Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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やっと

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 生徒達の巣立ちはもっとしんみりした気持ちで見送りをすると思っていた…いや、事実今まではそうだった。
 こんな『やっと行った………やっと休める』なんて疲れきって送り出し淋しさより安心感をもつとは思わなかった。


 そう、先ほど僕は最後の出発になってしまったフールフーガの皇太子達を見送ったところだ。船で優雅に行くはずが興奮収まらぬままの騒がしい出立だった。

 元生徒達は飛行船に乗って行くと知ったことで喜び、操縦席にいたイケオジ2人を見た。
 え、イケオジ2人?提督とデジレ様に決まってるじゃない。

 けれど2人に対する感想は正反対でその野性味溢れるワイルド巨体イケオジと一見するだけなら美麗貴族イケオジだったらしい。提督の貫禄にオドオドしデジレ様の麗しさに頬を染めた生徒達はキャイキャイと浮かれ、皇太子を初めとする番達は嫉妬オーラを出すものの相手が相手だけに心配になって不安げだ。

 これはイケナイ!と僕は早々に現実を元生徒に教えようとデジレ様に渡すお土産の1つを取り出し手渡しした。

 「デジレ様、これはデジレ様へのお土産です。」

 「ああ、ノエル様ありがとうございます。……これは?」

 いつもは手渡しなどせず積み荷に入れてるので疑問に思うのは当然だ。まさかデジレ様本人に『貴方のその美麗さに元生徒達が頬を染めたので番達が嫉妬で元生徒達に甘いお仕置きをしない為に提督とのイチャイチャをしてください。』なんて言えるはずもない。
 え?僕なら言える?って……言えないよ~。

 デジレ様の問に僕は「櫛ですよ」と答え提督の後ろ頭を見た。僕の視線をおったデジレ様はちょっと屈んで僕の視線を確認して「ああ。」と納得し受け取った。
 僕の背の低さから提督を見ると髪がグシャグシャなんだ。

 小さな包みを開けて綺麗に貝が模様に嵌められた櫛を取り出すとデジレ様は自然に提督の座る後ろに周った。
 提督はちょうど操縦士長から空路を聞いていたらしく大きな紙を広げて指差しながら話をしていた。そこに行ったデジレ様は提督の後ろから顔を覗き込ませ何かを喋ったあと提督の後頭部に手を充てた。

 αは人が頭に触ることを嫌うというから断りをいれたのだろう。そして空路を真剣に見る提督の席の低い背凭れに腰掛け髪を梳かしはじめた。広く逞しい背中にぴったりと寄り添って世話をするデジレ様との様子は大人のいちゃラブ雰囲気があり『成功!』と僕は思った。
 うん…提督&デジレ様のいちゃラブ見せつけは確かに成功したんだけど、この様子に元生徒達は「イヤァ~、大人のラブ~」とまるでアイドルをみたかのような興奮をしてしまったんだ。

 そのあたりで爺が飛行船に乗って来て「貴方が関わるとややこしくなりますから」と持ち上げられ強制下船となった。幸い元生徒達はその後暫くして落ち着き改めてお別れをし、ようやく見送ったというわけだ。

 イヤァ明日はゆっくりしようかなぁ~。
あ、因みにあのお土産の櫛は櫛本体はおまけで本当のお土産は櫛が入った袋なんだ。スサエナでは銀糸を使った刺繍もはじめたんです。
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