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第六話 銀髪の皇女
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倉庫に置かれたパレットの上にマットレスを置いた簡易ベッドの上で目覚めたカテリーナは暗くて高い天井を見上げてため息をついた。
まだ助けが来ない……
悪霊のゾルゲと名乗った老人は自分を人質にするつもりはないと断言したけど、テロ組織のリーダーにするつもりだと知って困った。
人質の方が何百倍もマシ、すでに何人も平然と殺しているテロ組織のリーダーなんかに据えられたら死刑になる。
今ならまだ間に合うから、早く助けに来てと必死で祈ったけど、日本の警察が無能なのか、彼らが優秀なのか解らないけど助けは来なかった。
カテリーナは隣で平気で寝ている杉原巡査長を起こすと、希望を込めてすがった。
「杉原さん、アナタだけ逃げて」
杉原巡査長が逃げても自分が殺される心配はない、杉原巡査長が警察に連絡すればすぐに警察が駆け付けてくれる。
ココで最善手なのは強い杉原巡査長が単独で逃げ出して助けを呼ぶことだと思ったからだ。
しかし、杉原巡査長は職務に忠実だった。
「カテリーナさんを捨てて逃げられません」
カテリーナは小さな声で打ち明けた。
「アナタだけなら逃げられるから助けを呼んできて」
杉原巡査長は冷静に答えた。
「無理です、この人達はどう見ても軍の特殊部隊経験者です、逃げても撃たれて終わりです」
カテリーナは必死で訴えた。
「杉原さんは銃を持ってるでしょう」
杉原巡査長はどこまでも冷静だった。
「日本のSPは設立以来、実戦で発砲したことは一度も無いんです、勝てません」
カテリーナはガッカリうなだれた。
ベットから出ると、トーニャと恋人のニコライが朝食の準備をしていた。
トーニャが焼いてくれたオムレツは中が絶妙な半熟で美味しい。
野菜スープと焼いたパンも絶妙に美味しかった。
コンビニで売っているような食材とカセットコロンなのに腕がいいから絶妙な加減だった。
朝食が終終わると、悪霊のゾルゲと名乗った老人がやってきた。
カテリーナは怯えた。
バレたら死……
バレなかったらテロ組織の親玉にされる。
バレてもバレなくても終わり……
老人は優しげに話し始めた。
「ニコライとトーニャから伺いました、さすがプーチン閣下の御令嬢だ、同志達も賛同してくれました」
「不平等も貧困も無くならない現実は変えられないでしょう」
「私達は平等ではなく万人が普通になる世界を目指して新政府を作ります」
カテリーナは怖かった、ちょっと適当なことを言っただけで勝手にテロ組織の政治方針になってしまった。
この人達は貴族なんかいらない、ロシアの新貴族を打倒すると言っているのに、結局は王女様を求めている。
何とかしないと、テロ組織の親玉にされて死刑になってしまう。
狂った正義で殺戮を繰り広げる悪霊と貴族を否定しながら貴族を求める革命家
矛盾の塊みたいな連中を相手にどうしたら良いのか悩んだ。
カテリーナは良い方法を思いついた。
警察に捕まったら正直にプーチンの娘と間違えられただけの被害者だと言い張れば良いんだ。
私も覆面で顔を隠そう。
なんとかテロに参加したことを誤魔化して拉致された被害者で通す。
それ以外に生き残る方法はないとひらめいた。
それから数日後、カテリーナは被害者ズラして逃げるために革命会議は全員覆面で行おうと言って誤魔化した。
発表される声明文にも写真や身体的特徴は一切載せないように頼んでみた。
そうしたら、組織の象徴として何かないと困ると言われた。
仕方が無いので、銀髪を広めて貰うことにした。
銀髪は地毛だと言い張ろう。
本当は染めてるだけで地毛は黒いから、黒髪に戻れば誤魔化せる。
革命組織、十月蜂起は銀髪の皇女カテリーナ・ウラジミロヴナ・プーチナの名前で新しい声明を出した。
声明文を見たロシア政府は、手のひらを返してソイツはニセモノだと言い始めたが手遅れだった。
まだ助けが来ない……
悪霊のゾルゲと名乗った老人は自分を人質にするつもりはないと断言したけど、テロ組織のリーダーにするつもりだと知って困った。
人質の方が何百倍もマシ、すでに何人も平然と殺しているテロ組織のリーダーなんかに据えられたら死刑になる。
今ならまだ間に合うから、早く助けに来てと必死で祈ったけど、日本の警察が無能なのか、彼らが優秀なのか解らないけど助けは来なかった。
カテリーナは隣で平気で寝ている杉原巡査長を起こすと、希望を込めてすがった。
「杉原さん、アナタだけ逃げて」
杉原巡査長が逃げても自分が殺される心配はない、杉原巡査長が警察に連絡すればすぐに警察が駆け付けてくれる。
ココで最善手なのは強い杉原巡査長が単独で逃げ出して助けを呼ぶことだと思ったからだ。
しかし、杉原巡査長は職務に忠実だった。
「カテリーナさんを捨てて逃げられません」
カテリーナは小さな声で打ち明けた。
「アナタだけなら逃げられるから助けを呼んできて」
杉原巡査長は冷静に答えた。
「無理です、この人達はどう見ても軍の特殊部隊経験者です、逃げても撃たれて終わりです」
カテリーナは必死で訴えた。
「杉原さんは銃を持ってるでしょう」
杉原巡査長はどこまでも冷静だった。
「日本のSPは設立以来、実戦で発砲したことは一度も無いんです、勝てません」
カテリーナはガッカリうなだれた。
ベットから出ると、トーニャと恋人のニコライが朝食の準備をしていた。
トーニャが焼いてくれたオムレツは中が絶妙な半熟で美味しい。
野菜スープと焼いたパンも絶妙に美味しかった。
コンビニで売っているような食材とカセットコロンなのに腕がいいから絶妙な加減だった。
朝食が終終わると、悪霊のゾルゲと名乗った老人がやってきた。
カテリーナは怯えた。
バレたら死……
バレなかったらテロ組織の親玉にされる。
バレてもバレなくても終わり……
老人は優しげに話し始めた。
「ニコライとトーニャから伺いました、さすがプーチン閣下の御令嬢だ、同志達も賛同してくれました」
「不平等も貧困も無くならない現実は変えられないでしょう」
「私達は平等ではなく万人が普通になる世界を目指して新政府を作ります」
カテリーナは怖かった、ちょっと適当なことを言っただけで勝手にテロ組織の政治方針になってしまった。
この人達は貴族なんかいらない、ロシアの新貴族を打倒すると言っているのに、結局は王女様を求めている。
何とかしないと、テロ組織の親玉にされて死刑になってしまう。
狂った正義で殺戮を繰り広げる悪霊と貴族を否定しながら貴族を求める革命家
矛盾の塊みたいな連中を相手にどうしたら良いのか悩んだ。
カテリーナは良い方法を思いついた。
警察に捕まったら正直にプーチンの娘と間違えられただけの被害者だと言い張れば良いんだ。
私も覆面で顔を隠そう。
なんとかテロに参加したことを誤魔化して拉致された被害者で通す。
それ以外に生き残る方法はないとひらめいた。
それから数日後、カテリーナは被害者ズラして逃げるために革命会議は全員覆面で行おうと言って誤魔化した。
発表される声明文にも写真や身体的特徴は一切載せないように頼んでみた。
そうしたら、組織の象徴として何かないと困ると言われた。
仕方が無いので、銀髪を広めて貰うことにした。
銀髪は地毛だと言い張ろう。
本当は染めてるだけで地毛は黒いから、黒髪に戻れば誤魔化せる。
革命組織、十月蜂起は銀髪の皇女カテリーナ・ウラジミロヴナ・プーチナの名前で新しい声明を出した。
声明文を見たロシア政府は、手のひらを返してソイツはニセモノだと言い始めたが手遅れだった。
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