Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アーノルド現る

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 来るとは思ってた。来るとは思ってたけどこうも早くボロボロで来るとは思って無かった。

 「アーノルド!酷い格好だよ!どうしたの!!」

 いつも気を使ってお洒落にしているのに今のアーノルドは髪はただ一括りに縛っただけ。しかもボサボサ。マントだって動きやすさ重視の軽くて短い物。アーノルドの好みはトロンとした手触りで少し重いけど艶があって踝まで届く長い物、しかもその日着ている上着に合わせているしマントを止める飾りはシャラシャラと細かい鎖とブローチが合わさっている繊細な細工物の筈だ。

 「……流石にそんな余裕無い……。」

 疲れ切った様子に椅子とお茶を勧め、原因はわかりきっている為コウを呼んでもらう。


 あのあとコウからは自分達は船で此方に直行し辛うじて先触れの役割はしたが提督はフールフーガに戻り王様と一緒に飛行船で来ると聞いてた。つまりグリルウッドは頭の上を素通りされるから……。
 アーノルドとしては言いたいことも有るだろうけど事情も知りたいし、なぜこんな事になっているのかも聞きたいだろう。
 コウが到着前に僕が知ってる事は話しておいた。

 「……予想はしてた…していたんだよ。たぶん王妃様がはっちゃけるって。目の中に入れても痛くないくらいリリーを溺愛してるんだ。そのリリーが今後ずっと側に居て育てられるってなれば大騒ぎになるのは仕方無いと思ってはいたんだが……。」

 うんうん、わかりよ~。事の展開が斜め上に行っていて予想以上だったんだね。常識人でしかない僕らは予想できないよ。

 ……ちょっと?なんで目を逸らすのさアーノルド。爺も遠い目してるよ、ちょっと!どういう意味?!

 問い詰めようかと思った時ドアをノックする音がした。返事が終わる前に開いてコウが飛び込んできて開口一番で「アーノルド様スミマセンでした!」と叫んだ。
 聞けばコウは港に着いた時アーノルドに簡単に事情は説明したものの一刻を争う事だからと説明不十分に飛び出してしまったというのだ。

 でもそれも仕方無い事なんだけどコウとしては自分も日頃から振り回されている身としてアーノルドの今回の気持ちも解るらしく気にしていたらしい。

 「あー、うん。振り回されている気持ちは私も解るし事が事なので責めないさ。その代わり現在の状況と今後の予定を知りたい。……あと経緯。」

 経緯については元海賊の隠れ家強奪…もとい、リリーへの贈り物から話したがアーノルドも頭を抱えていた。

 「……父上は何をしていたんだ」

 あ、それ言っちゃうんだ。なんとなくわかってたから僕聞いてないのに。

 「……デジレ様は『贈り物を用意しに行く』という提督の言葉を勘違いされてました。オレ達は提督から口止めされてて言えませんでしたし直ぐに気づくだろうと思ってたんです。まぁ気づこうが気づかないままだろうが船に乗っちゃえば意味無いんですけど。で、やっぱり早い段階で気づかれたんですけど無血開城と島の美しさにokしちゃって…。」

 あ、アーノルド沈んだ。よしよし、慰めてあげるから。
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