Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お邪魔しまーす

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 コツン コツンと足音の響く暗いけど階段を爺にエスコートされながら下っていく。ここは城の中にある貴族の牢屋だ。本当なら捕らえられたばかりの人は西の塔にある特殊な部屋に連れて行かれるのだが、今回は既に罪は確定している為、地下牢に直行されたのだ。
 それでなんで僕がここに居るかって?それは母様に言われたからだ。

 「ノエル、貴方ちょっと煽って来てくれないかしら?」
 ってね。

 正直母様に煽って来いって言われた時は頭の上に?マークが飛び回った。
だけど話を聞くとあの侯爵夫妻は連れて来られて以来なぜか『哀れな弱者』を演じているらしい。ローランドが引き連れて来る最中もだったらしいけど、自分達は没落寸前の家を立て直そうと必死に頑張った結果、王族の怒りをかってしまったと……微妙に合ってるだけに違うと言い切れないのが嫌だ。
 そこで裁判前に開かれる公開の取り調べの時にちょっとお話しやすい様にしてほしいということだ。それが母様に言わせれば『煽り』だと。


 「ねぇ爺、そんな事言われても煽りなんてどうしたら良いかわからないよね?」

 「そうですね。とりあえずは普通にお話してみてはどうでしょうか?」

 ン?微妙に爺の声は呆れ?が交じってる…ような?

 厳重な扉を3つ越えると部屋の中に入った。頑丈な檻の柵の向こうに部屋は続いていて少し奥のソファーに侯爵夫妻と思われる2人がいた。こちら側にもソファーはあるがテーブルもあるしなんならお茶も出てきた。……っていうか爺、さっきそんなワゴン押して無かったよね?

 完璧なアフタヌーンティーセットが僕の前に用意されたので普通に手を付ける。うん、美味しい! それからいつものバターたっぷりのクッキーにイチゴジャムをのせて『あ~ん~~』美味しい~!

 「なんて失礼なのかしら!」

 いつの間にか柵の向こうに夫人が来ていてお怒りの様子だ。ちょっと待ってねぇ、コレ食べちゃうから。
大きいクッキーとお茶をいただいて…よし。

 「はじめまして夫人。」

 口の中のものをちゃんと飲み込んでナプキンで口を拭ってニッコリ笑顔で挨拶したのにまたしても「失礼だわ!」と怒鳴られた。色々な意味で解せぬ。なので爺をチロンっと見ると心得ましたとばかりに敬々しいお辞儀を僕にした。

 「何をもって失礼だと言われるのか全く解りませぬな。貴女はここに入った時点で貴族としての特権は停止されています。よってフィエット侯爵家の人間としての扱いは必要有りません。それでも貴女を夫人と呼ぶのは偏にノエル様の気立ての良さゆえです。
 貴女は本当ならば跪いてお言葉を待たなければならないのですよ。」

 僕は心のなかで感心した。これが煽りってヤツかと。母様が僕を差し向けたのは爺がいるからかと納得した。

 「爺、多分言っても無駄だよ。そういうのが解ればこんな所に入らないよ。それに多分お腹空いてるんじゃないのかな?人ってお腹空くと必要以上にイライラしたり怒りっぽくなるもの。このチーズケーキは手をつけてないからどうぞ?……ってあれ……お皿渡せない。」
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