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コトミ爆発する
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ルーランさんと会った後、私は荒れていた。
アイーダの感情も入り込み、余計に今の環境に不満が大きくなっていたのだ。
何をどうして良いのかもわからない。
苛立ちだけがドンドン大きくなっていく。
「もう帰りたい。ここは私の生きていく世界じゃない。」
ポソリと声が漏れる。
この世界は大嫌いだ‥
もう元の世界では私の居場所なんかないけど‥
それでも帰りたい。
涙がこぼれそうになり、窓の外をみた。
青い空が広がっているのに‥
どうしてこんな所に私はいるの?
夜もなかなか眠れない。
ご飯も何を食べても美味しくない。
窓の側に座って外を眺めるだけ。
一日がそれで終わっていった。
ルイードはそんな私につきっきりになっていた。
いつも優しいのに、その望みに対しては
「それは無理だ。」
いつも答えは決まっていた。
フッと笑いが出る。
私の想いは一言で否定される。
そう、この世界に聖女様は必要だ。
だが、私は?
私個人はどうなる?
アイーダの代わりにただそこにいるだけ。
何のために今私はここにいる?
お茶のカップをルイード方に投げつける。
床に落ちて、割れる音がする。
「こんな所もうたくさんだよ!」
皆が聖女様と呼ぶ。
誰も本当の私を見ていない。
もう嫌だ。
逃げたい。
「コトミ、すまない。だが、俺はお前を外に出す事は出来ない。」
苦しそうな顔はするが、外には出してくれない。
自由はくれない。
ルイードは、私を名前を呼ぶ唯一の存在。
私がコトミであると意識させてくれる存在。
ルイードは涙が止まらない私の横に座りなおし、手を握った。
「お前は聖女だ、俺が守るから。お前の居場所を必ず作るから。だから、ここにいてくれ。」
苦しそうに顔を歪める。
私の望みなんて無視なんだね‥
笑いが出てくる。
誰も私を助けてくれないんだ。
この世界に味方なんていない。
「そんなに聖女様は大切なんだ。」
それを聞いたルイードは手の力を強めた。
「‥コトミ!俺はお前の事‥」
もう何も聞きたくない私はルイードの手を払いのけた。
「もう、何も言わなくていい。話しかけないで。」
そう、この国での私の存在価値‥
聖女様なのだ。
ルイードは黙った。
「出て行って‥一人にして。お願い。」
涙が止まらない。
パタンと扉の閉まる音がした。
ルイードが出て行った。
「誰かたすけて‥」
涙が止まらない。
「聖女様、ルイード様が来られていますが、どうされますか?」
ミルダさんが恐る恐る声をかけてきた。
「今後一切面会はしない。そう伝えてくれているのよね?」
私はあれからルイードとは会っていない。
会いたくないと拒否をしている。
「‥はい。ですが、一度だけどうしても会いたいとおっしゃっておいでです。」
ミルダさんは言いにくそうに言う。
ハァとため息が出る。
「公の場では仲の良い婚約者を振る舞うから、もうほっておいてと伝えて。二度と会いに来ないでと、これはお願いではなくルイードへの命令です。」
ミルダさんは一瞬驚いた顔をしたが、頭を下げ
「承知しました。」
と部屋をでた。
もう何もいらない。
こんな世界嫌だ。
コトミという存在を認めてくれる人は誰もいない。
このまま、消えてしまいたい。
でも、私が死んだらアイーダも死ぬんだよね‥
繋がってるから。
窓の外を見る。
今日も天気がいい。
どこまでも青い空が広がっている‥
扉の向こう側に騒がしくなった。
「ルイード様!お待ちください!」
ミルダさんの声が聞こえる。
バン!
扉が乱暴に開けられた。
そこには息を切らしたルイードがいた。
「コトミ‥」
「ルイード、あなたはもうその名前を呼ばないで。」
私を聖女としかみてくれない人に呼ばれたくない。
ルイードは傷ついた顔をした。
「あなたに伝えたはずだよ、二度と会いに来ないでと。」
「あぁ、ミルダから聞いた。それが命令だとも。」
「じゃあ、何でここにいるの?」
私の冷ややかな視線にルイードは戸惑ったように瞳を揺らした。
「そんなのは認められない!俺はお前の婚約者だ!」
ルイードは叫んだ。
「あなたに認められなくてもいいわ。命令よ。あなたは従う義務がある。婚約者であっても私の方が立場は上。そうあなたが教えてくれたのよね?聖女様だもの。」
ここで学んだ事。
ルイードが教えてくれた事。
王と同じ権限を持つ私は、立場だけならルイードより上。
彼から私に何も言う事ができない。
それがこの国の腐ったルール。
こんなただの女子高校生の命令に従うしかないルイードを見て吐き気がする。
「コトミ‥」
「その名前を口に出さないでと言わなかった?」
さらに冷ややかになっていく自分の心‥
ルイードは呆然と立ち尽くしていた。
無言のまま、時間は過ぎる。
「ルイード、そこまでだ。」
扉の方でレオさんの声がする。
「兄上‥」
「レオさん、ちょうど良いところにきてくれた。」
私はレオさんに向かって微笑んだ。
護衛の誰かが呼んだんだろう。
この場をおさめるために。
「ルイード、お前らしくもない。出直せ。聖女様のご命令だ。従わなければ強制的に排除するぞ。」
レオさんの圧にルイードは負け、しぶしぶ部屋を出て行った。
その後ろで私に頭を下げるレオさんに向かい
「もう二度とルイードをここに入れないで。」
とニッコリ笑う。
レオさんは少し驚いた顔をしたが、すぐに頭を下げる。
「‥承知しました。護衛に伝えておきましょう。本当にそれで良いのですか?」
「構いません。よろしくお願いします。」
私は微笑む。
これ以上傷つくのはもう沢山だ。
私はコトミ。
それは誰にも変えられない。
私が私として生きていくのにルイードは必要ない。
何としても、ここを出なければ‥私が私でなくなる。
アイーダの感情も入り込み、余計に今の環境に不満が大きくなっていたのだ。
何をどうして良いのかもわからない。
苛立ちだけがドンドン大きくなっていく。
「もう帰りたい。ここは私の生きていく世界じゃない。」
ポソリと声が漏れる。
この世界は大嫌いだ‥
もう元の世界では私の居場所なんかないけど‥
それでも帰りたい。
涙がこぼれそうになり、窓の外をみた。
青い空が広がっているのに‥
どうしてこんな所に私はいるの?
夜もなかなか眠れない。
ご飯も何を食べても美味しくない。
窓の側に座って外を眺めるだけ。
一日がそれで終わっていった。
ルイードはそんな私につきっきりになっていた。
いつも優しいのに、その望みに対しては
「それは無理だ。」
いつも答えは決まっていた。
フッと笑いが出る。
私の想いは一言で否定される。
そう、この世界に聖女様は必要だ。
だが、私は?
私個人はどうなる?
アイーダの代わりにただそこにいるだけ。
何のために今私はここにいる?
お茶のカップをルイード方に投げつける。
床に落ちて、割れる音がする。
「こんな所もうたくさんだよ!」
皆が聖女様と呼ぶ。
誰も本当の私を見ていない。
もう嫌だ。
逃げたい。
「コトミ、すまない。だが、俺はお前を外に出す事は出来ない。」
苦しそうな顔はするが、外には出してくれない。
自由はくれない。
ルイードは、私を名前を呼ぶ唯一の存在。
私がコトミであると意識させてくれる存在。
ルイードは涙が止まらない私の横に座りなおし、手を握った。
「お前は聖女だ、俺が守るから。お前の居場所を必ず作るから。だから、ここにいてくれ。」
苦しそうに顔を歪める。
私の望みなんて無視なんだね‥
笑いが出てくる。
誰も私を助けてくれないんだ。
この世界に味方なんていない。
「そんなに聖女様は大切なんだ。」
それを聞いたルイードは手の力を強めた。
「‥コトミ!俺はお前の事‥」
もう何も聞きたくない私はルイードの手を払いのけた。
「もう、何も言わなくていい。話しかけないで。」
そう、この国での私の存在価値‥
聖女様なのだ。
ルイードは黙った。
「出て行って‥一人にして。お願い。」
涙が止まらない。
パタンと扉の閉まる音がした。
ルイードが出て行った。
「誰かたすけて‥」
涙が止まらない。
「聖女様、ルイード様が来られていますが、どうされますか?」
ミルダさんが恐る恐る声をかけてきた。
「今後一切面会はしない。そう伝えてくれているのよね?」
私はあれからルイードとは会っていない。
会いたくないと拒否をしている。
「‥はい。ですが、一度だけどうしても会いたいとおっしゃっておいでです。」
ミルダさんは言いにくそうに言う。
ハァとため息が出る。
「公の場では仲の良い婚約者を振る舞うから、もうほっておいてと伝えて。二度と会いに来ないでと、これはお願いではなくルイードへの命令です。」
ミルダさんは一瞬驚いた顔をしたが、頭を下げ
「承知しました。」
と部屋をでた。
もう何もいらない。
こんな世界嫌だ。
コトミという存在を認めてくれる人は誰もいない。
このまま、消えてしまいたい。
でも、私が死んだらアイーダも死ぬんだよね‥
繋がってるから。
窓の外を見る。
今日も天気がいい。
どこまでも青い空が広がっている‥
扉の向こう側に騒がしくなった。
「ルイード様!お待ちください!」
ミルダさんの声が聞こえる。
バン!
扉が乱暴に開けられた。
そこには息を切らしたルイードがいた。
「コトミ‥」
「ルイード、あなたはもうその名前を呼ばないで。」
私を聖女としかみてくれない人に呼ばれたくない。
ルイードは傷ついた顔をした。
「あなたに伝えたはずだよ、二度と会いに来ないでと。」
「あぁ、ミルダから聞いた。それが命令だとも。」
「じゃあ、何でここにいるの?」
私の冷ややかな視線にルイードは戸惑ったように瞳を揺らした。
「そんなのは認められない!俺はお前の婚約者だ!」
ルイードは叫んだ。
「あなたに認められなくてもいいわ。命令よ。あなたは従う義務がある。婚約者であっても私の方が立場は上。そうあなたが教えてくれたのよね?聖女様だもの。」
ここで学んだ事。
ルイードが教えてくれた事。
王と同じ権限を持つ私は、立場だけならルイードより上。
彼から私に何も言う事ができない。
それがこの国の腐ったルール。
こんなただの女子高校生の命令に従うしかないルイードを見て吐き気がする。
「コトミ‥」
「その名前を口に出さないでと言わなかった?」
さらに冷ややかになっていく自分の心‥
ルイードは呆然と立ち尽くしていた。
無言のまま、時間は過ぎる。
「ルイード、そこまでだ。」
扉の方でレオさんの声がする。
「兄上‥」
「レオさん、ちょうど良いところにきてくれた。」
私はレオさんに向かって微笑んだ。
護衛の誰かが呼んだんだろう。
この場をおさめるために。
「ルイード、お前らしくもない。出直せ。聖女様のご命令だ。従わなければ強制的に排除するぞ。」
レオさんの圧にルイードは負け、しぶしぶ部屋を出て行った。
その後ろで私に頭を下げるレオさんに向かい
「もう二度とルイードをここに入れないで。」
とニッコリ笑う。
レオさんは少し驚いた顔をしたが、すぐに頭を下げる。
「‥承知しました。護衛に伝えておきましょう。本当にそれで良いのですか?」
「構いません。よろしくお願いします。」
私は微笑む。
これ以上傷つくのはもう沢山だ。
私はコトミ。
それは誰にも変えられない。
私が私として生きていくのにルイードは必要ない。
何としても、ここを出なければ‥私が私でなくなる。
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