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第一章
第2話 異世界とステータス
しおりを挟む「う~ん・・・、はっ!?」
気が付くと草原のような場所で寝ていた。
起き上がり、あたりを見回すと、あたり一面草原になっていて、遠くに石の壁のような物が見えた。それ以外には森や山などの自然あふれる景色が見える。
おそらく石の壁は、壁に囲まれた町なのではないかと思われる。
「ここが異世界か・・・・」
町が近くにあるのは良かったな。どこぞの小説のように森の中とかじゃなくて安心した。
「・・そういえばネクロマンサーになったんだったな・・・」
ふと気を失う前のやりとりを思い出す。
暗い性格で死んだ目をしてるからとか、ふざけているな・・・
明らかに担当者が適当な理由で職業を決めている感じだったし、本当に適正な職業なのか怪しいものだ。
まあ神の部下なんだから適当にみえても最適な能力を与えていると信じたい。
ステータスとか見られないのだろうか? 何も説明がなかったが、とりあえずステータスが見たいと念じながら呟いてみる。
「ステータス」
するとステータス画面のようなものが目の前に表示された。
ーーーーー
名前 ユージ
種族 人間Lv1
年齢 18
職業 死霊術士Lv1
HP 22/22
MP 20/20
身体能力 10
物理攻撃力 10
物理防御力 10
魔法攻撃力 11
魔法防御力 11
ユニークスキル
死体収納
スキル
配下作成
ーーーーーーー
「おお!本当にステータスが出た!」思わず感嘆の声をあげた。
ひとつひとつ確認していこう。
名前はカタカナになって苗字もなくなっているな。理由は不明だがこの世界の標準にあわされたのかもしれない。念のため苗字は名乗らないようにしよう。
種族が人間なのはいいがレベル表示があるな。魔物を倒したりすると上がるのだろうか。
年齢が18になっている!20歳も若返ったのか!心なしか体調もすごく良い気がする。ラノベなどでは定番だが、あとで鏡か何かで見た目を確認しよう。
問題の職業だが、死霊術士となっている。ネクロマンサーじゃなかったのかよ・・まあ同じ意味だろうけど。
・・・もしかして死霊術士と書いてネクロマンサーと読むとかいう厨二な感じか・・?
名乗るときはどっちを言えばいいんだ? 銀の球体はネクロマンサーと言っていたからネクロマンサーかな。・・・いや、死霊術士とかネクロマンサーとか名乗って大丈夫だろうか? あまり良いイメージがないが、忌み嫌われていたりしないだろうか? 最悪宗教的な理由で、バレたら処刑という可能性すらあるな・・・
その辺が分かるまで極力隠すことにしよう。
あと職業にもレベルがあるな、種族のレベルとの違いは不明だが、上がるステが違うとかだろうか。 まあ追々調べればいいか。
HP MPや能力値は何となくわかるが、詳細は不明だし高いか低いかもわからないな、何となく低いような気はするが、これも詳細は追々調べる必要があるな。
あとはスキルだが、ユニークスキルが死体収納って・・・
ユニークスキルといえば凄く強いのがお約束じゃないのかよ。ショボくないか?
まあネクロマンサー的には便利なんだろうけど・・・・ あと冒険者的な仕事をするなら倒した魔物をたくさん持ち運べるのは便利かもな。
他のユニークスキルがどんなものか分からないしな。ハズレではないと思っておこう。
普通のスキルのほうは、配下作成とあるが、アンデッドを作成できるのだろうか?
もうちょっと詳細を見たいがどうにかならないものか。
詳細を知りたいと念じると追加情報が表示された。
ーーーーー
死体収納
死体や配下アンデッドを異空間に収納し保管できる。
配下作成 消費MP10
死体を配下アンデッドにする。配下維持のため最大MPが低下する。
ーーーーー
おお!表示できた!
なるほど。配下も収納できるのは便利だな。
しかし配下を作ると最大MPが低下するのか・・配下の数が制限されるな。どのくらい下がるかによるが、アンデッド軍団を作るのは厳しいかもしれない。
ステータスの確認を終えた俺は、次に所持品を確認することにした。
服装は、作りの荒い焦げ茶色の革のズボンとジャケットにうす汚れた麻色のTシャツ、くるぶしくらいの革のブーツといったところだ。
縛るタイプの腰ベルトに革袋がついていて、中をのぞくと金貨10枚、銀貨10枚、銅貨10枚が入っていた。価値は不明だがそれなりの金額があるっぽい。無一文じゃなくてちょっと安心した。
ただ、それ以外に武器や荷物は無い・・・・
急にこの場所が安全なのか不安になってきた。草原の草は腰の高さくらいまであり、何かが潜んでいても不思議ではない。
魔王がいる世界だ。魔物がいたりするんじゃないだろうか・・・
お役所仕事的な対応だったし、人間のことをそこまで詳細に把握していないのではないだろうか? よく分からないが金を渡しておけば大丈夫だろうという感じな気がする。
自分にあった武器を金で買えということかもしれないが、買う前に魔物と出会ったら詰むのではないだろうか? それどころか不良にカツアゲされるだけで詰むかもしれん。
錬金術師とかすぐには戦えなさそうな人は、大丈夫なのだろうか? というかネクロマンサーも配下がいないと戦えないのでは・・・
いやな汗をかきながら、とりあえず町に向かおうと、遠くに見える石壁に向かって速足で歩き出す。
ガサガサと草をかきわけながら歩いていると、不意に視界のはしに何かを見つけた気がしたので、そちらをよく見てみる。
そこには一心不乱にウサギっぽい何かを食べている灰色のオオカミが見えた。
オオカミはゴールデンレトリバーより一回り大きいくらいの大きさで、素手で戦って勝てるとは到底思えない。
ドクンと心臓が跳ね上がる。
あわててその場を離れようと後ずさると、茂みに足をとられガサガサ、バキバキと音を鳴らしてしまう。
よろけた体制を立て直しオオカミの方を見ると、オオカミが顔を上げており、目があってしまった!
「まずい・・・!」
焦りと緊張と恐怖で体が硬直する。
「ウゥゥゥ!!!」
オオカミが体をこちらに向け警戒態勢にはいり唸りを上げる。
落ち着け!猛獣と遭遇した時は目をそらさずにゆっくり後ろに下がるだったはず!
いや魔物には無理か? というか魔物なのか? 走って逃げた方がいいか? 追いかけられたら逃げられる気がしないぞ!身体能力10らしいが体が強化されてる感じはまったく無いぞ!無理だ!
じりじりと後ずさりながら必死に考える。
するとオオカミがこっちに向かって駆け出した!
「やばい!やばい!」
「そうだ!」とっさにオオカミが食べていたウサギっぽい死体を見る!
「配下作成!配下作成!」だめだ!遠すぎるのか?!
「死体収納!死体収納!」これもだめだ!
オオカミが目前に迫る!
「うわああぁぁぁぁ!配下作成!死体収納!配下作成!死体収納!!!」パニックになり自分のスキルをあたりかまわず周囲に使えるか叫ぶ!
「ガウ!!」
口をあけて飛び掛かってくるオオカミに手をむけ噛みつかれると思った瞬間!
「配下作成!死体収納!配下作成!死体収納ぉぉぉ!!!」
・・・・・・・・
「・・・・・・・あれ?」
いつまでたっても噛まれないことに気がついた。
周囲を見るがオオカミはどこにもいない。
「・・・なんでだ? 去っていったのか? でも思いっきり襲ってきてたよな?」
「とにかく助かった・・・のか?・・・・」
その場に座り込み唖然とする。
「はっ!!」 また襲われないうちに早く安全な町へ行かなければ!
はたと気づき周囲を警戒しながら町へと動き出した。
ユージの心とは裏腹に異世界の草木は爽やかな風に揺れていた。
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