Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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噂は強い

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 翌日から僕にはお見舞いという名のプレゼントが次々に届いた。僕は何もかも話してないし父様も言ってないらしい。ただあのケーキ塗れで移動しているのでそれだろうと予測は出来た。

「ノエル様、シルビア伯爵夫人からお肌に優しい化粧水が届きましたよ。」

 侍女さんがまたもやもって来てくれた小さい綺麗な箱。届くのは花束に次いで本、お菓子、そしてなぜか基礎化粧品。

「まぁまぁ、当たり前でございますよ。噂ではあの夫人にケーキを投げつけられ、気を失ったとされてますもの。ケーキが原因なのですからケーキを送る馬鹿者はおりませんし、ノエル様のお肌が綺麗なのは有名ですから、そのお肌が荒れては大変ですもの。」

 え?僕ってお肌綺麗で有名なの?いや~なんか嬉しいなぁ~ってそうじゃない。やっぱり噂になってるんだ。どんな噂が流れてるの?

 「噂ですか?」本当にソレを聞きます?と言外に言われているようだけどあえて気付かないふりで頷き、促した。

 「……ノエル様は牢に入れられても態度を改めない元侯爵夫妻を諭しに行かれた。その際に今までとの生活の差に戸惑いと不安を抱えているであろう夫人に差し入れのケーキを用意されたが事もあろうに夫人はその気遣いを台無しにした。ノエル様はそのケーキを投げつけられ顔に打撃を受けられ、追撃からノエル様を庇った爺は体中を打たれた。出てこられたノエル様は顔面をクリームで覆われており呼吸もままならない様子で爺がしっかりと抱いてお部屋へ帰られた。その後大勢の医者が診察にあたったらしい。」

 淡々と伝えてくれた侍女さんは最後に「だいぶ美化されてます」とニッコリ笑顔で教えてくれた。うん、そうだねって……え、だいぶ事実とは代わった噂だけど大丈夫なの?
そう思って首を傾げていると「噂はあくまでも噂なんですよ。でも人は噂を信じるんです。」と教えてくれた。

 確かにそうだね。違ってるとこはあるけど最終的な僕が攻撃されてお医者のお世話になったのは間違い無い事実。おそらくはこの事実さえあれば良いのだ。
……これって母様の言ってた煽りに該当するだろうか?いやしないだろう。


 そして元侯爵夫妻の査問の日がやって来た。
夫人の希望を叶える形で貴族は様子を見れるような場所で行われ、傍聴人というか野次馬さん達が大勢集まった。

 しおらしくも夫妻は濃いグレーのスーツとドレスで現れた。……おかしいな?装飾品は全て没収になったはずなのに夫人はジェットという真っ黒の宝石を付けていた。
 えぇと、ソレって確か喪に服してる時の宝石ですよね?ああなるほど、それほど今回の事で心を痛めてますって言いたいのね。いや、効果無いよね?

 今回は一応元侯爵が起こした犯罪なので質問者もそれなりの高位社だとは思っていたけどまさかのイエイガー老が出て来た。いやいやいやいや……元気だな。
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