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ジールベルンへの裁き
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アイルーナがいなくなってしばらくしてイオマミール帝国からジールベルンに人を寄越すと連絡が入った。
誰がくるのか何用で来るのが伏せられている所をみるとよい話でない事は伝わり、ジールベルン王宮は大騒ぎとなっていた。
マルクスはとうとう来た‥
と覚悟を決めていた。
マルクスなりに15年前の事を調べた。
何があったのか知らなければ対応策を考える事ができなかったから。
王家が隠蔽していた真実を王太子の権力を使いまくって何とか暴く事ができた時、マルクスは絶望した。
弁解のしようがない‥
すべてジールベルン王である父がすべて悪い。
妹をイオマミール皇后にする為、ダーティールの豊かな領地を手に入れる為、援助してくれていた恩のあるダーティールを裏切るなんて‥
当時幼児ではあったが‥
王太子である自分が何も知らなかった事にショックを隠せない。
絶望的な過去がすべてイオマミールにバレている。
ジールベルン王家が滅ぶのは仕方がない。
処刑されてもおかしくない罪を犯した。
アイルーナが王家ではなく国を守れといった意味を理解した。
守りきれない。
せめて国民を冷遇しないように頼むくらいしか道はない。
マルクスも王家の一員として責任を問われるだろう。
王家の存続は難しいと覚悟して婚約破棄をしたが、婚約者に泣かれたのには思いの外こたえた。
政略的な婚約であったはずの婚約者にこれほどの愛情があったのだと今更、気付かされた。
王家の罪に巻き込まれないようにする為であったが、理由も言っていない。
きっと恨まれているだろう。
アイルーナはきっともっと辛い想いをした筈だ。
あれほど思い合っていた二人なのだから‥
イオマミールからの使者が誰なのか。
ジールベルンに好意的な人物は寄越さないだろうが‥せめて好戦的な人物でなければと願っていた。
そう考えていたマルクスは現れた人物を見て泣きそうになった。
このメンバーならアイルーナ、お前に来て欲しかった‥
皇帝が変わるとイオマミール帝国内から発表はない。
まだアイルーナの父であるアレクサンダーが皇帝のままだ。
それなのに、どうしてこの方々がくるのだ‥
マルクスはもうこの国は終わったと感じた。
イオマミール帝国から来たのはアイルーナの祖父であり賢帝と名高くが情け容赦ない前皇帝マーベランス、そしてアイルーナの父現皇帝アレクサンダー、皇后のアリエランダというあり得ない顔ぶれだった。
謁見の場を仕切っているのはマーベランス。
後ろにアレクサンダー、アリエランダが立っている。
ますます絶望的な未来しか見えない。
フィンデルも呼ばれている。
重要と思われる会議になぜフィンデルも呼ばれたのかジールベルン側の人間にはわからないが、皇帝達を怒らせるのは得策ではない為、意見はしなかった。
テーブルにはイオマミール帝国からのマーベランス、アレクサンダー、アリエランダ、文官達、ジールベルン側として王、マルクス、宰相や外務大臣が座っている。
皆が座るとマーベランスが話し出した。
「ここに来たのは15年前のダーティールの悲劇を終わらせる為だ。」
マーベランスは静かに言う。
その言葉にジールベルン側の人間は狼狽えた。
「何故そのような過去の事が今更出てくるのですか?」
宰相は聞く。
「ジールベルンがダーティールを攻めた理由が正当なものではないと判断されたからだ。」
マーベランスは冷たい視線で答える。
誰がくるのか何用で来るのが伏せられている所をみるとよい話でない事は伝わり、ジールベルン王宮は大騒ぎとなっていた。
マルクスはとうとう来た‥
と覚悟を決めていた。
マルクスなりに15年前の事を調べた。
何があったのか知らなければ対応策を考える事ができなかったから。
王家が隠蔽していた真実を王太子の権力を使いまくって何とか暴く事ができた時、マルクスは絶望した。
弁解のしようがない‥
すべてジールベルン王である父がすべて悪い。
妹をイオマミール皇后にする為、ダーティールの豊かな領地を手に入れる為、援助してくれていた恩のあるダーティールを裏切るなんて‥
当時幼児ではあったが‥
王太子である自分が何も知らなかった事にショックを隠せない。
絶望的な過去がすべてイオマミールにバレている。
ジールベルン王家が滅ぶのは仕方がない。
処刑されてもおかしくない罪を犯した。
アイルーナが王家ではなく国を守れといった意味を理解した。
守りきれない。
せめて国民を冷遇しないように頼むくらいしか道はない。
マルクスも王家の一員として責任を問われるだろう。
王家の存続は難しいと覚悟して婚約破棄をしたが、婚約者に泣かれたのには思いの外こたえた。
政略的な婚約であったはずの婚約者にこれほどの愛情があったのだと今更、気付かされた。
王家の罪に巻き込まれないようにする為であったが、理由も言っていない。
きっと恨まれているだろう。
アイルーナはきっともっと辛い想いをした筈だ。
あれほど思い合っていた二人なのだから‥
イオマミールからの使者が誰なのか。
ジールベルンに好意的な人物は寄越さないだろうが‥せめて好戦的な人物でなければと願っていた。
そう考えていたマルクスは現れた人物を見て泣きそうになった。
このメンバーならアイルーナ、お前に来て欲しかった‥
皇帝が変わるとイオマミール帝国内から発表はない。
まだアイルーナの父であるアレクサンダーが皇帝のままだ。
それなのに、どうしてこの方々がくるのだ‥
マルクスはもうこの国は終わったと感じた。
イオマミール帝国から来たのはアイルーナの祖父であり賢帝と名高くが情け容赦ない前皇帝マーベランス、そしてアイルーナの父現皇帝アレクサンダー、皇后のアリエランダというあり得ない顔ぶれだった。
謁見の場を仕切っているのはマーベランス。
後ろにアレクサンダー、アリエランダが立っている。
ますます絶望的な未来しか見えない。
フィンデルも呼ばれている。
重要と思われる会議になぜフィンデルも呼ばれたのかジールベルン側の人間にはわからないが、皇帝達を怒らせるのは得策ではない為、意見はしなかった。
テーブルにはイオマミール帝国からのマーベランス、アレクサンダー、アリエランダ、文官達、ジールベルン側として王、マルクス、宰相や外務大臣が座っている。
皆が座るとマーベランスが話し出した。
「ここに来たのは15年前のダーティールの悲劇を終わらせる為だ。」
マーベランスは静かに言う。
その言葉にジールベルン側の人間は狼狽えた。
「何故そのような過去の事が今更出てくるのですか?」
宰相は聞く。
「ジールベルンがダーティールを攻めた理由が正当なものではないと判断されたからだ。」
マーベランスは冷たい視線で答える。
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