Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ここには引っ越し業者がない

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 思い起こせばあれは桜が咲き始める頃だったと思う。新しい一歩を踏み出すために遠方へといく者達が多くなる季節、その季節は荷物もその主人達と共に移動をする。このくらいの荷物は何トンの車になるかな?等と考えなるべく安くできるように考えるも季節的に選ぶ余裕はない。自分のスケジュールに合った日に予約できれば御の字だ。
 そして業者が決まればチマチマと荷造りをして当日運んでもらう。懐に余裕があれば当日まで快適にすごし業者に全て任せる人もいただろう……。


 はい、現実逃避終わり!!
なんでこんな現実逃避をしていたかって?それは目の前に並んだ荷物達を見たからです。
 船から降ろされた結納品を運んでいるというのでちょっと様子を見に来た僕は思わず思考停止をしまして、現実から逃げた訳です。でも逃げてもどうしようもなく仕方なく戻ったのですがこの次々と荷物を乗せて行く馬車と空荷で戻ってくる馬車の列を見てしまったら逃げたくなっても仕方ないと思う。
 ガラガラガラガラと大型馬車が何十台と集まり乗せては運びだし去って行く。その後ろにはもう次の馬車が控えていて次から次へと行くのだが絶えることがない。

 「……思っていたより……。」

 『酷い』とは思ったが言葉にするのは控えた。せっかく送られた物に対して失礼だからだが、思うのは許してほしい。
 

 運ばれた先でも混乱が続いていた。
物が物だけに運んでいる物と建物に気を使うのでどうしてもスピードは落ちるから広いはずの正門前の馬車寄せ場所はギッシリ埋まっていた。

 「ノエル様、おいでになりましたか!」

 建物管理を任せていた人が僕を見つけて駆け寄ってきた。話を聞けば1階の舞踏ホールと会食ホールはもう一杯で今は控え室としてパーティーの時に使う部屋に運び入れしているが7割埋まってしまっている。次は警護の人達が使う屋内鍛練場と控え室を使うがあとどれくらい来そうかと言うのだ。
 港の様子を思い出す……たしか2隻の船は背が高くなっていた。荷物がかなり少なくなっていたかもう無かった為だろう。3隻目からは次々と降ろしていたが4隻目はまだ手つかずのようだった。

 「……え~とあと半分?」

 ほぼ泣きそうな管理人にロイヤルルームといわれる王族のプライベートルーム以外は2階の客室にも荷物を入れる許可をだした。
 さてこれで一応現場も見たことだし帰ろうかなぁと思っていた矢先、女公爵が下船し領主館に来ていると知らせが届いた。

 知らせに「ありがとう、すぐに戻るね」と笑顔を返したが僕の心の中では『ねぇ混乱してるのわかってるでしょ!?こんな大変な中、どうして降りて来ちゃうかな!』ともうスサエナに帰りたくなっていた。ため息を吐きつつ大人しく戻ったよ。
 ……明日は天気かな…。またも現実から目を背けながら戻るのは許してほしい。
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