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迫りよる影。
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あれ、夢の中じゃ地獄だったのに、ここって天国だっけ?
目が覚めた俺の両腕にメルリィとミチルが胸を押し付けて顔を俺の頬に押し当てている。
これは動けない。
色々な意味で動けない。
寝た振りでもするか。
目を閉じようとしたが目が閉じられない。
なんだ?
それに抱き締められてるのに温もりも感じられない。
空間に黒いシミがある。それがだんだん広がり人の形になる。
顔は見えない。いや、見えているのに見えない。
『もうすぐだ、もうすぐ時は動き出す』
声がでない、身体が一ミリも動かない。敵意は感じられないが、そいつはずっと俺を見ている。
そいつが俺に向かい手を伸ばす。その手は魔物の手で人の物ではなかった。
魔物なら戦わなければいけない。このままでは殺られる。魔物の指が俺の頬をなぞる。
そいつは牙の生えた口でニコリと笑うと身体がまた徐々に小さくなりシミになり消え去った。
シミが消えると俺の身体は動くようになって急激に温もりが戻ろ。抱きしめられていることで先ほどの恐怖が薄れるが恥ずかしくなって逆に身体が固まる。
二人の息づかいが感じられる。息が首元に当たるほどの近さだ。
「二人とも朝だよ、そろそろ起きよう」
二人を起こそうと腕を動かすが二人に抱きしめられた腕は動かせない。
「ふえぇ」
「う~ん、おはようマサト」
メルリィは目を覚ますと俺におはようの口づけをする。
「二人とも朝だよ、そろそろ――」
二人を起こそうとするとミチルが突然起きて俺に口づけをする。俺の頭はなにが起きたか理解できずに混乱する。
「わたし、マサト君を愛してます。メルリィさんには渡したくないんです」
そう言うと背中を向け乱れた髪を手櫛で整える。
「……いつから好きなんだ」
「そういうの聞いちゃいますか……」
「すまん」
我ながらアホなことを聞いたと思い素直に謝る。そんな俺を見てミチルはクスリと笑い、俺を好きになった経緯を話す。
「……中学生のときからですよ。マサト君は忘れてるみたいですけど、転校してきた私がいじめられてるのを助けてくれたのがマサト君なんです」
ミチルとの接点を思い出す。あれは俺が中二病まっしぐらの中学二年生の頃の話だ。
転校してきたミチルはその容姿からイジメにあっていた。中学二年生の頃からミチルは巨乳だったのだ。
ミチルをいじめてる女たちに向かい俺はこう言った。
「貧乳どもよ二つの胸には夢と希望が詰まってるんだ。だからミチルの胸はでかい。お前たちは夢も希望もないから嫉妬してるんだろう?」
当然俺は女子から『最低~』と言われ、完全無視された。だがミチルのイジメはそれでなくなった。
俺としては無視されるのは日常だから気にもしてなかったのだが、そんなことがミチルには大切な思い出だったのか。
俺を好きになるほどに……。
「おはようマサト、二人とも早いね」
目を覚ましたメルリィを罪悪感から見ることができなくなり無愛想に挨拶をしてしまった。
当然いつもと違うようすにメルリィは何かあったと聞くが俺は笑ってごまかした。
顔を見れなかったせいか、いつものおはようのキスは首筋にされた。メルリィにも何かおかしいと言うのがわかったからだろう。
メルリィに嫌な思いをさせたかもと俺は反省するように自分の頭を叩いた。
目が覚めた俺の両腕にメルリィとミチルが胸を押し付けて顔を俺の頬に押し当てている。
これは動けない。
色々な意味で動けない。
寝た振りでもするか。
目を閉じようとしたが目が閉じられない。
なんだ?
それに抱き締められてるのに温もりも感じられない。
空間に黒いシミがある。それがだんだん広がり人の形になる。
顔は見えない。いや、見えているのに見えない。
『もうすぐだ、もうすぐ時は動き出す』
声がでない、身体が一ミリも動かない。敵意は感じられないが、そいつはずっと俺を見ている。
そいつが俺に向かい手を伸ばす。その手は魔物の手で人の物ではなかった。
魔物なら戦わなければいけない。このままでは殺られる。魔物の指が俺の頬をなぞる。
そいつは牙の生えた口でニコリと笑うと身体がまた徐々に小さくなりシミになり消え去った。
シミが消えると俺の身体は動くようになって急激に温もりが戻ろ。抱きしめられていることで先ほどの恐怖が薄れるが恥ずかしくなって逆に身体が固まる。
二人の息づかいが感じられる。息が首元に当たるほどの近さだ。
「二人とも朝だよ、そろそろ起きよう」
二人を起こそうと腕を動かすが二人に抱きしめられた腕は動かせない。
「ふえぇ」
「う~ん、おはようマサト」
メルリィは目を覚ますと俺におはようの口づけをする。
「二人とも朝だよ、そろそろ――」
二人を起こそうとするとミチルが突然起きて俺に口づけをする。俺の頭はなにが起きたか理解できずに混乱する。
「わたし、マサト君を愛してます。メルリィさんには渡したくないんです」
そう言うと背中を向け乱れた髪を手櫛で整える。
「……いつから好きなんだ」
「そういうの聞いちゃいますか……」
「すまん」
我ながらアホなことを聞いたと思い素直に謝る。そんな俺を見てミチルはクスリと笑い、俺を好きになった経緯を話す。
「……中学生のときからですよ。マサト君は忘れてるみたいですけど、転校してきた私がいじめられてるのを助けてくれたのがマサト君なんです」
ミチルとの接点を思い出す。あれは俺が中二病まっしぐらの中学二年生の頃の話だ。
転校してきたミチルはその容姿からイジメにあっていた。中学二年生の頃からミチルは巨乳だったのだ。
ミチルをいじめてる女たちに向かい俺はこう言った。
「貧乳どもよ二つの胸には夢と希望が詰まってるんだ。だからミチルの胸はでかい。お前たちは夢も希望もないから嫉妬してるんだろう?」
当然俺は女子から『最低~』と言われ、完全無視された。だがミチルのイジメはそれでなくなった。
俺としては無視されるのは日常だから気にもしてなかったのだが、そんなことがミチルには大切な思い出だったのか。
俺を好きになるほどに……。
「おはようマサト、二人とも早いね」
目を覚ましたメルリィを罪悪感から見ることができなくなり無愛想に挨拶をしてしまった。
当然いつもと違うようすにメルリィは何かあったと聞くが俺は笑ってごまかした。
顔を見れなかったせいか、いつものおはようのキスは首筋にされた。メルリィにも何かおかしいと言うのがわかったからだろう。
メルリィに嫌な思いをさせたかもと俺は反省するように自分の頭を叩いた。
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