18 / 27
レンドランドの告白
しおりを挟む
レンドランドは誰を見るわけでもなく遠くを見ていた。
「父上は素晴らしい王だった。ずっと尊敬していた。父としても統治者としても。健康を害しながらも、色々な政策を打ち出していた。王の引き継ぎ教育が始まり、政務の詳細がわかりさらに尊敬する気持ちが強くなった。」
レンドランドはミルアージュをフッと見て
「特にここ数年の政策が特に素晴らしかった。戦がなくなり国力が安定したのもあるだろう。しかし、この国の何十年も将来を見据えた政策は本当に驚かされた。」
レンドランドはキラキラした目をしてこの国の政策を語った後、フゥとため息をついた。
「そんな頃、宰相から真実を教えられた。姉上が行なっていた事だと‥」
そう、次代の王となるレンドランドへは真実を話さなければならない。
ミルアージュからしか引き継ぎのできないものも多かったからだ。
「そこで、姉上が長年、何をしてきたのかを知った。そこで私は思った。自分にはこれ以上の政策をできない。この国を導くのは私ではない。姉上が王になるべきだと。」
その想いがレンドランドの自殺未遂という最悪の結末を迎えた。
「なぜ相談してくれなかったの。レンドランド‥わたくしはあなたの母よ。その思いをどうして打ち明けてくれなかったの。」
涙を流しながら女王は言葉を発した。
レンドランドは黙って答えない。
代わりに見かねたミルアージュが答えた。
「言えなかったのですよ。レンドランドが王となるのを一番期待していたから。」
女王も国民たちも皆、レンドランドに期待していた。
まだ経験の少ないレンドランドにとっては過度な期待であり、プレッシャーだけが大きくなっていった。
「それは‥」
女王は政治には疎かった。
レンドランドの悩みを理解することは難しい。
ミルアージュの実力を見極めることはできないのだから。
そのことをレンドランドはわかっていた。
そして、王としての将来に期待している母にミルアージュの方が良い王になるなど言えなかった。
ミルアージュの目から見てレンドランドは王としての素質は十分あると思っている。
知識や経験が足りなければ、これから足していけばいい。
優秀な臣下も沢山いる。
協力しあって国を作り上げれば良いのだ。
だから、そんなに追い詰める必要はなかったと思うが、それはレンドランド自身の心の問題‥
王として全ての責任を負わねば‥
プレッシャーの中、自分より優れた者がいると知ったレンドランドの絶望がどのくらいのものだったのか。
亡くなった父王なら問題がなかった。
亡くなっている以上誰かが変わりをしないといけないのだから。
事実は違った。
姉という身近な存在であり、自分が生まれたことにより王位を奪ってしまった存在だ。
プレッシャーと不安の中、王となるべく努力していたレンドランドにとって心が折れてしまう程の衝撃だった。
王は統治する者、民の前に立ち、希望を与え守る者、民の前で常に強くいなければならない者‥
自分の役割を自ら放棄するような者に誰もついていかない。
王太子の自殺未遂が表に出れば、王位継承剥奪は間逃れない。
「父上は素晴らしい王だった。ずっと尊敬していた。父としても統治者としても。健康を害しながらも、色々な政策を打ち出していた。王の引き継ぎ教育が始まり、政務の詳細がわかりさらに尊敬する気持ちが強くなった。」
レンドランドはミルアージュをフッと見て
「特にここ数年の政策が特に素晴らしかった。戦がなくなり国力が安定したのもあるだろう。しかし、この国の何十年も将来を見据えた政策は本当に驚かされた。」
レンドランドはキラキラした目をしてこの国の政策を語った後、フゥとため息をついた。
「そんな頃、宰相から真実を教えられた。姉上が行なっていた事だと‥」
そう、次代の王となるレンドランドへは真実を話さなければならない。
ミルアージュからしか引き継ぎのできないものも多かったからだ。
「そこで、姉上が長年、何をしてきたのかを知った。そこで私は思った。自分にはこれ以上の政策をできない。この国を導くのは私ではない。姉上が王になるべきだと。」
その想いがレンドランドの自殺未遂という最悪の結末を迎えた。
「なぜ相談してくれなかったの。レンドランド‥わたくしはあなたの母よ。その思いをどうして打ち明けてくれなかったの。」
涙を流しながら女王は言葉を発した。
レンドランドは黙って答えない。
代わりに見かねたミルアージュが答えた。
「言えなかったのですよ。レンドランドが王となるのを一番期待していたから。」
女王も国民たちも皆、レンドランドに期待していた。
まだ経験の少ないレンドランドにとっては過度な期待であり、プレッシャーだけが大きくなっていった。
「それは‥」
女王は政治には疎かった。
レンドランドの悩みを理解することは難しい。
ミルアージュの実力を見極めることはできないのだから。
そのことをレンドランドはわかっていた。
そして、王としての将来に期待している母にミルアージュの方が良い王になるなど言えなかった。
ミルアージュの目から見てレンドランドは王としての素質は十分あると思っている。
知識や経験が足りなければ、これから足していけばいい。
優秀な臣下も沢山いる。
協力しあって国を作り上げれば良いのだ。
だから、そんなに追い詰める必要はなかったと思うが、それはレンドランド自身の心の問題‥
王として全ての責任を負わねば‥
プレッシャーの中、自分より優れた者がいると知ったレンドランドの絶望がどのくらいのものだったのか。
亡くなった父王なら問題がなかった。
亡くなっている以上誰かが変わりをしないといけないのだから。
事実は違った。
姉という身近な存在であり、自分が生まれたことにより王位を奪ってしまった存在だ。
プレッシャーと不安の中、王となるべく努力していたレンドランドにとって心が折れてしまう程の衝撃だった。
王は統治する者、民の前に立ち、希望を与え守る者、民の前で常に強くいなければならない者‥
自分の役割を自ら放棄するような者に誰もついていかない。
王太子の自殺未遂が表に出れば、王位継承剥奪は間逃れない。
10
お気に入りに追加
239
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
いかにも悪役令嬢な公爵令嬢、前世を思い出していかにもモブな男爵令息に猛アタックを仕掛ける。なお周りの迷惑は相変わらず気にしない模様。
下菊みこと
恋愛
異世界転生だけど人格は前世より現世の性格が強いです。嗜好だけ前世寄りになります。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
もしもゲーム通りになってたら?
クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが
もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら?
全てがゲーム通りに進んだとしたら?
果たしてヒロインは幸せになれるのか
※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。
※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。
※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!
21時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる