Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アンリ、爺に愚痴る

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 「爺……母上の事なんだが……」

 夕食後ののんびりした時間に領主館内に戴いている自室へアンリ様が訪ねて来た。小さい頃にはよくイタズラをして叱られ拗ねると来ていたがここ5.6年は来ていなかったので驚いた。
 部屋に招き入れられお茶を出されたアンリは受け取り、何かを言いたそうにしている。

 水を向けてみればやはりノエル様の事で来たらしい。
まぁ、よく解る。夕食の前に時間があったノエル様は夕方の剣の稽古を終わらせたアンリ様に突進し「アンリ、君に閨係をつけるけどどういう人なら良い?」とド直球に聞いたというのだ。

 「……爺……正直に言うが、αである以上……αの都合もあると思うのだがどうだろうか?」

 αの都合 ときましたか。まぁ私もαですし若い頃の記憶としてそういった思いをした事もありますから言いたいことは解ります。αは身体的な特徴としてβの方で練習するのは相手にとっての苦痛になりかねません。だからといって早々に簡単にΩの方で適した人なんていませんから困ったものですねぇ。

 「本来でしたらアーノルド様の方からこういったお話はあるのですが、ノエル様が王族という特別な立場にあり、厳密に言えばシモン様アーノルド様にも王位継承がある以上、こういった事はアーノルド様の方からは言い出せないのはご理解してますね?」

 ノエル様はお子様達に色々なしがらみがない様にと王族の扱いは無くしましたが正式にはノエル様にもまだ王位継承権はあり、またそのお子様達にも低い位置とはいえ王位継承権が存在する以上はアーノルド様が婚姻、子孫に関して何かを言えばそこを突いてくる輩が出る。そのような事が無いようにノエル様から言い出されるのを待つしかなかったのだ。
 ……尤も、アーノルド様は普通に相談されると思っていたという思惑は甘い考えですが。

 「はい、それは解りましたので……いえ、私が言いたいのは父上ではなく母上の事です!」

 おやそれを理解した上でノエル様から言われた事が……もしかしてノエル様……

 「なんで母上に抱く側の心配を赤裸々に!懇々と!諭されなくてはならないのですか?!」

 「あー、赤裸々…といいますと?」

 「母上は私に『緊張して立たないとトラウマになるみたいだから! 入れる場所解る?!』って言ったんですよ!!」

 顔どころか首まで真っ赤にして半泣きの様は本当に気の毒になった。
 何故か時々ポンコツになるノエルだが今回のポンコツは酷い。酷すぎる。しかしここまでノエルが突っ走ってる状態では何を言っても無駄なのはこれまでの経験上解ってるので止められる人間……アーノルドに手紙を飛ばした。
 
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