Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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会場

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 馬車がついた先は離宮の一つである瑠璃宮だ。僕が一番先に着いたので降りると早速出迎えに来てくれたらしいが僕が誰かわからないらしい。狙いはバッチリだ!
 さぁ~僕はいったい誰でしょ?と待っていたらザサが僕の名前はわざと出さずに案内を促した。
当然、向こうは名前が解らないと言えず「お待ちしておりました。本日はおめでとうございます。」という当たり障りのない挨拶になり控え室への案内も無駄口なくスムーズにすんだ。

 この時間の会場入りでΩだろう人物は3人しかいないはずなのにわからなかったのはもう既に僕がベールを被っていたからだ。

 「ザサ~、この後に到着予定のサミュとトータの事お願いね。2人に言ってあるけどサミュの方は覚えていないかもしれないから。」

 極度の人見知りとあがり性の為ということでトータと僕は直前までサミュと一緒にいる予定になっている。これでサミュはともかく僕とトータの見分けはよっぽど親しい人でない限り困難だろう。これはこの後とっても大事になる事なので、到着したら3人とも控え室まで声を出さず行動も同じ様にしてほしいのだ。



 最後にサミュが到着した……したけど、なんかもう倒れそう。ザサが言うには到着後ふらついた時に咄嗟に近くの護衛が支えたのだが知らない人だったため、気絶しそうになり慣れてるザサにすぐ代わったがもう震えが酷く立つこともままならず回りが大変だったらしい。
 その後、予想通りサミュの体調は回復せず部屋を出るときから僕とトータで支えなくてはいけないのだが、なんせ僕らもΩ……僕らを支える人も必要になった。

 そんなわけで今、前代未聞の入場となっております。参列出来ずとも“見守りたい”と称して集まった野次馬貴族さん達の前を僕とトータにおぶさるようになっているサミュ。そのサミュの足を台車に乗せ、操作するザサ。トータを支えると見せかけたカドラさんと僕を本当にしっかり支えるアーノルド。この人数が固まって通りすぎていく。

 周りのざわつきの中から聞き覚えのある声で『深窓の王弟』という言葉が出た。イエイガー老は何か事情に詳しいのではと思った貴族が老に次々と話を聞きに行くだろう。
 ……老の思う壺。と思ったがこっちの余裕の無さは予想以上だったためサミュを運ぶのに必死になった。

 扉が開き、入場となったがなんせこの大所帯……司祭さんをはじめ父様母様、フールフーガの陛下と皆が目を見開いてる。いや、陛下なんて出て来ようとしてる。サッと事情説明に侍従さんが行ったが手がワキワキしてるのがなんか笑える。

 いや、今その動きはやめてくれ。力が抜けると本当にまずいんだよ。もう殆んど気絶してるサミュは重くてトータも僕も息切れしてるんだから。
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