Ωの僕がお偉いさん

実家、其々のお別れ（場合によって決別）

　荷物を置いた後は其々の実家付近へと向かうのだが、これは希望者のみにしたはずが全員参加となった。……多分、学校で恋愛ざまぁ系の小説が流行ったせいだ。（作者:トータ）愛されヒロインが不遇の時代をおくった実家に挨拶に行くという当に“今ココ”の場面をヒロイン側で体験とあっては希望者も多くなるものだろう。……しかしこの子達、ずんぶんと強かしたたに……ｲﾔｲﾔ、強くなってくれたものだ。来た当初のこの子達は『二度と会いたくない、忘れ去りたい』と震えていたのに馬車に向かう子達は心なしか緊張しているものの、番に渡された洋服に身を包み愛されΩ定番アクセサリーで装って堂々としている。…因みに全員保護者付き。堂々と横でエスコートする人間が予定より3人増えて……んんんnn？

　「……爺？」

　「屋敷の護衛騎士の中に３名ほど。」

　……あのさ？今日は30人中５人の番さんを予定していた訳ですよ。途中で勝手に合流して11人になってるってもはや調節の意味ないじゃん。夜間の見張りが不安とか屋敷の周りの警護の為とかで分散してもらえるようにしてたのに……。もういいや。

　「……諦めた。」と僕の言葉が発せられた直後、あっちこっちから湧いて出た番達はさっさと自分の番の元に行き僕に一礼して馬車に乗り込んだ。



　帰って来た生徒達はみんな通常に見えた。念のため当初の予定通りの保護者の方を集めて報告を聞いた。半分くらいの生徒はやはり遠くから実家を眺め当時自分の事を気にかけてくれた人に会って来たそうだ。キチンとした身なりに教養、最愛の番を見つけられた事を知らせ穏やかなお別れをしたらしい。なお、数ヵ月後には番さんが自分の家にハウスキーパーとして引き抜く手筈も整えたのが数件。引退先の家を用意してあげたのが数件。……番のためとはいえ行動が早い。

　さて、残り半数の生徒だが……なんと４人の生徒が堂々と実家に乗り込み“ざまぁ”を達成したらしい。しかもこの4人は最初から番さんの同行を望んでいた子達。何かしら意味があると思っていたら爺から報告書が渡された。
　それによれば生徒達は元家族から奪い返したい何かがあって、その為に乗り込んだらしい。2人は母親を、1人は母親の形見を、1人は家その物。
　……ちょっと！家ってどういう事！

　コホン。取り乱した。
さて、この4人を除いた約半数は穏やかに再開し和解、お別れをしたらしい。うん、この辺りは当初から把握している。寄宿学校へ引き取られてからも定期的に手紙が送られて来ていたり謝罪の手紙があって連絡はとれていたからだ。

　この結果に僕は満足です。キッパリと縁を切った子、和解し歩み寄った子と状況は其々だけど本人の望みが叶ってよかったと思う。