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わがまま王女の嫁入り
名誉挽回2
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入口からラッパが鳴り響き、だれかが入場準備に入ったことを知らせる。
遅れてきて夜会を止めてまで迎える人物はかなり高貴な方であることがわかっているため、みなが入口をみた。
入口の護衛が大きな声で名前を言いあげているが、声はミルアージュには届いていなかった。
あまりに驚き、一瞬パニックになっていたためだ。
入場するのは、アンロック王となったレンドランド、宰相、軍部大将だった。
護衛に読み上げられた名前を聞き、夜会にいた貴族たちも驚きを隠せずにいた。
ルーマン王国とアンロック王国は昔から仲が良い。
誰かがアンロック国を代表して結婚式に参加するのはおかしなことではない。
王女の嫁入りなのだ。
ただ、この3人がいるのはおかしい。
国のトップ3人だ。
他国の結婚式にこの3人が参加するなど前代未聞だ。
いや、これからもないだろう。
「派手なお出ましだ。」
クリストファーが小声でミルアージュに言う。
遅刻という目立つ形で入場し、3人とも今からどんな式典があるのかというくらいゴテゴテの正装だったのだ。
今は結婚式前の夜会だ。
いささか不釣り合いな格好である。
レンドランドの一歩後ろを宰相、軍部大将が続く。
まずはルーマン国王、王妃のところに挨拶に行っている。
まだ17歳で王となったばかりでもアンロック王であるレンドランドとルーマン国王とは対等な関係だ。
挨拶もそこそこに昔を懐かしむ話に入る。
「おぉ、レンドランド殿、大きくなったものだ。前にあった時はまだ小さな子供だったのに。」
手を130センチくらいの高さでヒラヒラ動かし、ルーマン国王は笑いながら言った。
隣で王妃も「本当に」と微笑んでいる。
「そんな昔の話はなしですよ。」
ニコニコ返すレンドランドの綺麗な顔立ちに淑女たちは目を離せずにいた。
「この度はクリストファー殿と姉上の結婚の祝いに来ました。姉上をどうかよろしくお願いします。」
「こちらこそ、王女に来てもらってよかったよ。クリストファーはずっとミルアージュ王女一筋だ。王女に振られ、その後も他の令嬢と婚約をしないクリストファーをみて、このまま結婚しないかと焦っていた。ミルアージュ王女と結婚すると言ってから20年は、経ってるぞ。初恋をこじらせると怖いものだ。」
ハハハと大笑いするルーマン国王。
「それはそれは、クリストファー殿も純情ですね。大切な姉上を安心してお任せできそうだ。」
レンドランドも堂々とクリストファーの初恋を暴露するルーマン国王に笑いを噛み殺しながら言った。
後ろの宰相、軍部大将も肩がフルフルと震えているのを見ると笑いをこらえているのだろう。
当のクリストファーは
「こんなところで暴露をするなんて何考えているだ。」
と納得いかない様子だが、今までの行いを見れば、ルーマン国王に嫌がらせをされても仕方ないだろう。
ルーマン国王は真剣な顔に戻し
「色々と迷惑をかけたが、娘のことも頼みたい。」
レンドランドの婚約者になったルーマン第二王女の事も気にかけた。
レンドランドはにっこり笑い
「彼女は私にはもったいないくらいの女性です。一生を共に歩んで行きたいと私は思っています。」
その一言を聞き、ルーマン国王はホッと安堵の表情を浮かべた。
遅れてきて夜会を止めてまで迎える人物はかなり高貴な方であることがわかっているため、みなが入口をみた。
入口の護衛が大きな声で名前を言いあげているが、声はミルアージュには届いていなかった。
あまりに驚き、一瞬パニックになっていたためだ。
入場するのは、アンロック王となったレンドランド、宰相、軍部大将だった。
護衛に読み上げられた名前を聞き、夜会にいた貴族たちも驚きを隠せずにいた。
ルーマン王国とアンロック王国は昔から仲が良い。
誰かがアンロック国を代表して結婚式に参加するのはおかしなことではない。
王女の嫁入りなのだ。
ただ、この3人がいるのはおかしい。
国のトップ3人だ。
他国の結婚式にこの3人が参加するなど前代未聞だ。
いや、これからもないだろう。
「派手なお出ましだ。」
クリストファーが小声でミルアージュに言う。
遅刻という目立つ形で入場し、3人とも今からどんな式典があるのかというくらいゴテゴテの正装だったのだ。
今は結婚式前の夜会だ。
いささか不釣り合いな格好である。
レンドランドの一歩後ろを宰相、軍部大将が続く。
まずはルーマン国王、王妃のところに挨拶に行っている。
まだ17歳で王となったばかりでもアンロック王であるレンドランドとルーマン国王とは対等な関係だ。
挨拶もそこそこに昔を懐かしむ話に入る。
「おぉ、レンドランド殿、大きくなったものだ。前にあった時はまだ小さな子供だったのに。」
手を130センチくらいの高さでヒラヒラ動かし、ルーマン国王は笑いながら言った。
隣で王妃も「本当に」と微笑んでいる。
「そんな昔の話はなしですよ。」
ニコニコ返すレンドランドの綺麗な顔立ちに淑女たちは目を離せずにいた。
「この度はクリストファー殿と姉上の結婚の祝いに来ました。姉上をどうかよろしくお願いします。」
「こちらこそ、王女に来てもらってよかったよ。クリストファーはずっとミルアージュ王女一筋だ。王女に振られ、その後も他の令嬢と婚約をしないクリストファーをみて、このまま結婚しないかと焦っていた。ミルアージュ王女と結婚すると言ってから20年は、経ってるぞ。初恋をこじらせると怖いものだ。」
ハハハと大笑いするルーマン国王。
「それはそれは、クリストファー殿も純情ですね。大切な姉上を安心してお任せできそうだ。」
レンドランドも堂々とクリストファーの初恋を暴露するルーマン国王に笑いを噛み殺しながら言った。
後ろの宰相、軍部大将も肩がフルフルと震えているのを見ると笑いをこらえているのだろう。
当のクリストファーは
「こんなところで暴露をするなんて何考えているだ。」
と納得いかない様子だが、今までの行いを見れば、ルーマン国王に嫌がらせをされても仕方ないだろう。
ルーマン国王は真剣な顔に戻し
「色々と迷惑をかけたが、娘のことも頼みたい。」
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レンドランドはにっこり笑い
「彼女は私にはもったいないくらいの女性です。一生を共に歩んで行きたいと私は思っています。」
その一言を聞き、ルーマン国王はホッと安堵の表情を浮かべた。
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