Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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教育の賜物

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 汽車の時間もあったので馬車の中で生徒から話を聞いた。

 「はい。僕が町で見たのはやっぱり弟で間違い無かったです。」

 生徒が抜け出したのは犯人達の思惑通り弟らしい人間がこき使われているのを見たからだった。はっきりとではないし最後に会ったのは何年も前の事なので正直、自信は無かった。でもなんとなく父親に似ている気がして部屋に帰ってからも忘れられなかったという。ちゃんと弟だと確証があれば訳を話して会いに行く許可を…とも思ったらしいが勘違いかもしれないと相談せず、でも確かめたくて起こした行動だったらしい。

 「さっき僕が聞いた扱いだと弟でなくても見つけた途端保護になるよ。」

 この生徒はもうちょっと相談するという事を学んで欲しい。10才そこそこの子供に荷馬車を引かせるなんてあり得ない扱いだからね?そんなの直ぐに言って良い内容だよ。見た感じ折檻の痕もあるっぽいし、見回りの衛兵だってそんなの見たら保護するよ。

 「弟は最初僕が分からなかったようなんですけど叔母さんからずっと僕の事を聞かされていたらしく気付いたようなんです。で、聞かされていたというのが……。」

 と、ここで止まってしまった。
うん、どういう言われ方をしていたかなんて想像つくよ。

 「どうせΩのくせに~っていうヤツでしょ?」

 「それなんですけど、ちょっと違っています。なんだか最近は僕らをブランド扱いしているらしく学校の名前と合わせて“ハイゼルのΩ”と呼ぶそうで……。」

 ちょっとどころではなくとんでもなく恥ずかしい呼び名に叫びたいのを我慢しながら詳しく聞いてみると寄宿学校の生徒達はその教育の高さ、番になるαのランクから最高峰のΩといわれ、今までの認識とは真逆の見方になっているらしい。そして出きるなら自分達側に率いれたいようだ。

 「現にさっきの人達も僕を軟禁しようとしたけど授業で教わった通りやったら失敗して弟を僕に渡すことで大人しくさせたんです。」

 ……ん?……え、どういうこと?

 「僕達、護身術とか防衛術とか倣ってるじゃないですか。実は僕、護身術も得意なんですけどそれ以上に逃げ足が速くて…あまり乱暴な扱いをされなさそうなのを良いことに引っ掻き回して居たんです。家中を逃げ回っていたんですけど一番奥の部屋で窓の小さいあの部屋に弟を置いて……」

 なるほど、誘き寄せたと。それで……最終的にあの人達はキミをどうするって言ってた?

 「“ハイゼルのΩ”は高く売れるって。」
 
 ハイきました~!the人身売買。

 「なんだか仲介手数料もナンタラって…明後日、取引あるからちょうど良い…なんて事も。」

 どんどん出てくる情報を爺は素早く書き留めて馬車が目的地に到着すると直ぐに書いた物を何処かに送っていた。

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