているミシェルが好きになったのは、騎士団長のスタンリー。
幼い頃に助けてもらった時から、スタンリーはミシェルのヒーローだった。
そんなずっと憧れていた人と、18歳で再会し、恋心を募らせながらミシェルはスタンリーと仲良くなっていく。
けれどお互いにお互いの気持ちを勘違いしまくりで……?!
元気いっぱいミシェルと、大人な魅力のスタンリー。そんな二人の恋の行方は。
他サイトにも投稿しています。
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
【完結】さいこん!〜最悪の政略結婚から始まる(かもしれない)愛〜
しゃでぃや
恋愛
聖王国第四皇女セラスティアは、突然の勅命に驚いた。
兄である聖王猊下から、自身の婚姻が発表されたのだ。
セラスティアが一度は嫁いだ小国は兄王の統治する祖国によって滅ぼされ、出戻って来たばかりだというのに。
しかも相手はよからぬ噂の絶えない筆頭宰相ザカリアス。
曰く付きの皇女を下賜することにより、宰相の力を削ごうというのが王の狙いだった。
お互い意に染まぬ政略結婚。
宰相と皇女は反目しすれ違いながらも、しかし少しずつ心を通わせ合う……
※葦(奇数話)としゃでぃや(偶数話)の合作小説です。
葦 →https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/680880394
しゃでぃや →https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/467163294
※合作の為、文体などに多少の違いがあります。奇数話は宰相寄り、偶数話は皇女寄りの視点です。
※ほぼ打合せなし、見切り発車ではじめたので設定にはいい加減なところがあります。“ぽさ”を重視しています。
※完結済みハッピーエンドです。全22話。
※なろうにも同じものをあげています。
イラストは炉鳩様(@rohatomura )に描いて頂きました。
本当の勝者は正直者
夕鈴
恋愛
侯爵令嬢ナンシーの婚約者は友人の伯爵令嬢に恋をしている。ナンシーが幼馴染の婚約者の恋を応援しても動かない。不毛な恋愛相談に呆れながらも、ナンシーはヘタレな幼馴染の恋を叶えるために動き出す。
幼馴染の恋を応援したい少女が選んだ結末は。
※小説家になろう様にも投稿しています。
周りから見たら明らかに両想いなのに当人同士はどちらも自分の片想いだと思っている夫婦の話
きんのたまご
恋愛
政略結婚が決まった日から私はずっと片想い。
とお互いが思っている夫婦の焦れったい話。
元、両片思いを拗らせた夫婦の話を続編として公開してますのでこちらと併せて宜しくお願いします!
悪役令嬢になりそこねた令嬢
ぽよよん
恋愛
レスカの大好きな婚約者は2歳年上の宰相の息子だ。婚約者のマクロンを恋い慕うレスカは、マクロンとずっと一緒にいたかった。
マクロンが幼馴染の第一王子とその婚約者とともに王宮で過ごしていれば側にいたいと思う。
それは我儘でしょうか?
**************
2021.2.25
ショート→短編に変更しました。
男装の公爵令嬢ドレスを着る
おみなしづき
恋愛
父親は、公爵で騎士団長。
双子の兄も父親の騎士団に所属した。
そんな家族の末っ子として産まれたアデルが、幼い頃から騎士を目指すのは自然な事だった。
男装をして、口調も父や兄達と同じく男勝り。
けれど、そんな彼女でも婚約者がいた。
「アデル……ローマン殿下に婚約を破棄された。どうしてだ?」
「ローマン殿下には心に決めた方がいるからです」
父も兄達も殺気立ったけれど、アデルはローマンに全く未練はなかった。
すると、婚約破棄を待っていたかのようにアデルに婚約を申し込む手紙が届いて……。
※暴力的描写もたまに出ます。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる