44 / 80
外伝 錬金術師が悪い死霊術士と戦うお話
外伝6 必殺技
しおりを挟む聖女セイラの協力を得ることができた私は、死霊術士のユージと戦うための装備や道具作りに没頭した。
その結果、様々な強力な装備や道具を作ることができた。もちろん色々な物を鑑定してレベル上げも同時に行った。
まず武器は、光属性の魔法武器の薙刀を作成した。薙刀の見本は私が持っていた物しかなかったので、私が持っていた薙刀を基に、セイラにもらった素材で錬金と合成と付与を行って作成した。
合成は同じ種類の物を合成して強化するスキルで、例えば同じポーションを二つ合成すると1.5倍ほどの効果の強化ポーションができる。武器も同じ種類の物を合成すれば特殊効果や強度などが強化できる。
付与は、属性を持つ素材などを使って武器などに属性を付与し魔法装備を作ることができる。
ただし合成も付与も一度しか行えないので、際限なく強化できるわけではない。
そして合成も付与も錬金で作れる物にしかできない。錬金と同じ知識や設備が必要だ。
合成して強化した薙刀に光属性を付与して光の薙刀を作った。強い光属性の素材は非常に貴重なので光属性の装備は一つしか作れなかったが、光の薙刀にMPを込めればアンデッドには非常に高い効果があるだろう。
防具は、動きやすい軽鎧タイプの身体能力が上がる特殊効果のある防具を作成し、合成と風属性付与で強化した。風属性の防具は、MPを込めれば風を起こして加速する効果と空気抵抗を減らす効果があり、かなり速く走れるようになる。敵に突撃する時や逃げる相手を追う時に役に立つだろう。
それ以外にも、物理攻撃が上がる腕輪、魔法攻撃が上がる首輪、魔法の靴を作成した。
特に戦闘力アップの効果が高かったのは魔法の靴で、これまでは身体能力が上がっても、地面が凹んだり、滑ったりして、地面の強度や摩擦が足りなくて一定以上速く動くことができなかった。体も浮いてしまうので、動くときは足の力を加減して動く必要があった。
風属性の防具は一直線に走る最高速度は向上したが、反復横跳びのような方向転換や急加速の速さはほとんど上がらなかった。
しかし魔法の靴はMPを消費してこれを解消でき、全力で地面を蹴っても十分なグリップを得て急加速や方向転換をすることができた。それに加えて、クールタイムはあるが数回空中を蹴ることもできたので、立体的な動きができるようになり、戦闘中の機動力が劇的に向上した。
装備品以外では、中型馬車サイズのマジックバッグを作成できた。重量を十分の一程度に軽減する効果もあり、荷物運びが楽になるとともに様々な戦闘用の武器や道具の携帯が可能になった。
死霊術士のユージと戦うにあたり、アンデッドと戦う装備は用意できたが、それだけでは不十分だ。肝心のユージ本人への対策を考える必要がある。
ユージは10メートル以内の相手を見ただけで即死させる能力がある。薙刀で正面から戦っても即死させられ私は勝てない。
倒す手段としては、背後から攻撃するか、目を潰したあと攻撃するか、射程外から遠距離攻撃をする必要がある。
私は姿を消して背後から不意打ちするような能力は無いし、機動力を生かして背後から攻撃できたとしても、一撃で殺せなければ見られただけで殺されてしまう。それでは勝率が低すぎる。
目を潰す手段は薬品や煙幕などを用意するが、ガスマスクなんて無いので自分も近づきにくくなる。それに防がれたり回復されたりする可能性があり、攻撃のために接近している最中に回復されてしまえばやられてしまう。
これら二つは、どうしても接近する必要があるため、即死させられる可能性や敵に仲間がいることも考えると勝率は高くない。
やはり一番勝率が高いのは強力な遠距離攻撃で死体収納の射程外から殺すことだ。
しかし私の職業は槍士と戦士という近接職なので遠距離攻撃の手段は多くない。
そこで私が目を付けたのが、スマッシュジャベリンという槍投げスキルだ。
槍投げというと原始的なイメージがあるが、その攻撃力は非常に高く、実際にマンモスなどの大型獣の狩に使われていただけあって、一発の威力は普通の弓を大きく上回る。持てる弾数が少ないことや敵に拾われて使われることなどから戦争では弓の方が有利だったが、威力だけ見れば非常に強力だ。
試しにスキルを使ってみたところ、普通の槍をただ投げるだけでもかなり強力だった。
さらに投槍器を使用すると威力が倍増し、さらに魔法武器の槍を使えば魔法攻撃分威力が上がるだろう。
投槍器というのは先の方に槍をひっかける突起がついた棒で、マンモスの狩などに使われていた原始的なものだが、非常に効果が高く、お笑い芸人に使わせたらオリンピック選手より高威力の槍投げができたと聞いたことがある。
装備で強化された私の高い身体能力、物理攻撃、魔法攻撃を十全に生かし、投槍器と投槍スキルで増幅して放つ技になるので、かなりの高威力が期待できる。
投槍用の槍は火属性にした。光属性素材は貴重で手に入らないし、人間には光より火の方が効果が高いからだ。アンデッドにも火は効果が高い。
さらに投槍器を風属性付与と合成で強化した。風属性で加速して空気抵抗も下げることができる。火との相性も良い。
訓練場で試し撃ちをすることにした。今の私の全力を試す。
槍、鎧、靴、投槍器にMPを込め、身体強化と物理攻撃強化のスキルも発動する。全身に様々な色のオーラが立ち上る。
槍に火をまとわせ、鎧で追い風を起こしながら前へ踏み出し、靴でしっかりと大地を蹴り、投槍器で槍に加速と空気抵抗減少をかけ、投槍スキルを発動して全力で槍を放つ。
ゴウ!ドガァン!
槍は空中に炎の線を引きながら高速で飛んでいき、大きな音と衝撃波とともに頑丈な的が砕け散った。的の奥の壁にも穴が開いている。轟音と衝撃に周囲が騒めく。
明らかに同レベルの弓士や魔法使いよりも威力が高い。
ユージは物理防御は低いし、HPも高くない。これなら直撃すれば一撃で殺せる可能性も十分ある。一撃で殺せなければ何発でも撃ち込めばいい。マジックバッグがあれば弾数はかなり持つことができる。
これで装備と遠距離攻撃の用意ができた。
あとはレベル上げをしながらユージの情報を待つだけだ。
いや、ユージが従えているであろう大勢のアンデッドと戦う仲間の確保や強化も必要だ。聖女は確保したが、強い仲間は多ければ多いほど良い。
アンデッドとの戦闘経験も積んだ方が良いだろう。
まだまだやることはある。
胸の中の黒い渦に突き動かされながら、私は努力を続けた。
季節はいつのまにか春になり、異世界に来てから1年が過ぎていた。
私のレベルは34になっていた。
ーーーーー
名前 アスカ
種族 人間Lv34
年齢 19
職業 錬金術師Lv34 鑑定士Lv32 槍士Lv30 戦士Lv19
HP 5698/5698
MP 9420/9420
身体能力 52+7
物理攻撃 1163+300
物理防御 698
魔法攻撃 638+450
魔法防御 571
ユニークスキル
詳細鑑定
スキル
錬金
錬金レシピ
修復
付与
合成
複製
大量錬金
鑑定
鑑定結果記載
鑑定記録
偽装解除
鑑定妨害
鑑定魔導書作成
槍術
パワースラスト
ハードチャージ
スマッシュジャベリン
ブロウスイング
ポールハイジャンプ
フォーリングアサルト
身体強化
物理攻撃強化
物理防御強化
魔法防御強化
ーーーーー
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界から帰ってきたら終末を迎えていた ~終末は異世界アイテムでのんびり過ごす~
十本スイ
ファンタジー
高校生の時に異世界に召喚された主人公――四河日門。文化レベルが低過ぎる異世界に我慢ならず、元の世界へと戻ってきたのはいいのだが、地球は自分が知っている世界とはかけ離れた環境へと変貌していた。文明は崩壊し、人々はゾンビとなり世界は終末を迎えてしまっていたのだ。大きなショックを受ける日門だが、それでも持ち前のポジティブさを発揮し、せっかくだからと終末世界を異世界アイテムなどを使ってのんびり暮らすことにしたのである。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる