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一部三章 アンジュ・ゾンダル
第29話 育成ゲームのステータスで乙女ゲームを攻略しよう
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数時間後、アンジュの体温と焚き火で暖められビィティはようやく起き上がることができた。
「ありがとうアンジュ」
「どういたしまして……」
お礼をいうビィティはまだ小刻みに震えているのでアンジュは彼を焚き火の前に座らせ、皮の敷物でビィティを包み込むとそのまま肩をつけて隣に座った。
肩から伝わる温もりにいつまでもこのままで居たいとアンジュは思ったが、彼女にはどうしても確認しなければならないことがあったのだ。それはビィティの疑問にも応えることになるから。
「……ねえビィティ、この世界って本当に『メアリーワールド』ってゲームなの?」
ビィティにはその質問の意味が理解できなかった。アンジュもいるしクラリスもいるミニダンジョンもあるこの世界は紛れもなく『メアリーワールド』だからだ。
質問の意味を理解しないビィティに、先程ベルリとクリンがアニメチックだった理由をアンジュは解く。
「二体の精霊がリアルだったから気がつかなかったんだけど、ビィティが連れてる精霊ってレインボーバスとアルカディアバードだよね?」
「一応、種族はそうだね」
ビィティの相づちにアンジュは満足するとコインを一枚弾いてビィティに見せる。
それはミニダンジョンで大量に確保した金貨だった。
「これはバルムントコインだよね」
バルムント金貨をアンジュはバルムントコインと呼ぶ、少しの違いはあれど、たいした違いはないのでビィティは頷いた。
「今あげた名前はスマホゲームの『精霊ファーム』のキャラとアイテムなんだけど?」
「なんだって!?」
アンジュの言葉にビィティは驚く。彼はこの世界は『メアリーワールド』だと確信してたからこそ、攻略通りにやる価値があった。もし違うゲームの世界だとしたらクラリスを救う計画は根底から覆ってしまうことになってしまう。
しかし、確実にこの世界は『メアリーワールド』でもある。だが、確かに知らないアイテムがあったり、いないはずの精霊が居たりと『メアリーワールド』から逸脱してる部分の説明がつく。
他のゲーム、『精霊ファーム』が介入した為に起こった変異だとしたら、この世界の乙女ゲームはどうなってしまうのだと言う恐怖が彼の頭をよぎった。
シナリオの崩壊、今のビィティにはそれがとても恐ろしかった。
アンジュの話とビィティが知りうる『メアリーワールド』以外のアイテム等の相違点を話し合ってみると確実に『精霊ファーム』と言うゲームが関係していることが分かった。
『精霊ファーム』とは。
地球に突如現れた精霊達は生きる為に人間に取り憑き精神を支配した。精霊に取り憑かれた人間達はその力を使い人間の世界を支配した。
人間側も反撃に出たが精霊には現代兵器は一切効果がなかった。
精霊に支配された世界では人間達は家畜同然の扱いを受けており、まるで乾電池を交換するように精気を吸われ死んでいった。
滅亡するだけに思えた人類に一人の天才科学者ツルミが現れ、精霊達と戦う術を産み出した。
精霊に現代兵器が効かないなら精霊を使って倒せばいい。
そう考えたツルミは動物を精霊化する技術を開発した。
ツルミが作った精霊はレベルアップが可能で少しの精気でナチュラルに匹敵する力を出すことが可能だった。
そして人工的に作ったことから、その精霊達をフェイクと呼んだ。
だが王級のナチュラルは強くフェイクでは到底勝つことはできなかった。
そこでツルミはフェイクをパワーアップするためのアイテムを数種類考え出した。
その一つがアーティファクト精霊なのだ。
アーティファクト精霊には二種類の系統が存在する。
八百万神系と付喪神系があり。前者は精霊と融合し後者は精霊に武装を授ける。
作り方はスマホで写真を撮って精霊化できるようであれば、バルムントコインを千枚支払うと製造できる。
バルムントコインは錬金術で作られており、その中に錬金の秘術が内封されており写真で万物の魂を吸い出し器とし錬金の秘術で精霊を作り出すのだ。
「写真は魂を吸うって明治かな?」とビィティは声をだして笑う。自分が好きなゲームを笑われたのでアンジュはビィティの脇腹をつねって怒る。
「次笑ったら許さない」
「ごめんごめん、でも面白そうなゲームだね」
ビィティはつねられた脇をさすりながら片手で手刀を作り謝る。
「そうでしょ!? あっちで知り合ってたらレイドとか協力プレイできたのに」とアンジュは悔しがった。
ただ明人はあちらの世界ではスマホにはゲームを入れない主義なのでそれは無理な話だなと苦笑する。
「でもアンジュの話を聞いて得心したよ。この世界は二つの世界、『メアリーワールド』と『精霊ファーム』が合わさった世界なんだね」
「二つの世界が合わさった?」
「そう、だけどメインは『メアリーワールド』で、その世界に『精霊ファーム』が組み込まれた感じだね」
「なんでそう思うの?」
「ナチュラルは人間と敵対しないで共生してるからね」
『精霊ファーム』のストーリの骨子であるナチュラルが人間を餌にして敵対していない時点でこの世界は『メアリーワールド』なんだとビィティは言う。
「あー、確かにそうね」
その後も色々『精霊ファーム』の情報をアンジュに聞いた。ただ、そこで分かったのはアンジュに死ぬ可能性ができてしまったと言うことだ。
通常『メアリーワールド』でどんなにピンチな出来事があってもアンジュは死なない。あのビィティが頑張って倒した魔結晶も騎士は全滅したとしてもアンジュは一人で倒しているのだ。
だが杏子が転生したアンジュは魔法使いではなく精霊使いだ。そうなると精霊を持っていないアンジュにはイベントをクリアーできないのだ。つまりあの魔結晶に殺されていた。
「でも、これなら王子と結婚しなくてもビィティと結婚すれば良いんじゃない? 同じ世界の住人だしたぶん楽しく暮らせると思うよ」
顔を赤らめながら言うアンジュにビィティは頭を下げる。
「……ごめん、俺はアンジュに謝ならければいけないことがあるんだ」
そう言うとビィティは今までの経緯をすべて話した。好きな女性のこと、アンジュを王子と結婚させてクラリスを救おうとしたことなど、包み隠さず全て。
ビィティは頭を下げたまま顔をあげなかった。自分がどうしようもなく下衆に思えて。
アンジュに下衆な自分を見られたくなくて。
「そう、そう言う経緯があったんだね」
「ごめん、俺は最低だ」
「いいよ、私、王子と結婚する。玉の輿なんて最高じゃない?」
ビィティの顔をあげさせ、にこやかに笑うアンジュの顔に迷いは無かった。
ビィティの為、いや明人のために自分を犠牲にしても彼に幸せになって欲しいのだ。
「いや、それは――」
「良いんだよ! 私は王子と結婚したいの、自由でいるために。クラリスの為でもビィティ為でもないよ」
叫ぶように言うアンジュにビィティは気圧されてしまい彼女の提案を飲んでしまう。
「本当に良いのか?」
「ただクラリスと一緒に旅立つ日までは私の側で私を守る騎士様でいてくださいね?」
そう言って笑うアンジュに救われる思いがするものの本当にこれでいいのかとビィティは自問自答する。
「ああ、王子のことは関係なくアンジュは絶対に俺が守るよ」
「良かった……」
そう言うとアンジュはビィティの肩に頭を置いて焚き火を見た。
「でも、安心した。明人さんが明人さんで。命を懸けてクラリスさんを救うなんて、まるで新聞に載っていた出来事と同じじゃない」
「そんなに立派なものじゃないよ。俺のせいで師匠が死んでしまったんだし」
だが、アンジュはそれは思い違いだとビィティに言う。ベスタは魔王を倒す旅には同伴できないはずだと。
ナチュラルはフェイクと違ってレベルがない。だからナチュラルを使う人間は精気を大量に消費してしまう。
若いときから戦っていたなら、すでにボロボロだったのではないかと言う。
だから人里離れた山の中で暮らしていたのではないかと。
「そんな都合が良い話……」
「でも、ナチュラルが人間を電池のように使うのは純然たる事実よ」
師匠が自分のせいで死んだのは変わらないが、アンジュの言葉でいくらか救われた自分がいるのをビィティは感じていた。
「ねぇ、ビィティこれって精霊石じゃない?」
アンジュはビィティの首もとにかけてあるネックレスを指差して言う。
「これがなんだかわかるの?」
「青い精霊石なら精霊石(中)ね。それは生気の使用量を25%減らす効果があるわ」
宝石を見て見えるテキストの精気と生気の違いにアンジュは疑問を持ったが、誤植かなと思いその後は特に気にすることもなかった。
「これも『精霊ファーム』のアイテムなのか、命の恩人の師匠の形見なんだよ。でも、すごいね見ただけで分かるなんて、かなりやりこんだの?」
「ん? 違うよ私の目にはアイテムの名前が写っているの、効果までね」
その言葉を聞いてビィティの背筋が一瞬凍った。
アイテムを鑑定できる目、それはシステムに起因している。ビィティでもアイテム名は見えない。
それなのにアンジュはアイテム名が見えると言う、情報まで……。
「……アンジュ、ゲーム画面みたいなのでないか?」
ビィティに言われアンジュは首を捻りながら考える。
「うーん。あ! でた!」
「それってどんな画面だ?」
「普通に『精霊ファーム』の画面だよ」
それは、ビィティにとって死刑宣告に近かった。精霊ファームは精霊をレベルアップさせて戦うゲームだ。つまり、アンジュにはレベルはおろか攻略対象との親愛度を計るパラメーターが無いと言うことなのだ。
つまり、親愛度もステータスも何も分からない状態で攻略対象を攻略しなければいけないのだ。
見た目はアンジュだが、杏子が転生したアンジュは『精霊ファーム』のプレイヤーでしかない。
乙女ゲームをするために必要な機能を持っていないのだ。
モンスター育成系ゲームの主人公が乙女ゲームの攻略難度MAXのイケメン男子を堕とさなければいけない、どんなハードプレイだよとビィティは肩を落とした。
「ありがとうアンジュ」
「どういたしまして……」
お礼をいうビィティはまだ小刻みに震えているのでアンジュは彼を焚き火の前に座らせ、皮の敷物でビィティを包み込むとそのまま肩をつけて隣に座った。
肩から伝わる温もりにいつまでもこのままで居たいとアンジュは思ったが、彼女にはどうしても確認しなければならないことがあったのだ。それはビィティの疑問にも応えることになるから。
「……ねえビィティ、この世界って本当に『メアリーワールド』ってゲームなの?」
ビィティにはその質問の意味が理解できなかった。アンジュもいるしクラリスもいるミニダンジョンもあるこの世界は紛れもなく『メアリーワールド』だからだ。
質問の意味を理解しないビィティに、先程ベルリとクリンがアニメチックだった理由をアンジュは解く。
「二体の精霊がリアルだったから気がつかなかったんだけど、ビィティが連れてる精霊ってレインボーバスとアルカディアバードだよね?」
「一応、種族はそうだね」
ビィティの相づちにアンジュは満足するとコインを一枚弾いてビィティに見せる。
それはミニダンジョンで大量に確保した金貨だった。
「これはバルムントコインだよね」
バルムント金貨をアンジュはバルムントコインと呼ぶ、少しの違いはあれど、たいした違いはないのでビィティは頷いた。
「今あげた名前はスマホゲームの『精霊ファーム』のキャラとアイテムなんだけど?」
「なんだって!?」
アンジュの言葉にビィティは驚く。彼はこの世界は『メアリーワールド』だと確信してたからこそ、攻略通りにやる価値があった。もし違うゲームの世界だとしたらクラリスを救う計画は根底から覆ってしまうことになってしまう。
しかし、確実にこの世界は『メアリーワールド』でもある。だが、確かに知らないアイテムがあったり、いないはずの精霊が居たりと『メアリーワールド』から逸脱してる部分の説明がつく。
他のゲーム、『精霊ファーム』が介入した為に起こった変異だとしたら、この世界の乙女ゲームはどうなってしまうのだと言う恐怖が彼の頭をよぎった。
シナリオの崩壊、今のビィティにはそれがとても恐ろしかった。
アンジュの話とビィティが知りうる『メアリーワールド』以外のアイテム等の相違点を話し合ってみると確実に『精霊ファーム』と言うゲームが関係していることが分かった。
『精霊ファーム』とは。
地球に突如現れた精霊達は生きる為に人間に取り憑き精神を支配した。精霊に取り憑かれた人間達はその力を使い人間の世界を支配した。
人間側も反撃に出たが精霊には現代兵器は一切効果がなかった。
精霊に支配された世界では人間達は家畜同然の扱いを受けており、まるで乾電池を交換するように精気を吸われ死んでいった。
滅亡するだけに思えた人類に一人の天才科学者ツルミが現れ、精霊達と戦う術を産み出した。
精霊に現代兵器が効かないなら精霊を使って倒せばいい。
そう考えたツルミは動物を精霊化する技術を開発した。
ツルミが作った精霊はレベルアップが可能で少しの精気でナチュラルに匹敵する力を出すことが可能だった。
そして人工的に作ったことから、その精霊達をフェイクと呼んだ。
だが王級のナチュラルは強くフェイクでは到底勝つことはできなかった。
そこでツルミはフェイクをパワーアップするためのアイテムを数種類考え出した。
その一つがアーティファクト精霊なのだ。
アーティファクト精霊には二種類の系統が存在する。
八百万神系と付喪神系があり。前者は精霊と融合し後者は精霊に武装を授ける。
作り方はスマホで写真を撮って精霊化できるようであれば、バルムントコインを千枚支払うと製造できる。
バルムントコインは錬金術で作られており、その中に錬金の秘術が内封されており写真で万物の魂を吸い出し器とし錬金の秘術で精霊を作り出すのだ。
「写真は魂を吸うって明治かな?」とビィティは声をだして笑う。自分が好きなゲームを笑われたのでアンジュはビィティの脇腹をつねって怒る。
「次笑ったら許さない」
「ごめんごめん、でも面白そうなゲームだね」
ビィティはつねられた脇をさすりながら片手で手刀を作り謝る。
「そうでしょ!? あっちで知り合ってたらレイドとか協力プレイできたのに」とアンジュは悔しがった。
ただ明人はあちらの世界ではスマホにはゲームを入れない主義なのでそれは無理な話だなと苦笑する。
「でもアンジュの話を聞いて得心したよ。この世界は二つの世界、『メアリーワールド』と『精霊ファーム』が合わさった世界なんだね」
「二つの世界が合わさった?」
「そう、だけどメインは『メアリーワールド』で、その世界に『精霊ファーム』が組み込まれた感じだね」
「なんでそう思うの?」
「ナチュラルは人間と敵対しないで共生してるからね」
『精霊ファーム』のストーリの骨子であるナチュラルが人間を餌にして敵対していない時点でこの世界は『メアリーワールド』なんだとビィティは言う。
「あー、確かにそうね」
その後も色々『精霊ファーム』の情報をアンジュに聞いた。ただ、そこで分かったのはアンジュに死ぬ可能性ができてしまったと言うことだ。
通常『メアリーワールド』でどんなにピンチな出来事があってもアンジュは死なない。あのビィティが頑張って倒した魔結晶も騎士は全滅したとしてもアンジュは一人で倒しているのだ。
だが杏子が転生したアンジュは魔法使いではなく精霊使いだ。そうなると精霊を持っていないアンジュにはイベントをクリアーできないのだ。つまりあの魔結晶に殺されていた。
「でも、これなら王子と結婚しなくてもビィティと結婚すれば良いんじゃない? 同じ世界の住人だしたぶん楽しく暮らせると思うよ」
顔を赤らめながら言うアンジュにビィティは頭を下げる。
「……ごめん、俺はアンジュに謝ならければいけないことがあるんだ」
そう言うとビィティは今までの経緯をすべて話した。好きな女性のこと、アンジュを王子と結婚させてクラリスを救おうとしたことなど、包み隠さず全て。
ビィティは頭を下げたまま顔をあげなかった。自分がどうしようもなく下衆に思えて。
アンジュに下衆な自分を見られたくなくて。
「そう、そう言う経緯があったんだね」
「ごめん、俺は最低だ」
「いいよ、私、王子と結婚する。玉の輿なんて最高じゃない?」
ビィティの顔をあげさせ、にこやかに笑うアンジュの顔に迷いは無かった。
ビィティの為、いや明人のために自分を犠牲にしても彼に幸せになって欲しいのだ。
「いや、それは――」
「良いんだよ! 私は王子と結婚したいの、自由でいるために。クラリスの為でもビィティ為でもないよ」
叫ぶように言うアンジュにビィティは気圧されてしまい彼女の提案を飲んでしまう。
「本当に良いのか?」
「ただクラリスと一緒に旅立つ日までは私の側で私を守る騎士様でいてくださいね?」
そう言って笑うアンジュに救われる思いがするものの本当にこれでいいのかとビィティは自問自答する。
「ああ、王子のことは関係なくアンジュは絶対に俺が守るよ」
「良かった……」
そう言うとアンジュはビィティの肩に頭を置いて焚き火を見た。
「でも、安心した。明人さんが明人さんで。命を懸けてクラリスさんを救うなんて、まるで新聞に載っていた出来事と同じじゃない」
「そんなに立派なものじゃないよ。俺のせいで師匠が死んでしまったんだし」
だが、アンジュはそれは思い違いだとビィティに言う。ベスタは魔王を倒す旅には同伴できないはずだと。
ナチュラルはフェイクと違ってレベルがない。だからナチュラルを使う人間は精気を大量に消費してしまう。
若いときから戦っていたなら、すでにボロボロだったのではないかと言う。
だから人里離れた山の中で暮らしていたのではないかと。
「そんな都合が良い話……」
「でも、ナチュラルが人間を電池のように使うのは純然たる事実よ」
師匠が自分のせいで死んだのは変わらないが、アンジュの言葉でいくらか救われた自分がいるのをビィティは感じていた。
「ねぇ、ビィティこれって精霊石じゃない?」
アンジュはビィティの首もとにかけてあるネックレスを指差して言う。
「これがなんだかわかるの?」
「青い精霊石なら精霊石(中)ね。それは生気の使用量を25%減らす効果があるわ」
宝石を見て見えるテキストの精気と生気の違いにアンジュは疑問を持ったが、誤植かなと思いその後は特に気にすることもなかった。
「これも『精霊ファーム』のアイテムなのか、命の恩人の師匠の形見なんだよ。でも、すごいね見ただけで分かるなんて、かなりやりこんだの?」
「ん? 違うよ私の目にはアイテムの名前が写っているの、効果までね」
その言葉を聞いてビィティの背筋が一瞬凍った。
アイテムを鑑定できる目、それはシステムに起因している。ビィティでもアイテム名は見えない。
それなのにアンジュはアイテム名が見えると言う、情報まで……。
「……アンジュ、ゲーム画面みたいなのでないか?」
ビィティに言われアンジュは首を捻りながら考える。
「うーん。あ! でた!」
「それってどんな画面だ?」
「普通に『精霊ファーム』の画面だよ」
それは、ビィティにとって死刑宣告に近かった。精霊ファームは精霊をレベルアップさせて戦うゲームだ。つまり、アンジュにはレベルはおろか攻略対象との親愛度を計るパラメーターが無いと言うことなのだ。
つまり、親愛度もステータスも何も分からない状態で攻略対象を攻略しなければいけないのだ。
見た目はアンジュだが、杏子が転生したアンジュは『精霊ファーム』のプレイヤーでしかない。
乙女ゲームをするために必要な機能を持っていないのだ。
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