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サミュエルのお仕事
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さて、陛下の訪問の日程が後わずかになった今日は大事な大事な会合?が開かれていた。場所は領主館の広間でいつものメンバー。
そよそよと優しい風がバルコニーから入り穏やかな日差しの中、優雅にお茶を飲みつつお菓子をつまむ。時折、庭師が端整込めて育てたバラの香りが届……かない?あれ?おかしいな。あんなに綺麗に咲いてあの量なら……あ、あれか。燻製の香りがそここに染み付いて鼻が馬鹿になってるからだ。
「セオ、こちらだ。」
デジレ様が遅れて現れた。そして連れてきた人を提督の前にだした。年齢は60才を越えているだろうと思われるがその動きは機敏で爺を連想させる。提督が2、3質問をしているようだがちょっと遠くて聞き取れない。なんだろう?デジレ様が連れてきて提督に引き合わせるとなると信用の置ける人なんだろうけど?
「……あ。」と僕の横にいるアーノルドが何か思い当たったらしく声を出した。それに僕は興味津々を隠さずに「何?何?なんなの?知ってる人?」と質問をした。
「ああ、あの人は長年、港の管理組合の会長を勤めていた人だ。2年ほど前に年齢を理由に引退しているがまだ相談役という役職で残っていたんじゃなかったか?どうしてここにいるのか……」
アーノルドはそのまま何か考えるように黙ってしまった。長年勤めていたのならデジレ様とも面識があって不思議はない。いや、年齢的に言えばデジレ様が領主だった時代にあの人も現役バリバリ(死語)だったんじゃないかな。
それからしばらくたって何か決まったようでデジレ様がその人を連れてこちらに来た。ここにはアーノルドと僕の他にいつものメンバー、サミュエル、トータ、マオが其々のパートナーと寛いでいた。
「サミュエル様、このロバルトが此方での貴方のお仕事の補佐となります。」
……補佐?お仕事?っていう顔でサミュエルが皆を見つめる。その顔に僕は『もしかして?』と思い浮かんだ事があった。それは『もしかしてサミュエル、お仕事するって約束を忘れてた?』だ。
考えてみればサミュエルはこっちに来てお仕事は全然している様子がない。はじめはカドラさんと番ったばかりの新婚さんだからお休みだと思ってたけど、ここに来て約10日、この国に来てからを考えると17日になる。
あ、僕はちゃんとお仕事してるよ?書類仕事は朝と夕に分けて。急ぎのはその都度、というようにしている。もちろん、簡単な物はシモンもアンリも手伝ってくれてるのでそのお陰なのだけど。アーノルドも夕方から夜にしてる様子だね。多分、トータもいないときあるからその時にしてると思うよ。
「安心して下さい。貴方のお仕事は主にここでの外交ですから。」
不安そうなサミュエルを宥めるようなデジレ様の言葉はサミュエルを安心させたけど反対に僕を不安にさせた。それは『ノエル様が行う領政をお手伝いするのもお仕事ですけど。』という言葉だった。
……え?サミュエルが僕を手伝うの?
「ええそうです。」
……え、立場的にそれは……。
「友好国の王弟ではありますが、ノエル様も王族ですから立場的には同等かと。あ、サミュエル様は口出しはしないので内政干渉の心配ないですよ。」
ああ、そこは思ってないから大丈夫。
「まぁお手伝いをして街を動かすお勉強にしていただくというのが本音です。」
ああ、そういうこと。……うーん、なら良いのか?
そよそよと優しい風がバルコニーから入り穏やかな日差しの中、優雅にお茶を飲みつつお菓子をつまむ。時折、庭師が端整込めて育てたバラの香りが届……かない?あれ?おかしいな。あんなに綺麗に咲いてあの量なら……あ、あれか。燻製の香りがそここに染み付いて鼻が馬鹿になってるからだ。
「セオ、こちらだ。」
デジレ様が遅れて現れた。そして連れてきた人を提督の前にだした。年齢は60才を越えているだろうと思われるがその動きは機敏で爺を連想させる。提督が2、3質問をしているようだがちょっと遠くて聞き取れない。なんだろう?デジレ様が連れてきて提督に引き合わせるとなると信用の置ける人なんだろうけど?
「……あ。」と僕の横にいるアーノルドが何か思い当たったらしく声を出した。それに僕は興味津々を隠さずに「何?何?なんなの?知ってる人?」と質問をした。
「ああ、あの人は長年、港の管理組合の会長を勤めていた人だ。2年ほど前に年齢を理由に引退しているがまだ相談役という役職で残っていたんじゃなかったか?どうしてここにいるのか……」
アーノルドはそのまま何か考えるように黙ってしまった。長年勤めていたのならデジレ様とも面識があって不思議はない。いや、年齢的に言えばデジレ様が領主だった時代にあの人も現役バリバリ(死語)だったんじゃないかな。
それからしばらくたって何か決まったようでデジレ様がその人を連れてこちらに来た。ここにはアーノルドと僕の他にいつものメンバー、サミュエル、トータ、マオが其々のパートナーと寛いでいた。
「サミュエル様、このロバルトが此方での貴方のお仕事の補佐となります。」
……補佐?お仕事?っていう顔でサミュエルが皆を見つめる。その顔に僕は『もしかして?』と思い浮かんだ事があった。それは『もしかしてサミュエル、お仕事するって約束を忘れてた?』だ。
考えてみればサミュエルはこっちに来てお仕事は全然している様子がない。はじめはカドラさんと番ったばかりの新婚さんだからお休みだと思ってたけど、ここに来て約10日、この国に来てからを考えると17日になる。
あ、僕はちゃんとお仕事してるよ?書類仕事は朝と夕に分けて。急ぎのはその都度、というようにしている。もちろん、簡単な物はシモンもアンリも手伝ってくれてるのでそのお陰なのだけど。アーノルドも夕方から夜にしてる様子だね。多分、トータもいないときあるからその時にしてると思うよ。
「安心して下さい。貴方のお仕事は主にここでの外交ですから。」
不安そうなサミュエルを宥めるようなデジレ様の言葉はサミュエルを安心させたけど反対に僕を不安にさせた。それは『ノエル様が行う領政をお手伝いするのもお仕事ですけど。』という言葉だった。
……え?サミュエルが僕を手伝うの?
「ええそうです。」
……え、立場的にそれは……。
「友好国の王弟ではありますが、ノエル様も王族ですから立場的には同等かと。あ、サミュエル様は口出しはしないので内政干渉の心配ないですよ。」
ああ、そこは思ってないから大丈夫。
「まぁお手伝いをして街を動かすお勉強にしていただくというのが本音です。」
ああ、そういうこと。……うーん、なら良いのか?
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