Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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威厳あるアーノルドはどこに?

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 僕が城を出ると決めた時、一緒に来てくれると言った爺を置いて出たのは今のように城との連絡役もあったけど一番の理由は後から僕に向けて出されるであろう刺客の始末の為だ。

 普通のΩ並みの能力なら刺客なんて向けられないだろうけど僕には出されるだろう。
 普通のΩ並みならば幽閉後有力貴族の番としてというのが妥当だろうが、不便な暮らしが嫌だった僕はなんとか不便じゃないという程度にやらかしてしまっていた。

 つまりβ、もしくは劣勢α程度の能力があると早々に知られていた。…この判断ができる時点でもう暗殺対象だ。

 だから馬小屋で別れる時に爺には「後をよろしく」とお願いした。小さい頃からの変装も城の秘密通路も細々とした小細工は総て城から出た後僕が自由に暮らしやすくする為のもの。実際追っ手は僕をロストしたでしょ?

「ノエル様を見失った刺客は雇い主の元へ一度戻ったので雇い主は把握しております。刺客は王妃様の別邸に集まっておりますが、仕掛けては捕らえられてはますのでそろそろ壊滅状態かと。」

 お母様特製のお仕置きのお茶でも飲んで反省するといいよ。

「……ノエルは…命を狙われているのか?」

うーん、多分。自分達の思い通りにならないΩはいらないし普通のΩじゃないから始末つけた方が後々の事を考えて楽だもの。

 アーノルドがいつの間にか僕の側に来て手を握っている。その目は真剣に僕を見ていた。

「私達は自分の立場を捨ててでもノエルを守っていくつもりをしていたのだがな……。ノエルは幼い頃から利発でな…。次々と1人立ちする準備を始めた。上手いのだよ、私達が心配する所を心得ていて私達が妥協出来るようにしてくるのだ。」

 父から恨み節のような物が聞こえてくる。

「僕の為に国を揺るがす大騒動は避けたいですからね?それに父様には一番難しいお願いしているでしょう?」

 アーノルドがそれはどんな願いなのかと聞いてくる。

「食い詰めたΩが生きるために道端で体を売る事のない国にして欲しいってお願いしたの。アーノルドさんがいる前でなんだけど…αに捨てられたΩは生きたいのなら体を売っていくしか無い。でもせめて道端でなんて嫌じゃない?…そんな顔しないで?そうなるのが嫌だから僕はこうして店を持ったんだから。」
 
「ノエル様、僭越ながらアーノルド様がこのようなお顔になるのは当然でございます。ノエル様がこのお店を持つ事を決めた背景には今までそれを良しとせず、自ら身を処したΩの方々を知ったからでございましょう。爺は幼いノエル様がこの事を知ってご自分の将来をお考えになった事それ事態、涙が出る思いでございます。」

 爺は僕の事になるとちょっと大袈裟になる。ああ‥そんな事を言うから、ほら父様が抱きついてくる。
…って!なぜかアーノルドも鼻をグスグスさせながら抱きついてきちゃった。

 アーノルドは本当に僕の番らしいし、この年齢差を考えると僕の過保護な保護者が増えた予感がするよ。

 あれ?これ父様の狙いどうり??







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