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神の加護。

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「それじゃあ元気でなメルリィ」

「長老も元気でね。次に会うときは子供見せに来るから」

 そう言うとメルリィはえ流布のみんなに手を振って別れた。
 俺たちは徒歩で次の町へと向かった。

 鎧は一度ミチルが素材にも度して、胸当てとガントレット、すね当てグリーブひざ当てポリンを装着し軽装備に変更した。
 フルメイルでも軽いから問題ないのだが鬱陶しいからな。
 それに武器は余ったミスリルと鉄を合金させ短めのブロードソードを作り、左腕には小型の盾バックラーを装備した。大剣は整理棚にしまってある。
 なんでも竜を殺すとその武器は竜の魂を得てドラゴンキラーになると言うからだ。

 スマホには俺とミチルの他にメルリィが表示されステータスを見ることができるようになっている。

名前:メルリィ

・体力 8/8
・知力 9/9
・魔力 20/20
・気力 5/5

 スキル:ストライクショットLV1

 メルリィには理4力はない。それに魔力以外は俺たちよりも全体的に低い。
 だがスキルと言うものを持っている。

「メルリィってスキル持ってるけどどうやって手にいれたんだ?」

「狩りしてたら、自然に手に入ったのよ」

「エルフって菜食主義じゃないの?」

「みんなお肉大好きよ、森の狩人って言われるくらいだしね」

 そう言えばラノベとかだと菜食主義とかばっかりだけど、よくよく考えるとエルフって弓が上手とか言う伝承があったよな。
 まあファンタジーの話だけど。実際に狩りが上手なら間違いではないわけか。

「あ、そうそう。神様の加護がないとスキルは手に入らないわよ。 私は月の女神アルミリスの加護があるわ」

「その加護はどこでもらえるんだ?」

「教会だけど、神様によって受ける加護が違うわよ」

「そうか、俺だとどんな神様が良いんだろう」

「マサトは戦士系だから戦神オルスか主神オンディーヌが良いけどオンディーヌの加護は王公貴族以外は受けさせてもらえないわね」

「じゃあ戦神オルスの加護をもらいたいね」

「私は?」

「ミチルって何で戦うの?」

「できれば戦いたくない」

「は?」

 ミチルの発言にメルリィが何を言ってるんだこいつはというような表情をする。

「ああ、メルリィ。俺たちの世界は戦いの無い世界だからミチルは戦いが苦手なんだよ」

「私たちの世界はそんなこと言ってられるような世界じゃないけど。まあそれなら平和の女神エレーネね、教会があるか分からないわよ。なにせ平和の女神なんて戦いに役に立たない加護しかくれないから」

「平和の女神エレーネですか。わたしその神様の加護が良いです」

 ”ブルブル”

 スマホが揺れ魔物が近くにいるのを知らせる。

「魔物だ3時の方向」

「?」
 メルリィが頭?マークだったので俺は魔物のいる方を指差した。

 メルリィはコクンとうなずくと弓を藪の方に向け矢を放った。魔物はまだ姿を見せていない。

”ギャッ” ”ぐぎゃ”

 二つの叫び声が聞こえスマホのマップから魔物が消えた。

「え? 倒したの?」

「倒しちゃまずかった?」

「いや全然良いんだけど見えてないよね」

「マサトが方向教えてくれたから見えたわよ」

「?」
 今度はおれが?マークである。
 メルリィの説明ではエルフは精霊に近い存在であり木々の声が聞こえ目を借りることができるのだと言う。

 つまり丸見えである。

 もちろん意識しなければ見えない。だからおれが方角を言ってくれたから木々の目を借りて狙い撃てたのだと言う。

 茂みの中に入るとコボルトが二匹額を撃ち抜かれ絶命していた。

 弓矢ってこんなに威力あるのか?と思って聞いたら、何でも神の加護は神の持つ武器と同じ武器を持つとその武器にも加護が与えられるのだと言う。

「ちなみにオルスはなんの武器?」

「鎚よ」

 うん却下、軍神オルスの加護はやめよう。俺は剣を振り回したいのだ。

 コボルトを素材化して整理棚に収納して街道に戻った俺は大剣や剣を使う神様はいないか聞いた。

「剣は戦争じゃ実用的じゃないからね。わたしの知る限り聞いたこと無いわ」

 はい加護無し決定。

 剣の良さが分からない神の加護などいらん。

 俺はそう決意して次の町を目指すのだった。
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