Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 僕の番は…謁見室で王と間近に会える人。
いつ頃の記憶?記憶の中の絨毯は濃紺に金縁……ここ最近の物だ。とは言っても年単位の最近だから覚えてない事もあるだろう……?

 あれ?香りで番だと解るのだから直接会ってれば既に解っていた筈。なら直接会ってないんだ。
 じゃあ、僕はあの秘密通路から見てたんだ!
そうだよね、だって彼を正面から見て「知ってる」と思ったんだから正面から見たことがある筈だ。

 Ωの僕はともかく、αの彼が番らしい人を忘れる事は無いだろうから…。そう…父に初めて会う時の礼をしていたと思う。片膝をついて心臓の位置に右の拳を当てて誓っていた。

「父様、背は僕より頭1つ分くらい高くて近衛の人達みたいにしっかりした体格で僕より5才位上の金髪で
青い目の凄いハンサムさん。ちょっと冷たい印象でここ数年の間に父様に初めて謁見した事がある人っている?」

「うん?金髪、青い目、冷たいハンサムでここ数年で初めて謁見……。」

「頭1つ分高い が抜けてるよ?」

「裏庭と裏庭に面してる道には高低差があったぞ?」

……そうだった、2段の段差があるね。じゃあ背の高さはもっとあるのだろう。

「その条件でも3人ほどいるな。今日の彼の服はどのような物だった?」

「それが…深い緑の外套を羽織っていて止め金は大きな銀の……羽の形ですね。」

「……王様……大変申し訳ございませんが…。」

「どうした爺、覚えあるのか。」

「ございます。…しかしながら…大変不味い事に。」

爺がこんなに言い渋るなんてどんな人?乱暴者で有名?それとも既に結婚済み?もしくは血縁関係?
 どれがあってもおかしくない。特に結婚はしていてもおかしくない年だ。

「良い、話せ。」

「はい…おそらくは【グリフウッド領のアーノルド様】ではないかと。」

 そうだった、思い出した。彼はあの大領地グリフウッドの新しい領主、アーノルド様だ!
 誰かわかってスッキリしたけど本当に厄介だ。彼の父親は僕を追い出した大臣の1人。この姿の僕を知ってはいないけど話せばわかってしまうだろう。

「父様…どうしよう?」

「よし!この父に任せなさい。今日はこれで帰るが心配はいらぬぞ?
 明日の花祭りを楽しむと良い。」

 ここで良いと言うと父は今まで僕が見たこともない身のこなしで屋根に飛び乗ると裏通りの方へ消えていった。

「爺、父様は忍者?」

「さて…爺には忍者が何かは解りませんが、王は若い頃護衛の騎士を撒いては街の中で色々見て回ったと伺ってます。」

 父は護衛の人達から見たらはた迷惑な主だったということだね?この店の場所も覚えちゃったと思うし、これからはたまに現れそうだ。
 嬉しいけど、自分が王様だと自覚してほしい。









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