Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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サミュの離宮…と?

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 お城からお使いが来た。珍しく父様達からではなく城内の細々とした事を決めたりする部署からだ。

 「なんだろね爺?」

 「まぁサミュエル様絡みで間違いないでしょうが通達ではなく相談とは…」

 爺でも検討がつかないらしい。確かに新しく皇太子妃となったサミュは決める事がいっぱいあるが僕にまで相談して決める事があるだろうか?午後には人が到着するらしいのでそれで解るだろうけど。

 「相談事にもよるけど今日はお泊まりになるだろうから夜は晩餐になるかな?部屋は東棟の2階客間で良いかな?」

 爺に客人を案内する部屋を指示。本当はその相談内容を知って晩餐になるのかならないのか、内容によっては食事内容の調整も必要だったりするので情報は欲しいところだ。そんな事を考えていたら爺のもとに手紙が届いた。いつもの影の人だろう。

 「ノエル様、相談事というのはサミュエル様のお住まいの件の様です。」

 報告を読んでくれた後の爺の説明によると歴代の正妃の中でも夫と別居をしていた人は何人も居たのでそこは問題にはならないらしいけど、5代目の王妃を除いては自分の領地を持っていたり直轄地の離宮に住んでいたらしい。
 5代目の正妃は当時あった国の王でもあった為、自国に住んでいたとかで、これは例外。

 ……あー、面倒そう。



 なんて思いながらも午後に来客が到着した訳だけどなにやら様子がおかしい。

 「シュチュワート殿下におかれましては」からの挨拶から始まった人はしどろもどろといった程で話を切り出そうとしていた。

 どうしたのだろうか?一応、国の決まりごとに対しての話としてちゃんと殿下兼領主らしく部屋も自分の装いも相応しくしてある筈だが?後ろには爺、横には補佐のようにアンリを付けてちゃんとしてるよ。
 公式の話し合いなのでどちらからも書記を出して記録とらせているけど……こちら側は実は見習い書記が壁の近くにいる。あーあ、このままだとあの見習いの子のノートは『あー、』とか『えー』でいっぱいになりそうだ。

 要領の得ない話を要約すると、概ね爺の言っていたサミュの住まいの件でなんとかならないかと言っていた。……出来るわけ無いじゃん。ここは僕の領地で僕が領主でここまで育てて来たわけよ。ここから先の方針とかも有るし今の段階で僕以外の領主が勤まる訳ないでしょ。

 意地悪でサミュへの領主変更がダメとか言ってるんじゃないし直轄地への変更を拒んでる訳でもない。

 「……ですよね。」

 とボソッと来客が呟く。……やっぱりダメ元で来たんだ。からの「なんか言い案ありませんか」は定番だった。

 うーん、そもそもサミュも例外と考えるべきだと思う訳よ。サミュは『Ωとしての暮らし易さ』を勉強してフールフーガへ持ち帰る事を大義名分として来た。そこへ“双方の利害一致”で皇太子妃になった訳よ?そして母様と違ってフールフーガの王族の籍も持ったまま。そこを活かして『この国の王族領地の客人として国所有の離宮に住まわす』じゃあダメですかね?え?後世の時代に見つかった時この理由じゃ誤解を招きかねない?……そんなの紛失させなさい。20年後くらいにこの辺の書類はまとめて紛失です。
 あ、書記がいた。爺~。
 ……本職書記はさすがでこの辺の会話がどちらも記録してなかった。え?見習いさん?大丈夫、会話に追い付いてなくて書かれてないから。
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