【完結】愛する者を手に入れる事が皇帝になる条件です

みやちゃん

文字の大きさ
上 下
26 / 39

ジールベルンへの裁き

しおりを挟む
アイルーナがいなくなってしばらくしてイオマミール帝国からジールベルンに人を寄越すと連絡が入った。
誰がくるのか何用で来るのが伏せられている所をみるとよい話でない事は伝わり、ジールベルン王宮は大騒ぎとなっていた。

マルクスはとうとう来た‥
と覚悟を決めていた。
マルクスなりに15年前の事を調べた。
何があったのか知らなければ対応策を考える事ができなかったから。
王家が隠蔽していた真実を王太子の権力を使いまくって何とか暴く事ができた時、マルクスは絶望した。

弁解のしようがない‥
すべてジールベルン王である父がすべて悪い。
妹をイオマミール皇后にする為、ダーティールの豊かな領地を手に入れる為、援助してくれていた恩のあるダーティールを裏切るなんて‥
当時幼児ではあったが‥
王太子である自分が何も知らなかった事にショックを隠せない。

絶望的な過去がすべてイオマミールにバレている。
ジールベルン王家が滅ぶのは仕方がない。
処刑されてもおかしくない罪を犯した。
アイルーナが王家ではなく国を守れといった意味を理解した。
守りきれない。
せめて国民を冷遇しないように頼むくらいしか道はない。

マルクスも王家の一員として責任を問われるだろう。
王家の存続は難しいと覚悟して婚約破棄をしたが、婚約者に泣かれたのには思いの外こたえた。
政略的な婚約であったはずの婚約者にこれほどの愛情があったのだと今更、気付かされた。
王家の罪に巻き込まれないようにする為であったが、理由も言っていない。
きっと恨まれているだろう。
アイルーナはきっともっと辛い想いをした筈だ。
あれほど思い合っていた二人なのだから‥

イオマミールからの使者が誰なのか。
ジールベルンに好意的な人物は寄越さないだろうが‥せめて好戦的な人物でなければと願っていた。
そう考えていたマルクスは現れた人物を見て泣きそうになった。

このメンバーならアイルーナ、お前に来て欲しかった‥
皇帝が変わるとイオマミール帝国内から発表はない。
まだアイルーナの父であるアレクサンダーが皇帝のままだ。
それなのに、どうしてこの方々がくるのだ‥
マルクスはもうこの国は終わったと感じた。

イオマミール帝国から来たのはアイルーナの祖父であり賢帝と名高くが情け容赦ない前皇帝マーベランス、そしてアイルーナの父現皇帝アレクサンダー、皇后のアリエランダというあり得ない顔ぶれだった。

謁見の場を仕切っているのはマーベランス。
後ろにアレクサンダー、アリエランダが立っている。
ますます絶望的な未来しか見えない。
フィンデルも呼ばれている。
重要と思われる会議になぜフィンデルも呼ばれたのかジールベルン側の人間にはわからないが、皇帝達を怒らせるのは得策ではない為、意見はしなかった。
テーブルにはイオマミール帝国からのマーベランス、アレクサンダー、アリエランダ、文官達、ジールベルン側として王、マルクス、宰相や外務大臣が座っている。
皆が座るとマーベランスが話し出した。

「ここに来たのは15年前のダーティールの悲劇を終わらせる為だ。」
マーベランスは静かに言う。
その言葉にジールベルン側の人間は狼狽えた。

「何故そのような過去の事が今更出てくるのですか?」
宰相は聞く。

「ジールベルンがダーティールを攻めた理由が正当なものではないと判断されたからだ。」
マーベランスは冷たい視線で答える。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

処理中です...