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アイルーナの決意
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話をしているとアイルーナがただの少女ではない事がわかった。
マーベランスはアイルーナの決意と覚悟に驚いた。
まだ小さいはずのアイルーナはもう皇帝となることを見据えている。
自分のやるべき事を十分理解していた。
マーベランスはダーティールの事を知っている限りアイルーナに話した。
マーベランス自身誰かに話したかったのかもしれない。
過去の自分の犯した過ち‥
国を一つ滅ぼしてしまったという取り返しのつかない事態。
「おじい様も後悔しているのですね。」
アイルーナは涙を流した。
自分の代わりに泣いてくれている。
「アイルーナ、わしは皇帝失格だった。後悔をする資格もない。皇帝とは間違ってはいけないのだよ。その一言で皆の運命を変えてしまうのだから。お前はそんな皇帝にはなってはいけない。」
マーベランスは自虐的に笑う。
アイルーナは首を横にふる。
「どんなに完璧な人でも人である以上、間違う事はあると習いました。皇帝も同じだと私は思っています。過ちと向き合ってどうしたらいけばいいか考えていきたいです。過去ばかり見て皆が苦しむのは辛いです。」
少し前なら、皇帝候補にこの様な考え方を教えた奴は誰だと怒っていただろう。
だが、マーベランスはアイルーナの言葉に救われていた。
皇帝であっても間違う事がある‥
誰もマーベランスに言ってはくれなかった事を7歳のアイルーナが言ってくれたのだ。
マーベランスはアイルーナの為に自分の残りの人生を使おうと思った。
これからどうしていくのが良いのかと一緒に考えていく。
アイルーナを大人として対応し契約書も交わした。
もう完全に隠居をし、死を迎えるだけだと思っていたマーベランスはもう一度だけ元皇帝としての権力を使うと決めた。
マーベランスは話し終わると息をはいた。
シーンと静まり返る部屋。
誰も声を出さない。
いや、出せないのだ。
「アイルーナは皇帝の後ろ盾をわしに求めた。自分の経験のなさや力不足を承知で皇帝となるのだからな。急いだ一番の理由はダーティールの復国だが、わしが元気なうちでないと後ろ盾にもなれないからな、それも理由だろう。」
「どうして父上を後ろ盾などに‥」
アレクサンダーは納得していない。
マーベランスはハァとため息をつく。
ここまで話してまだわからないのか?
「できるだけ早くお前を皇帝の重圧から解放させるためだ。お前はアリエランダ妃とフィンデルの為だけに皇帝となった。それがアイルーナにもバレていたという事だ。」
「そんな事‥あの子は成人もしていないまだ子どもだ‥」
アレクサンダーは呟く。
「その子どもをわしらは無理やりに大人にしたのだよ。」
マーベランスは言う。
アレクサンダーもアリエランダも過去を引きずりアイルーナを愛し育てる事ができていなかった。
それにも関わらず、アイルーナはそれでもその二人を助けたいと考えられる子に育っていた。
どうしてあんな澄んだ目でいられるのか‥
アイルーナを初めて見た時に感じた事。
アイルーナと話してすぐにわかった。
フィンデルの話をするアイルーナはとても幸せそうだった。
フィンデルがずっと両親の代わりにアイルーナの心を支えていたのだ。
マーベランスはフィンデルを見て話しだす。
「フィンデル、アイルーナはお前に夫に望んでいたが、わしの話を聞いて諦めると言って泣いていた。こいつがあんな契約を出さなければフィンデルを快くダーティールに送り出しただろう。」
マーベランスはアレクサンダーをにらむ。
アレクサンダーは顔を青ざめたまま動く事ができなかった。
マーベランスはフィンデルの方を向き直し
「アイルーナがフィンデルと過ごせる時間は限られていた。契約という理由を得て自分の本心の思うままに動いた事を許してやってほしい。」
フィンデルは下を向いたまま答えない。
震えているのを見ると泣いているのかもしれない。
そんなフィンデルにマーベランスは問う。
「フィンデル、お前はダーティールの王になる。それでよいのだな?」
「私は‥」
フィンデルはすぐに答える事ができなかった。
マーベランスはアイルーナの決意と覚悟に驚いた。
まだ小さいはずのアイルーナはもう皇帝となることを見据えている。
自分のやるべき事を十分理解していた。
マーベランスはダーティールの事を知っている限りアイルーナに話した。
マーベランス自身誰かに話したかったのかもしれない。
過去の自分の犯した過ち‥
国を一つ滅ぼしてしまったという取り返しのつかない事態。
「おじい様も後悔しているのですね。」
アイルーナは涙を流した。
自分の代わりに泣いてくれている。
「アイルーナ、わしは皇帝失格だった。後悔をする資格もない。皇帝とは間違ってはいけないのだよ。その一言で皆の運命を変えてしまうのだから。お前はそんな皇帝にはなってはいけない。」
マーベランスは自虐的に笑う。
アイルーナは首を横にふる。
「どんなに完璧な人でも人である以上、間違う事はあると習いました。皇帝も同じだと私は思っています。過ちと向き合ってどうしたらいけばいいか考えていきたいです。過去ばかり見て皆が苦しむのは辛いです。」
少し前なら、皇帝候補にこの様な考え方を教えた奴は誰だと怒っていただろう。
だが、マーベランスはアイルーナの言葉に救われていた。
皇帝であっても間違う事がある‥
誰もマーベランスに言ってはくれなかった事を7歳のアイルーナが言ってくれたのだ。
マーベランスはアイルーナの為に自分の残りの人生を使おうと思った。
これからどうしていくのが良いのかと一緒に考えていく。
アイルーナを大人として対応し契約書も交わした。
もう完全に隠居をし、死を迎えるだけだと思っていたマーベランスはもう一度だけ元皇帝としての権力を使うと決めた。
マーベランスは話し終わると息をはいた。
シーンと静まり返る部屋。
誰も声を出さない。
いや、出せないのだ。
「アイルーナは皇帝の後ろ盾をわしに求めた。自分の経験のなさや力不足を承知で皇帝となるのだからな。急いだ一番の理由はダーティールの復国だが、わしが元気なうちでないと後ろ盾にもなれないからな、それも理由だろう。」
「どうして父上を後ろ盾などに‥」
アレクサンダーは納得していない。
マーベランスはハァとため息をつく。
ここまで話してまだわからないのか?
「できるだけ早くお前を皇帝の重圧から解放させるためだ。お前はアリエランダ妃とフィンデルの為だけに皇帝となった。それがアイルーナにもバレていたという事だ。」
「そんな事‥あの子は成人もしていないまだ子どもだ‥」
アレクサンダーは呟く。
「その子どもをわしらは無理やりに大人にしたのだよ。」
マーベランスは言う。
アレクサンダーもアリエランダも過去を引きずりアイルーナを愛し育てる事ができていなかった。
それにも関わらず、アイルーナはそれでもその二人を助けたいと考えられる子に育っていた。
どうしてあんな澄んだ目でいられるのか‥
アイルーナを初めて見た時に感じた事。
アイルーナと話してすぐにわかった。
フィンデルの話をするアイルーナはとても幸せそうだった。
フィンデルがずっと両親の代わりにアイルーナの心を支えていたのだ。
マーベランスはフィンデルを見て話しだす。
「フィンデル、アイルーナはお前に夫に望んでいたが、わしの話を聞いて諦めると言って泣いていた。こいつがあんな契約を出さなければフィンデルを快くダーティールに送り出しただろう。」
マーベランスはアレクサンダーをにらむ。
アレクサンダーは顔を青ざめたまま動く事ができなかった。
マーベランスはフィンデルの方を向き直し
「アイルーナがフィンデルと過ごせる時間は限られていた。契約という理由を得て自分の本心の思うままに動いた事を許してやってほしい。」
フィンデルは下を向いたまま答えない。
震えているのを見ると泣いているのかもしれない。
そんなフィンデルにマーベランスは問う。
「フィンデル、お前はダーティールの王になる。それでよいのだな?」
「私は‥」
フィンデルはすぐに答える事ができなかった。
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