Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 ~大工の場合~

『フールフーガの王弟が住まう家』としてリフォームを受けた建築ギルドは真っ青になった。街にギルドというものができて数年はゴタゴタが絶えなかったが十年を過ぎた頃からは纏まりができ、今ではほとんどの大工、見習いが加入した集まりとなった。元々、親方を中心に個々で集まりを作っていた大工たちは個々の家のルールがあったりしてそれを統一するには時間がかかったが協調性は必要な職業だったので徐々に改善していった。
 だがこれも当初はここまで纏まりができるとは思われていなかった。出来たのは一つのある認識が全員の中にあったからだろう。

 『助けなければ助けてもらえない』

 この現実だ。大工たちは何を見たのか?それはこの領ではよく見る光景だ。

 「アレを~こう!こうしたいんです。それにはコレが必要で、コウイウノを作って下さい。多分、こんな感じでいけば作れます。じゃ、ヨロシク!」

 いつもの爺やさんの後ろにいる集団『発明課』の人達が青い顔をして控えている。ここに来た当初は『選ばれた天才α』だと些か高飛車なところがあった人達だが今は『それ故こんな事に』とぼやいている。が、この発明課は全員が協力することで領主のどんな無茶振りも乗り越えているのだ。
 
 この様子を見てきた人達は協力の大切さを知っていた。



 「じゃあ~、一階はこんな感じで(部屋の配置図)二階はこんなの(部屋の配置図)っで!ここに昇降機、こっちにも。上水の配管はこの部屋とココ等へん一体。下水の配管はココとココとココとココ。あとこの一体。ここの壁は書いてあるように。それから~……適当にヨロシク!」

 ギルド長の部屋にノエル様が来たと聞いた時から大工は皆、下を向いていた。間違っても大工の纏め約として選ばれないようにだ。だが、この工事には金銭的に美味しいので普通に大工として関わりたいからギルドから出ていけない。どちらにしても葛藤が続いた。


 ~市場の場合~

 「いやぁ~、今日は儲かったなぁ!」
 「ああ!ここんとこじゃ一番の儲けだ!」
 「ん?じゃあ前にもこんな事あったのか?」

 酒場で市場の店主達が飲んでいる時の会話だ。2人は昔からの住人でもう1人は2年ほど前に越してきた。

 「ああ!あのノエル様んとこのシモン様が生まれたときのお祭り騒ぎさ!グリフウッドで3日間の祭りがあったがこっちでもあってな。そん時は今の半分くらいの店の数だから忙しさも倍だが儲けはそれ以上だったよ!市場の中央で店舗構えてる奴らの殆どはその時儲けた奴らだなぁ。うちは店舗より自宅を選んだがなぁ。」

 当時を思い出したのか興奮の様子を見せた2人は次第にしんみりとした。それは何か悲しい事があったわけではない。儲けを出してくれた本人の突拍子もない行動も同時に思いだし、もしかして今回もそんな事の前触れではないのかと思いはじめたからだ。

 「……まさか。そんな事ないだろう?!大丈夫さ!あれから何年もたった、ノエル様も回りももう落ち着いた大人さ!……うん。……なぁ?そうだろ?」

 「お1人、増えたよな?」

 店中が静かになった瞬間だった。
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