Ωの僕がお偉いさん

嫌な予感

　この3人は確か有力貴族の中でも影響力が強かった筈だ。地位から考えてもこの中の1人は必ず何か知ってないとおかしい。

「僕が城から出た後の僕への対応です。ご存知無いはずありませんよね？」

あなた達が知らないなら一体他の誰が知ってると言う？そんな意味合いで3人を見ていく。
…どうも反応がおかしい。

「僕から王様にこの話をするのは簡単なのですが、そうしますと総て国が面倒を見るなんて言い出しかねませんから。」

　最近は父母に加えて弟の第2王子までも僕が城から出なくて良いのではと言い出してる。第2王子は優生αのようでとても利発なのだが、その分幼いながらになぜ兄の僕が城から出なくてはいけないのかを理解して悲しんでいる。

「こ、今後の事は…ウオッホン！！」

「ええ！ねぇ大臣？」

「…………ちなみに!王子はどうお考えですかな!?」

あ、嫌な予感的中かな。これ誤魔化してるよね絶対に誤魔化してる！
　突っ込んで良いかな…駄目だよねこの人達αだからプライド高いもの。

「考えをと言われましても、僕は何かを決められる立場ではありませんから。」

「しかし、希望はございますでしょう？」

「確かに希望はありますが、城に残るという選択肢は無いのでしょう？あ、幽閉は嫌ですよ。」

ギョッとした目を向けてくる3人にアレ?と思う。この3人意外とプライドの塊というαのイメージから外れてる?
　もうちょっとΩは黙って出て行け　的な言われ方すると思っていた。

「失礼ですが、まさか何も考慮されてはいなかったのでしょうか？」

一応、聞いてみよう。3人の目は一向に此方を向いてくれないけど…。咳払いしたり難しい顔してるけど、もしこれがこれ以上突っ込んで話をするなという合図であったとしても、今を逃すと聞けそうもない。

「大変申し上げにくいのですが…」と1人の大臣が口を開いた。

「王子が一般人になった後は王室とは無関係。よって何もございません。」

やっぱりか……。
フゥーと大きなため息が出てしまう。

「では、僕は死ぬ事を望まれているのですね。」

　ゥ？！　とか　ィヤ！？　とか3人共に変な声を出してそれは違うと反応するので、死ぬ迄は望んで無いと判断できたが、被せて聞いて見た。

「ですが、僕からしたら12才で城から追い出されるのです。成人してない子供が保護者も何も無く生きていける訳は無いでしょう？生きる為にスラム街で身売りをしていけば良いと言われるのなら…。」

自分でそう言って気づく。もし僕が前世の記憶が無く考える力がなかったらそういう運命を受け入れたのだろうか？それともそれくらいならと自ら命を絶って抗議しただろうか？
　どちらにしろ、今はそういう選択肢をとらずにすむのはありがたい事だと思う。

「王子、そのような事はございません。しかし…」

「わかっています。Ωは何事にも能力が低く身体能力も劣っています。発情期を迎えれば周りがαばかりの所ではその機能も停止させかねない。…だからΩの僕は将来の為に出て行かなければならない。」

こんな悲しい思いは僕以外考えていなかったんだね。