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鬱憤2
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誰もが知っていながら呼んではいけない名を何のためらいもなしに呼んだ男の事を店の者達は“考え無し” “怖いもの知らず” の馬鹿者だと思い、自分に被害が及ばないよう逃げ出した。
だが、一緒になって騒いでいた船員達は別の意味でナリを潜めた。
「セオ?」
不機嫌さ満載で名を呼ぶ人と……正反対に上機嫌な名を呼ばれた人……。
店の者達はこの時点で“アレ??”っと思う。提督は自分の名を呼ばれるのは酷く嫌っていたはずでは?と思いながら2人の様子を伺い見る事になった。
もう一度、「セオ」と呼ばれた提督は面白そうにのどの奥で笑っている。その様子を見たデジレは更に機嫌が悪くなる。
「気に入らぬか?貴男が気にする事は無いが、気に入らぬのならもうここには来ぬぞ。」
「……気に入らない訳ではない!……お楽しみの邪魔の様なので帰る!」
提督の「もう来ない」という言葉にギョッとした店の者達は会話の内容に反応が遅れた。しかしこういった内容の会話に慣れた者達が多く居たためこの会話に違和感を感じ、今度は興味深々に2人を見る。
「用があって参ったのだろう?さぁ此方へ」
「いらぬ!帰る!」
恋人の機嫌を取る様に両手を差し出して「此方へ」と言った提督と明らかに不機嫌なのに差し出された両手を気にしつつ「帰る」を連呼する男。
……どういう事?と見守る店中の者達。
動いたのは提督だった。
「貴男は意地っ張りだ。」と立ち上がり周りの女達などお構いなしにデジレのもとへ行き腰を抱いた。
「女将!!離れを借りるぞ!皆も思う存分楽しめ!」
そういうと店の裏口から面へ出る。
裏口から出たそこは表からはわからなかったが真ん中の井戸を中心に幾つもの小屋が建っていた。デジレは一瞬、何だ?と思ったがすぐに大きな連れ込み宿は周りを気にせず事を成したい人のため離れ部屋を用意していると聞いた事があるのを思い出した。
「セオ!!離せ!私は帰ると言ったのだ!」
冗談ではない!ここで連れ込まれてはこの店の者達にまで抱かれていると知られてしまう!しかもこんな状態の自分は嫉妬に狂って飛び込んできたと思われてしまう!
そう思って抵抗が激しくなる。
「今更だ。貴男が私の思い人だと知れるのはもう時間の問題だ。なんせ私は前の寄港であの女達に別れを告げていたからな。今回も立ち寄ったものの相手にせぬので躍起になっておった。そこへ貴男が来たのだから……面白い。」
本当に楽しそうにクククと笑うと逃がさないようにしっかり抱えていた腰から腕をはなしデジレの膝裏をすくい上げると横抱きにして一番大きな小屋へ向かった。
部屋の中は入るとすぐに衝立がありその奥にはとても大きなベッドがある。ベッドの向かいには壁一面の鏡、ベッドの向こう側には小さな水たまりと大きなブランコ。
これらを見たデジレは“は??”という言葉しかなかった。
「なんだ??これらは?」
存在感のありすぎるベッドはまぁ意味はわかる。場所が場所だから…しかしなぜ水たまり?そして大きなブランコ?……どういう事だ?あっ!もしかすると子供連れで来た者が使うのか!?
「何か勘違いしてるようなので説明をするが、ここは子連れで来るような場所ではない。意味はこれからわかる。」
だが、一緒になって騒いでいた船員達は別の意味でナリを潜めた。
「セオ?」
不機嫌さ満載で名を呼ぶ人と……正反対に上機嫌な名を呼ばれた人……。
店の者達はこの時点で“アレ??”っと思う。提督は自分の名を呼ばれるのは酷く嫌っていたはずでは?と思いながら2人の様子を伺い見る事になった。
もう一度、「セオ」と呼ばれた提督は面白そうにのどの奥で笑っている。その様子を見たデジレは更に機嫌が悪くなる。
「気に入らぬか?貴男が気にする事は無いが、気に入らぬのならもうここには来ぬぞ。」
「……気に入らない訳ではない!……お楽しみの邪魔の様なので帰る!」
提督の「もう来ない」という言葉にギョッとした店の者達は会話の内容に反応が遅れた。しかしこういった内容の会話に慣れた者達が多く居たためこの会話に違和感を感じ、今度は興味深々に2人を見る。
「用があって参ったのだろう?さぁ此方へ」
「いらぬ!帰る!」
恋人の機嫌を取る様に両手を差し出して「此方へ」と言った提督と明らかに不機嫌なのに差し出された両手を気にしつつ「帰る」を連呼する男。
……どういう事?と見守る店中の者達。
動いたのは提督だった。
「貴男は意地っ張りだ。」と立ち上がり周りの女達などお構いなしにデジレのもとへ行き腰を抱いた。
「女将!!離れを借りるぞ!皆も思う存分楽しめ!」
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裏口から出たそこは表からはわからなかったが真ん中の井戸を中心に幾つもの小屋が建っていた。デジレは一瞬、何だ?と思ったがすぐに大きな連れ込み宿は周りを気にせず事を成したい人のため離れ部屋を用意していると聞いた事があるのを思い出した。
「セオ!!離せ!私は帰ると言ったのだ!」
冗談ではない!ここで連れ込まれてはこの店の者達にまで抱かれていると知られてしまう!しかもこんな状態の自分は嫉妬に狂って飛び込んできたと思われてしまう!
そう思って抵抗が激しくなる。
「今更だ。貴男が私の思い人だと知れるのはもう時間の問題だ。なんせ私は前の寄港であの女達に別れを告げていたからな。今回も立ち寄ったものの相手にせぬので躍起になっておった。そこへ貴男が来たのだから……面白い。」
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