総ての海を征するもの……の正妻？

巻き沿いのマオ2

　ちょっと前のこと…

　デジレ様はコウと俺を置いて中に入って行った。俺の失言？が原因だってコウは言うけど、ここに馴染みの女が居たのは事実だし結局は後から知れるんだから今知った方が良いじゃない。

「あれ？デジレ様は？」

　言われた通り待ってたけど全然出てくる様子も入っても良いとも言われないから入ったらその本人が居ない。

「アハハハハハハ！！あの人、本っ当にかわいい性格してるよなー！」
「ああ！この子たちに囲まれてる艦長見た途端に、“不機嫌です！”ってわかるんだよ！」
「それなのに『お楽しみの邪魔の様だから帰る。』って言うんだよー。」
「艦長に女がまとわりついてたのが気に入らないのになぁ～。」

　いったい何杯目の酒か分からない酒を飲みながら周りで見ていた船員が答えてくれた。

「…で、今は？」

　俺への答えは皆の視線の先。はぁ～離れに連れ込まれたと……。いったい何時出てこれるんだか？

「コウ、離れだって……？……何？」

　コウの周りに船員の群ができていた。何か言ってるみたいだ。そしてそのうちコウから「わかった！許可する」と言われると、我先にと店にいた女たちを連れて2階に消えていった。
　ああそう…皆も楽しみたいということですね！

「はぁ～。……コウ、ここでデジレ様待つ？それとも艦に戻る？」

　って……なんで俺の手引っ張って行くの？この先はデジレ様が連れ込まれた離れだよ。止めなよー、聞き耳でもたてるの？？艦長は怒らないけどデジレ様にバレたら怒られるなんてもんじゃすまないよ！

「……ちょっと、……コウ…。なんでこっちに入るんだよ！」

　デジレ様が連れ込まれたらしい小屋の隣にコウは俺を連れ込んだ。あーやばい。コウが悪い顔して笑ってる！
　
「どうせ出てくるのなんて明日だ。それまで俺達も楽しもう。」

「…コウ、俺……未経験。俺…13才なんだけど。」

「ああ、じゃぁ優しくしてやるよ。大丈夫、俺上手いから任せな。」

「……そうじゃなくて……。」

「だってお前、雑用係まだ続いてるんだろ？これまでは年齢的に免除されてたけどもうそろそろ呼ばれるんじゃね？下手な奴にヤられるより俺にしとけよ。俺の専属になれば他の奴にヤられなくて済むぜ？」

　……ああ、うん。それもそうか……デジレ様が来てから雑用係がヤバいんだよなぁ。赤ん坊の頃からいるせいか今までは子供だからって免除されてたけど、もうそうだよなぁ。
　コウは嫌いじゃないし、頼りになるしな…。

　どうする？と手をさし出された手をジッと見た後絶対に痛くすんなよと釘をさした。

「……お前次第だな。」

　最初だから甘やかしてやるよと服を脱がしてくれる手が優しく丁寧だ。
　コウは黒髪黒目でガッチリタイプのα。剥き出しの肩や腕の筋肉がヤバい。
　……俺はβだけどまだガキっぽい。茶髪に明るい茶色の目は大きいから余計子供に見えるな。

　なんて事を考えていたらコウが「余裕あるな」って笑ってた。