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20話

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 帰り道、鎧が重いので体力をあげるために、もう一度血液を燃焼させた。だけどダンジョン内と違い、血液が再び燃えるようなことはなかった。
 髪の色も変わっていない……。

「お姉ちゃん大丈夫?」
 肩で息をする私をホォスは心配そうに見る。鎧を脱ぎたいけど脱いでも重さが変わるどころか手に持つ分持ちにくくなるし逆に重くなる。
 このまま着て帰るしかない。
「うん、大丈夫よ……。」
 気丈に振る舞ってみたが一歩あるいただけでふらついてしまった。

「ごめんやっぱりダメ、ホォス肩貸して」
「うん」
 ホォスの肩を借りてフラフラになりながらも酒場にたどり着き、その場にヘタリ込みそうになるのをこらえて椅子に座ることができた。

「リリーただいま」
 私はテーブルに突っ伏しながらリリーに挨拶をする。
 品格とかそういうのはもはや私にはない、重いものは重いし疲れたものは疲れたのだ。
「ただいまです」
 ホォスも私に続いて挨拶をするが、行きと変わらず元気一杯だ。

「スティアおかえり、え、何その鎧……」
 リリーが銀色に光る私の鎧を見て駆け寄ってくる。

「ドロップアイテム」

「え、1階で?」

「うん、運が良かったわ」

「羽飾りの付いた白銀の鎧か……。まるで戦乙女ヴァルキリアね」
 戦乙女ヴァルキリアか、まあこんな体たらくじゃヴァルキリアもなにもないけどね。

「それで素材の成果はどう?」
 テーブルの対面にリリーは座ると倒れてる私の髪の毛をクルクルといじる。

「……バッチリよ」
 私は皮袋を取りだしテーブルに硬貨を撒き散らす。数えると金貨5枚銀貨13枚銅貨24枚になった。

「すごいじゃない」

「今日はAクラスの回収屋を低賃金で雇えてラッキーだったのよ」

「Aクラス!? すごい運が良かったわね」

「はぁ~もう無理ぃ、鎧が重い……」
「お姉ちゃん大丈夫?」
 突っ伏した私をホォスが横の椅子に座り私を覗き込み心配そうに見つめる。
 身動きできない私の鎧をリリーが剥ぎ取り、その鎧を片手であげたり下げたりを繰り返す。

「軽ッ、これが本当に重いの?」

「うん……、本当に重くて死ぬかと思ったわ、ありがとう」
 だけどまだ重い、嘘でしょ、服も重いんだけど。これ絶対重力攻撃受けてるよね?

『重力攻撃、プッ、おもしれぇ女』

 イラつく声が頭に響く。次に会ったら丸ハゲにしてやるわ。

「う、う、ダメだわ服も脱がして……」

「ちょ、ダメに決まってるでしょ」
 服を脱がせようとするホォスをリリーは止めると、そのまま肩を担がれ私は自分の部屋へと連れていかれた。
 ホォスはテーブルに撒かれた硬貨をまとめ皮袋に入れると銀の鎧を一つにまとめて私たちのあとをとことことついてくる。

 ホォスでも持てるんだ……。

 
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