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本番2日前
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領をアンリに任せて爺を補佐に付けて僕は王都に到着。隣にはもう既に顔色の悪いサミュがいる。トータもさっきまでは一緒だったが一応、即妃として嫁にいく手前一緒に城に行く事は出来ず爺の王都の家に世話になるのでそちらに行ってしまったのだ。
そういう訳で今僕は顔色の悪いサミュを支えて馬車で運ばれている。
「ザサ、もうサミュ無理そうだから着いたら抱えて降りて。」
向かい側に座っているザサにそう言うとザサも心得ていて「それが良いでしょうねぇ。」と頷いている。僕によく着いて歩いていたザサは自然にサミュが慣れた様でザサに抱えられる分には大丈夫そうだから連れてきて正解だった。
「あらあらあら…。2日前に来ると聞いた時は前日の方が良いのじゃないのかと思ったけど理由が解ったわ。」
城に到着し速攻で部屋に入ったサミュを心配して母様が見舞いに来てくれたのだけど顔色悪く魘されて眠るサミュを見て納得してくれた。
「もう既に緊張でご飯も食べられなくなってます。」
今、一番の問題を母様に打ち明ける。昨日の夕食から目に見えて食べれて無いのだが今日の朝まではカドラさんが抱き抱えてなんとか食べさせていたのだ。
「えっ?」とこちらを見る母様が不安そうだったが本当なのでどうしようもない。Ωの体質として体力は少ない、普段から痩せている、大人しい性格この事から色々と心配になるのだろうけど。
「この状態ですので父様への到着の挨拶等は…」
「ええ、良いですよ。夕方にはシグルーン女公爵も来ますから……看病を代わるそうよ。」
なるほど、僕を休ませる為の交代要員としてお婆様が来てくれるのね。そうかサミュが慣れた人って少ないものね。
「明日、1日休めば大丈夫でしょうから。」という僕に母様から「食事がとれなくては大丈夫もないでしょう」と呟いているが、魘されているサミュの横で本番の打ち合わせを母様とした。チラチラとサミュを伺う母様は結構心配性らしい。
夕方頃、お婆様がそっと入ってきたので一通りの挨拶をすませると「ノエルも休みなさい」と言ってくれたので疲れてた僕はありがたく自室へ……行く途中でローランドにつかまった。
「兄上!」僕を見つけたとたん背後から花が咲いて舞ってるような勢いで跳んでくるローランドは……あれ?一回り体が大きく?
僕の視線に気づいたローランドはニコニコ笑顔で「ええ、結構筋肉がついてきまして」と嬉しそうだ。
……ズルい。思わず思ってしまうのは許してほしい。あぁいやいやそんな場合ではない。僕はちょうど良いからとローランドに式の事をどれくらい聞いているかと確認した。
「ああ、一応変わる度に報告は受けています。ですが最終的にはサミュエル様の様子次第で変更できるように時間や人員配置は余裕を持たせました。」
ありがたい事に細かく伝わっているらしいことに安心した。
そういう訳で今僕は顔色の悪いサミュを支えて馬車で運ばれている。
「ザサ、もうサミュ無理そうだから着いたら抱えて降りて。」
向かい側に座っているザサにそう言うとザサも心得ていて「それが良いでしょうねぇ。」と頷いている。僕によく着いて歩いていたザサは自然にサミュが慣れた様でザサに抱えられる分には大丈夫そうだから連れてきて正解だった。
「あらあらあら…。2日前に来ると聞いた時は前日の方が良いのじゃないのかと思ったけど理由が解ったわ。」
城に到着し速攻で部屋に入ったサミュを心配して母様が見舞いに来てくれたのだけど顔色悪く魘されて眠るサミュを見て納得してくれた。
「もう既に緊張でご飯も食べられなくなってます。」
今、一番の問題を母様に打ち明ける。昨日の夕食から目に見えて食べれて無いのだが今日の朝まではカドラさんが抱き抱えてなんとか食べさせていたのだ。
「えっ?」とこちらを見る母様が不安そうだったが本当なのでどうしようもない。Ωの体質として体力は少ない、普段から痩せている、大人しい性格この事から色々と心配になるのだろうけど。
「この状態ですので父様への到着の挨拶等は…」
「ええ、良いですよ。夕方にはシグルーン女公爵も来ますから……看病を代わるそうよ。」
なるほど、僕を休ませる為の交代要員としてお婆様が来てくれるのね。そうかサミュが慣れた人って少ないものね。
「明日、1日休めば大丈夫でしょうから。」という僕に母様から「食事がとれなくては大丈夫もないでしょう」と呟いているが、魘されているサミュの横で本番の打ち合わせを母様とした。チラチラとサミュを伺う母様は結構心配性らしい。
夕方頃、お婆様がそっと入ってきたので一通りの挨拶をすませると「ノエルも休みなさい」と言ってくれたので疲れてた僕はありがたく自室へ……行く途中でローランドにつかまった。
「兄上!」僕を見つけたとたん背後から花が咲いて舞ってるような勢いで跳んでくるローランドは……あれ?一回り体が大きく?
僕の視線に気づいたローランドはニコニコ笑顔で「ええ、結構筋肉がついてきまして」と嬉しそうだ。
……ズルい。思わず思ってしまうのは許してほしい。あぁいやいやそんな場合ではない。僕はちょうど良いからとローランドに式の事をどれくらい聞いているかと確認した。
「ああ、一応変わる度に報告は受けています。ですが最終的にはサミュエル様の様子次第で変更できるように時間や人員配置は余裕を持たせました。」
ありがたい事に細かく伝わっているらしいことに安心した。
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