Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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王妃を止めろ(他力本願)

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 重大発表がされる。私は城の広報を担当している文官なので一足先に知ったのだがこれは大騒ぎになるに違いない!

 エルドゥド王国、第一子シュチュアート・ハイゼル・フランシス・ノエル・スサエナ・エルドゥドの娘、リリー·ローズ·スサエナ·グリフウッドをエルドゥド王国皇太子の養女として迎える

 いつも通りの通達を書けば良かったはずなのだが、今は手がプルプルでいつも通りの文字が書けない。広報担当の者は皆筆達者なのだがその中でも私が一番美しい装飾文字が書けるという大抜擢を受けたのだが……。

 「ええ、そうです。そこの所をもう少し!…そう!」

 私の後ろで王妃様が何故か監視をしている。そこはもっと綺羅びやかに!とか厳かな感じを出して~とか注文が多い。この発表を聞かされる前から確かに王妃様は何かに浮かれているのが下級貴族にもわかるくらいだった。
 対面した時の表情が社交的な笑みから上機嫌なほほ笑みになっていたし、侍従と下男の駆け落ちも取りなしたというし(王妃の首を突っ込む事件じゃ無いけど王妃の侍従をしていた事もある)とにかくここ最近、王妃様はすこぶる機嫌が良かった。

 「リリー·ローズは洞察に優れ、素直で物静かな性格。血筋も現王の現遜であり確か。後ろ盾の現王妃の元で教育されていた事もありこの度の事は誠に悦ばしい…」

 通達文の下に書く文章は本来なら文官の私達が勝手に書いていくのだが…王妃様のお言葉を清書している。
 私の仕事を見届けると大変満足です!と笑みが深くなりルンルン気分で部屋から出ていった。

 その数時間後、何と玉璽を持った王様がわざわざこの部屋までやってきて印を押して帰っていったらしい。
 なお、ここは城の中でも端っこの端っこにあり下級貴族が多くいる場所だ。是非とも自分たちの身分を考えて行動していただきたい。


 俺は木こりだ。長い間親から子へと引き継がれて来たこの山を守り育てて来た一族だ。
 ある日の朝、貴族様の一行が家の前で止まった。道を訪ねたいのか、水の補給か?それとも人が具合でも悪くしたか?様子を見に外へ行くと何処かで見た顔の御婦人だ。お貴族様だが勇ましい狩猟用の格好をしていた。
 ここら辺では狩猟場はないからやっぱり迷ったか?

 「ここの山の持ち主であるウルグ殿は貴方でしょうか?私はこの国の…モゴ…」

 どうやら俺の客らしいが自己紹介の途中でお付きの人に口を閉ざされるという自体に目を白黒させている。

 「ああ、ウルグは俺であってる。お貴族様に申し訳ないが俺は言葉がなってないんで許してほしい。」

 友好的なお貴族様の様だが一応、先に言っておく。ついでになんか身分が高そうだが別に言わなくても構わないとも伝えた。だっていろんな身分言われても俺にとっては全員お貴族様の一括りだ。

 それなのにお貴族様はよりにもよって
『故あって、娘を迎える事になりました。大事な娘の為に材料から吟味したいのです! 第1王女に相応しい家財道具を!』
 なんて言いやがった。
 俺が暫く魂が抜けてたと言われても仕方ねぇと思う。
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