Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
上 下
551 / 685

閑話:もしもバレンタインがあったなら

しおりを挟む
 バレンタインを二日後に控えてノエルの部屋には妖しい箱が運び込まれ、夕方になると人払いがされた。部屋にはトータ、サミュエル、僕といういつもの顔ぶれ。

 「準備は?」
 「後1つ。マオが持ってくる。」
 「そのマオはいつ?」

 決め手となると物をマオが手に入れて来る事になっているのだが、そのマオがまだ来ていない。

 「あのマオがまだいないなんて……何かあったんじゃ?」

 短いながらも濃い内容の付き合いですっかりマオの性格を掴んだサミュエルが心配そうな声を出す。

 「大丈夫!安心して。マオには今回絶対に失敗させられないから爺を付けたんだもん!」

 そう、僕は今回の為に爺をマオに付けたんだ。当然ながら爺は渋るしマオは『絶対ヤダ!』と駄々を捏ねたがなんとか説得した。
 ……犠牲は甚大だったがそれだけ大事な事だったんだ。サヨナラ僕のホワホワ大型ウサギぬいぐるみさん。

 そんな心配をしていたときバタバタと音がして「ただいま~!」とマオが入ってきた。
 マオ?ここは君の家じゃないよ?まぁほぼ家みたいになってるからいいか?

 「!マオ、おかえりなさい?どうだった!?」

 マオの『ただいま』にトータの食い気味の返し。サミュエルもマオをじぃーっと見て気になっているようだ。うん、僕も爺がいるからまさかとは思うけど、気になってマオを見た。

 「安心して!ちゃんと持って帰ってきたよ!」

 グッとサムアップで答えるマオはとても満足そうだ。どうやら気に入った物が仕入れられたらしい。



 ドキドキしながら箱を開ける。
これを運び入れてくれた爺は僕にくれぐれもムチャをしないようにと言い含め大きなため息をついて出ていった。

 「「「……ぉおおお!」」」

 マオが手に入れてくれたのは例のフールフーガのΩ専門店で『これで貴方の番を釘付け☆』と煽り文句付きで限定販売されたバレンタイン攻略セットだ。
 え?なんでβのマオがΩ専門店で買えたかって?それはサミュエルの紹介状があったからだ。いや勿論堂々とサミュエルの名前は出していない。でもアレからサミュエルは度々使いの人に買い物をさせていたらしく大、大、大お得意様として記憶された。なので数ヶ月前に限定販売が決まると『是非とも』とご案内が来たという。
 そんな訳で僕らは5人分のセットを買えたのだけど受け取りをどうしようかと思っていたらマオがなんとか出来るかもと請け負ってくれたのだ。

 サミュエルはラベンダー色の清楚な足首まであるロング。トータは元気なオレンジ色でハーフ丈。マオは意外にも白の超ミニ。僕は黒のハーフ。其々自分のネグリジェを取り出してチェックをした。
 揃いの際どい下着やリボン等の小物には綺麗な刺繍が入り手の込んだものだった。

 「さて、みんな用意はいい?各自の部屋に爺がお酒とチョコレートを準備してる!抜かりなく!番に日頃のお礼をしよう!!」

 そう言うと僕らは各自の部屋に戻った。今夜はアーノルドに日頃のお礼を込めて労うんだ!




  翌日、ノエル等は誰一人部屋から出てこなかった。そして、別棟では濃い紫色の薄布のロングドレスを着た麗人が居たとか居ないとか。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...