Ωの僕がお偉いさん

寝台列車

　年少組の遠足は翌日の年少組のパーティーの都合上どうしたものかと声があったが僕の「汽車を夜に走らせれば良いよ」の一声で片付いた。年少組とはいっても6才から12才くらいまでの子達だから人数は30人程だったし日頃から団体行動になれているから世話人さえいればなんとかなる。
ちなみに、6才でも行きたくない子はお留守番でも良いし5才でも『お約束守れる？絶対？』『うん、絶対言うこと聞いて良い子でいる！』となった子は付いて行っている。まぁ、12才の子で遠足選んだのは８人中2人だけだったけど。あとの6人は年長組の事をしっかり見ておきたいんだって。

　そんなこんなで、今僕は年少組のお見送りに駅に来ていた。

　「はーい、並んで～。班長さん人数確認～。」

　よくできたものだ。ちゃんと5人一組になって班長さんを先頭に2列で並ぶ。班長さんは5人揃うと手をあげて『○○班揃いました！』と報告。その班の引率者が班長さんの前に立つと5人は座って大人しく待つのだ。
　程なく6班全部が揃うとちょっと緊張気味に汽車に乗り込んで行った。
　今回の遠足のために汽車にはベッドが出来た。
……いや、ベッドといっても本物じゃなくて、向かい合わせの座席の間に試しにソファーの足置きの部分を嵌めてみたらピッタリだったからそれを採用してベッドにしただけなんだけどね。子供達だからできる技だけどね。
　引率の大人達はどうするか？それはもう以前の旅で寝台車輌を用意したからそれを使うよ。そんな訳で見事に寝台列車使用となった汽車に次々と子供達と引率者を乗せていった。

　夕飯は中でもお弁当が配られるしおトイレなんかはちゃんとサニタリー車輌も率いてるから心配ない。本当はこの時間に出発すれば夜中前には到着出きるけど、寝てる子供達を起こすのも運ぶのもアレなんで朝になるまで向こうの駅で停まってるのだ。

　窓から子供達が手を振っている。座席はベッドになっちゃってるから1つのベッドに2人づつ入ってお座りしてニコニコ笑顔だ。かわいいなぁ～。
　最後に校長が番である保険医と一緒に乗り込んで行った。
　……校長の部屋は僕の寝台車輌を貸したんだけど、ベッドしかないんだよねあの部屋は。イチャイチャしないでよ？

　ポッポッポーと汽笛がなるとゆっくりゆっくり汽車が動き出した。それを合図かのように子供達は元気いっぱいに『行ってきまーす』と言って手を大きくふる。僕たちお見送りも『行ってらっしゃーい！良い子でー！』と手を振ってあげた。

　汽車が遠ざかって行くのを見送るとその後は慌ただしく学校へとって返す。ここからは本当に戦場のような忙しさだった。今日の夜から僕の侍女さん達による“お肌のお手入れ講習会”が開催されており明日の用意に不安な生徒達の対応に追われた。