491 / 685
とんでもな契約
しおりを挟む
それは突然呼び出された席で言われた。
「ノエルよ、サミュエル殿をローランドの正妃に迎えようと思っている。待て、ちゃんと最後まで聞け。サミュエル殿には番もいて人見知りも激しいおっとりした性格だと知っている。だからこそ立場を強くしておかなければ。」
いつになく真剣な表情で言う父様はなんだかちょっと切なそうにも見える。
横に座る陛下からもサミュエルの今後を考えての事だと話された。
「サミュエルは私の弟だが体があまり強くなく、船に乗る事もないので立場は弱いのだ。今は私が守れるが今後を考えると貴族籍を持たないカドラではダメなのだ。カドラに貴族籍をとも考えたが実績もなく親族も居ないのでは名ばかりの者になる。しかも折角のカドラの才能を埋もれさせてしまう。」
つまり、弱肉強食のフールフーガの社会ではサミュエルはその立場故に利用されるかもしれなくて、それを守れるはずの番は貴族と無縁だったが故に守る手立てが無いと。それらを踏まえてサミュエルの今後を考えると形だけローランドの正妃にすれば解決の道があると言う。
これはローランドもだけどサミュエルにもカドラさんにも衝撃の話になることは確かだ。特にサミュエルには……失神するかもしれない。
こんな事を僕から話してみてほしいと言われましても……。
足取り重く王子宮に戻る。真っ先に頼りになる爺を探したけど、僕ったら今朝爺に王都のお店の様子を見てきてってお願いしちゃってたんだ。ついでにお店の経理関係の事も頼んでたので帰りは夜だ。
ハァ……今朝の僕、何してくれの。
「ノエル~、おかえりなさい~」
「待ってましたよ~。」
……出た。当事者達。この2人にどうやって説明したものか?いやいや、どうやって説明してもショックでしょう。
「……2人に、凄く大事な話があります。」
………………僕は2人に丁寧に丁寧に話した。サミュエルには名前だけとはいえ、番の人以外の妻になる事。トータにはローランドに正妃が出来る事。そしてそれはサミュエルの今後を考えての事。ショックを受けるのは解ってるけど…と話した。
「ああ、はい。解りました。」
うん、そうだよね。受け入れられないよね。
だけどこれは
「いや、解ったってば。」
「ノエル~人の話は聞こう?」
……ん?え、?今なんと?
「解ったってば。大丈夫だよ?」
ええ!?えっ?ええと?……え、なんで?
以外とアッサリ『解ってる』と頷く2人に拍子抜けで聞き返した。
「いや、ノエル?私だって一応は王族で、王族としての教育は受けてるからね?」
悲劇のヒロインのように泣き崩れるだろうと思っていたサミュエルは『名ばかり』というキーワードをきちんと拾っていて「これでカドラと引き離されて二度と会うことが出来ない」という最悪の事態が免れるとホッとしていた。
そしてもう一方のトータは「正妃にという重圧から逃げられる」とこちらもホッとしていた。
「ノエルよ、サミュエル殿をローランドの正妃に迎えようと思っている。待て、ちゃんと最後まで聞け。サミュエル殿には番もいて人見知りも激しいおっとりした性格だと知っている。だからこそ立場を強くしておかなければ。」
いつになく真剣な表情で言う父様はなんだかちょっと切なそうにも見える。
横に座る陛下からもサミュエルの今後を考えての事だと話された。
「サミュエルは私の弟だが体があまり強くなく、船に乗る事もないので立場は弱いのだ。今は私が守れるが今後を考えると貴族籍を持たないカドラではダメなのだ。カドラに貴族籍をとも考えたが実績もなく親族も居ないのでは名ばかりの者になる。しかも折角のカドラの才能を埋もれさせてしまう。」
つまり、弱肉強食のフールフーガの社会ではサミュエルはその立場故に利用されるかもしれなくて、それを守れるはずの番は貴族と無縁だったが故に守る手立てが無いと。それらを踏まえてサミュエルの今後を考えると形だけローランドの正妃にすれば解決の道があると言う。
これはローランドもだけどサミュエルにもカドラさんにも衝撃の話になることは確かだ。特にサミュエルには……失神するかもしれない。
こんな事を僕から話してみてほしいと言われましても……。
足取り重く王子宮に戻る。真っ先に頼りになる爺を探したけど、僕ったら今朝爺に王都のお店の様子を見てきてってお願いしちゃってたんだ。ついでにお店の経理関係の事も頼んでたので帰りは夜だ。
ハァ……今朝の僕、何してくれの。
「ノエル~、おかえりなさい~」
「待ってましたよ~。」
……出た。当事者達。この2人にどうやって説明したものか?いやいや、どうやって説明してもショックでしょう。
「……2人に、凄く大事な話があります。」
………………僕は2人に丁寧に丁寧に話した。サミュエルには名前だけとはいえ、番の人以外の妻になる事。トータにはローランドに正妃が出来る事。そしてそれはサミュエルの今後を考えての事。ショックを受けるのは解ってるけど…と話した。
「ああ、はい。解りました。」
うん、そうだよね。受け入れられないよね。
だけどこれは
「いや、解ったってば。」
「ノエル~人の話は聞こう?」
……ん?え、?今なんと?
「解ったってば。大丈夫だよ?」
ええ!?えっ?ええと?……え、なんで?
以外とアッサリ『解ってる』と頷く2人に拍子抜けで聞き返した。
「いや、ノエル?私だって一応は王族で、王族としての教育は受けてるからね?」
悲劇のヒロインのように泣き崩れるだろうと思っていたサミュエルは『名ばかり』というキーワードをきちんと拾っていて「これでカドラと引き離されて二度と会うことが出来ない」という最悪の事態が免れるとホッとしていた。
そしてもう一方のトータは「正妃にという重圧から逃げられる」とこちらもホッとしていた。
21
お気に入りに追加
2,664
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる