Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
上 下
622 / 685

本番2日前

しおりを挟む
 領をアンリに任せて爺を補佐に付けて僕は王都に到着。隣にはもう既に顔色の悪いサミュがいる。トータもさっきまでは一緒だったが一応、即妃として嫁にいく手前一緒に城に行く事は出来ず爺の王都の家に世話になるのでそちらに行ってしまったのだ。
 そういう訳で今僕は顔色の悪いサミュを支えて馬車で運ばれている。

 「ザサ、もうサミュ無理そうだから着いたら抱えて降りて。」

 向かい側に座っているザサにそう言うとザサも心得ていて「それが良いでしょうねぇ。」と頷いている。僕によく着いて歩いていたザサは自然にサミュが慣れた様でザサに抱えられる分には大丈夫そうだから連れてきて正解だった。



 「あらあらあら…。2日前に来ると聞いた時は前日の方が良いのじゃないのかと思ったけど理由が解ったわ。」

 城に到着し速攻で部屋に入ったサミュを心配して母様が見舞いに来てくれたのだけど顔色悪く魘されて眠るサミュを見て納得してくれた。

 「もう既に緊張でご飯も食べられなくなってます。」

 今、一番の問題を母様に打ち明ける。昨日の夕食から目に見えて食べれて無いのだが今日の朝まではカドラさんが抱き抱えてなんとか食べさせていたのだ。

 「えっ?」とこちらを見る母様が不安そうだったが本当なのでどうしようもない。Ωの体質として体力は少ない、普段から痩せている、大人しい性格この事から色々と心配になるのだろうけど。

 「この状態ですので父様への到着の挨拶等は…」

 「ええ、良いですよ。夕方にはシグルーン女公爵も来ますから……看病を代わるそうよ。」

 なるほど、僕を休ませる為の交代要員としてお婆様が来てくれるのね。そうかサミュが慣れた人って少ないものね。

 「明日、1日休めば大丈夫でしょうから。」という僕に母様から「食事がとれなくては大丈夫もないでしょう」と呟いているが、魘されているサミュの横で本番の打ち合わせを母様とした。チラチラとサミュを伺う母様は結構心配性らしい。

 

 夕方頃、お婆様がそっと入ってきたので一通りの挨拶をすませると「ノエルも休みなさい」と言ってくれたので疲れてた僕はありがたく自室へ……行く途中でローランドにつかまった。

 「兄上!」僕を見つけたとたん背後から花が咲いて舞ってるような勢いで跳んでくるローランドは……あれ?一回り体が大きく?
 僕の視線に気づいたローランドはニコニコ笑顔で「ええ、結構筋肉がついてきまして」と嬉しそうだ。
 ……ズルい。思わず思ってしまうのは許してほしい。あぁいやいやそんな場合ではない。僕はちょうど良いからとローランドに式の事をどれくらい聞いているかと確認した。

 「ああ、一応変わる度に報告は受けています。ですが最終的にはサミュエル様の様子次第で変更できるように時間や人員配置は余裕を持たせました。」

 ありがたい事に細かく伝わっているらしいことに安心した。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...