Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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頭を抱える爺

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 グリフウッドに行くシモンの荷物を指示し色々と手配中の爺の元にシモンが飛び込んできた。今は荷馬車の確認で馬車小屋にいたのだがそこに部屋着にガウンを纏ったシモンが息を切らせて来たので爺は何か大変な事がおこったと焦った。
 しかしシモンから出た言葉は『ノエルをなんとかしてくれ』という爺にとっては慣れすぎた言葉だった。

 「ノエル様が何をしたかによりますが?」

 ノエルの行動に慣れた爺は“またですか”と呆れ交じりで聞いてきた。

 「僕達と一緒に寝ると言い出して寝る場所を巣に決めた。」

 沈黙のあと爺から珍しく「はい?」と間抜けな声が聞こえる。シモンはもう一度爺に「母様は巣で僕達と一緒に寝る気だ。」と簡潔に返した。

 理解と同時だろう。爺は年齢にそぐわない速さでその場から消え、領主館の方から「ノエル様!」という声が聞こえた。


 「さぁ~可愛くできた。エンジュ~お部屋に行こうね。今日のお部屋はクマさんがいっぱいだよ。」

 「ぅキャァ~ くあしゃん、くあしゃん。」

 シロクマの着ぐるみパジャマを着せられたエンジュがノエルに抱っこされて廊下を移動していると爺の「ノエル様!」という声が聞こえた。
 爺の声で怒ってると察したノエルは素早くもう近くまで来ていた巣の部屋に飛び込んだ。
 この部屋の中には爺は入ってこないという経験から飛び込んだのだが……。

 「よろしいですかノエル様、貴方が特に何も考えずにこの部屋なら皆で眠れるから良いでしょうとこの部屋にしたのはわかります。ですがちょっとは考えてください!この部屋は巣として使ってるわけですから……」

 部屋には入って来ないけど部屋の前で叱っていた。ここで注意しなきゃならないのは中の様子なんてわからないでしょとたかを括ってエンジュと戯れてはいけない。ちゃんとドアの前で正座して聞いてないと「ノエル様、きちんと聞きなさい」とお説教が長引くのだ。
 もちろんエンジュは僕が怒られてるのはそっちのけで大きいクマさんと戯れている。

 「……でも爺、なんで巣はダメなの?」

 だいぶ経って爺のお説教が集束した頃、なぜ叱られたのか理解できなかったノエルは素直に爺に聞いた。それを聞いた爺は泣きたい気持ちになっていたのをノエルは知らない。
 溜め息をついた爺はふと十数年前の事を思い出した。ノエルは授乳が簡単なようにと服を改造したのだが、あまりの破廉恥さに怒られても理解しなかった事があった。
 そう、今回もノエルは巣がどういう行為をする場所だと子供達も知っていると解っている。でもノエルにとってそれは自分はΩなんだから当たり前。当たり前の事なんだから何処が悪いのか?それに子供達はその結果なのだから今更?と思っている。

 「……ノエル様、巣に他のαの匂いがあるのをアーノルド様が気にされますよ。」

 他にノエルの考えを動かせる言葉を思い付かなかった爺は何気なく言ったがこれにノエルは一番動揺した。

 「えっ?アーノルド怒る?だってシモンとアンリだよ?僕らの子供だよ?」
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