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損得勘定
しおりを挟む レナードが頭を抱えるのは当然だろう。この商品は今までの一般階級の店には無い。
目の前の僕らは下級であっても貴族だから下賜品が手には入る可能性はある。しかし普通、貴族は商売はしない。ならば商売をしようとする貴族は?
答えは…普通でいられない貴族?つまり何かしらリスクがある。
では、もう後一押しだろうか?
「もちろんこれだけでは売れてしまったら終わりなので、父が伝手を辿り次の注目商品も買い付けて来ることになってます。」
それにこの小物類やレースは自分のハンドメイドだと伝える。
「そうなりますと…店は、ご子息が?」
…乗って来たな、と思う。この品質を維持していく店ならば多少のリスクがあろうと逃す商人はいないだろう。
「まぁ…ご覧の通り父は……貴族でしかありません。商人には向かないでしょう。」
言葉にしないまでも、落ちぶれた貴族なのだと匂わせる。父は商人に向かない こう言った意味も汲み取ってもらえただろうか。このように大きな商会を仕切っている人ならばと思うがどうだろうか。
「なるほど。では男爵様はその素晴らしい鑑定眼で見極められ、ご子息が街に潤いを与えてくださるということですね?」
「潤い という程ではありませんが…。私達も街で楽しく暮らせればと思っています。如何でしょうか」
少しの逡巡の後にとうとう決めたようだ。
「ようございます!私も名の知れた商人、こんな機会を逃す事は出来ません。ご協力させていただきます!」
では早速、と馬車が用意される。物件は実際の物を見て決めるらしい。
ターダは僕に任せると言い、商会の部屋でお茶を飲み待っているそうだ。
落ちぶれた意味が良くわかる下級貴族ぶりを発揮してくれる。…いや、多分これがターダにとって普通なのだろう。
馬車といっても、用意されたのは荷馬車の小さい物だった。やっぱりボックスのついた馬車は一般人の間では富豪といわれる家でしか使ってないらしい。レナード自ら手綱を取り操縦し始めた。
「貸し店舗であのレベルの商品ですと、3件ほど候補がございますがご希望の地域はございますか?」
「そうですね…噴水広場か公園通り…その辺りでしょうか?奥様方やお嬢様方が入りやすい面に面した所が良いですね。」
噴水広場というのは4代前の国王が作らせた噴水を囲むように石畳を敷き詰めた場所だ。噴水といっても遠くの山から水を引いており飲む事が出来る。
まだこの世界には蛇口を捻ると水が出るような事は……一応ない。
なぜ 一応 なのか?城にはあるからだ。
ハイそうです、僕です。不便だったんだもん。
でも電気もモーターもないから大きなタンクを作って水を溜めて水道管から流すだけ。
大きなタンクに水を運ぶのは水車を回しても入れられるのだが、殆ど人力だった。
なぜ人力なのか?罰としてその役割があるからだ。
この国に奴隷はいないが囚人はいるから、軽犯罪者の仕事として水運びがある。
そしてこの噴水も原動力は囚人の働きだった。一般人には知られてないけどね。
噴水広場の近くの家は井戸から水を汲み上げなくても良いのでそういう意味でも人気のある地域なんだって。
目の前の僕らは下級であっても貴族だから下賜品が手には入る可能性はある。しかし普通、貴族は商売はしない。ならば商売をしようとする貴族は?
答えは…普通でいられない貴族?つまり何かしらリスクがある。
では、もう後一押しだろうか?
「もちろんこれだけでは売れてしまったら終わりなので、父が伝手を辿り次の注目商品も買い付けて来ることになってます。」
それにこの小物類やレースは自分のハンドメイドだと伝える。
「そうなりますと…店は、ご子息が?」
…乗って来たな、と思う。この品質を維持していく店ならば多少のリスクがあろうと逃す商人はいないだろう。
「まぁ…ご覧の通り父は……貴族でしかありません。商人には向かないでしょう。」
言葉にしないまでも、落ちぶれた貴族なのだと匂わせる。父は商人に向かない こう言った意味も汲み取ってもらえただろうか。このように大きな商会を仕切っている人ならばと思うがどうだろうか。
「なるほど。では男爵様はその素晴らしい鑑定眼で見極められ、ご子息が街に潤いを与えてくださるということですね?」
「潤い という程ではありませんが…。私達も街で楽しく暮らせればと思っています。如何でしょうか」
少しの逡巡の後にとうとう決めたようだ。
「ようございます!私も名の知れた商人、こんな機会を逃す事は出来ません。ご協力させていただきます!」
では早速、と馬車が用意される。物件は実際の物を見て決めるらしい。
ターダは僕に任せると言い、商会の部屋でお茶を飲み待っているそうだ。
落ちぶれた意味が良くわかる下級貴族ぶりを発揮してくれる。…いや、多分これがターダにとって普通なのだろう。
馬車といっても、用意されたのは荷馬車の小さい物だった。やっぱりボックスのついた馬車は一般人の間では富豪といわれる家でしか使ってないらしい。レナード自ら手綱を取り操縦し始めた。
「貸し店舗であのレベルの商品ですと、3件ほど候補がございますがご希望の地域はございますか?」
「そうですね…噴水広場か公園通り…その辺りでしょうか?奥様方やお嬢様方が入りやすい面に面した所が良いですね。」
噴水広場というのは4代前の国王が作らせた噴水を囲むように石畳を敷き詰めた場所だ。噴水といっても遠くの山から水を引いており飲む事が出来る。
まだこの世界には蛇口を捻ると水が出るような事は……一応ない。
なぜ 一応 なのか?城にはあるからだ。
ハイそうです、僕です。不便だったんだもん。
でも電気もモーターもないから大きなタンクを作って水を溜めて水道管から流すだけ。
大きなタンクに水を運ぶのは水車を回しても入れられるのだが、殆ど人力だった。
なぜ人力なのか?罰としてその役割があるからだ。
この国に奴隷はいないが囚人はいるから、軽犯罪者の仕事として水運びがある。
そしてこの噴水も原動力は囚人の働きだった。一般人には知られてないけどね。
噴水広場の近くの家は井戸から水を汲み上げなくても良いのでそういう意味でも人気のある地域なんだって。
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