Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
上 下
493 / 685

どうせならマフィンが良かった。

しおりを挟む
 キャッキャウフフとじゃれ合う2人を前に本宮に向かって歩いている。あの後カドラさんにもお話をしたところかなり複雑そうではあったものの、サミュエルと一緒に居られる事が一番だと言ってくれた。そして提督とデジレ様にも事情を話し一緒に来てもらっている。

 「相変わらず王はとんでもない事をお考えになる。」

 事情を理解しても文句は出るもので、デジレ様の愚痴が止まらない。眉を潜めて頭が痛いのかこめかみをグリグリしてる。愚痴もどっちの王に対してなのか両方に対してなのかわからないが(たぶん父様だとは思うけど)ストレス貯めてそうだよね。

 「ねぇ、デジレ様……これ、どうなるんでしょうね?」

 疲れはてる未来しか見えず、どっちの国にも詳しいデジレ様に問いかければデジレ様は心からの哀れみを込めて「ノエル殿、出来る限り助ける」と言ってくれた。……やっぱりか。

 「ローランド様には?」

 「ありがとうございますデジレ様。今頃、父様から話されて呆然としてるかと。ただ、これで方々からの婚約話が無くなるとすれば話を聞く気に……なってくれる?」

 自信無くて疑問系になっちゃった。望みがあるとすれば、この旅の中でお互い知らない人間では無くなったことで少しは抵抗も無いはず…という事だけ。だから、あのローランドがどうでるかはわからない。なんせ『好きで仕方ないから襲っちゃった』という過去があるほどだから。
 

 父様達の待つプライベートの方で一番大きな部屋に着いた。代表でノックをすれば内側から母様がドアを開けてくれた。…珍しい事だと思いながら入れば探していた爺が父様を羽交い締めしてる。ギョッとして見ればアーノルドがローランドを羽交い締めしていた。……喧嘩になったらしく一触即発の直前だったようだ。

 ガルガル言いそうな勢いの2人の間にΩ3人で割って入れば鉾を納めて席に着いた。またこうなるのを止める為に僕は父様の膝に、トータはローランドの膝に座る。

 「あら、いい考え。そうねこの子達が居るとこんなに平和ね。」

 珍しく疲れてる様子の母様が皆にお茶を配ってくれた。因みに爺は軽食のサンドイッチを盛り付けて配膳中だ。……爺、そのワゴンさっき無かったよね?どこから出した?
 じっと見つめる僕の視線に爺は何を思い違いしたのか、「仕方ないですねぇ」と甘いもの好きの3人に生クリームを添えてくれた。……いや、そうじゃない。いや嬉しいけど。

 やはりここは僕が頑張るしかないのかとちょっと気が重くなる。さっき母様が言ったみたいに居るだけで平和になるなら良いのに。

 「2人とも落ち着いて話を聞いて?」

 体制的に前にいるローランドを見つめて落ち着けと伝える。後ろの父様は僕の頭を撫でているからもう落ち着いているだろう。……僕はセラピードッグではないけどね。

 「ローランド、キミはトータの気持ちを考えた?トータは気にしないと言ってるかもしれないけど、貴族の口さがの悪さは知っているでしょう?僕らの居ない所ではもっと言われてるかもしれない。」

 トータを見ると「気にしてないから大丈夫大丈夫」って軽く言ってるけど……言われてないっては言ってないな。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...