Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アンリの悲鳴

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 母から手紙が届いた。快速挺で1日。隼で1日。おそらく思い付いてすぐに書いただろうから約2日前に書かれたはずだ。となると今日、明日辺りの出港だろう。……文句も愚痴も書けない!

 「兄上……この手紙をどう思われますか。」

 もう泣きたい気持ちでいっぱいです。と兄のシモンに手渡す。

 「え~と、なになに?『フールフーガの国王陛下がアスレチック施設にご興味を示されました。過去最難関のレベルにしているけど物足りなさを感じさせてはいけない。アンリ、きみにお仕事ですよ。ちょっとバージョンアップさせといてください。補佐にザサを使っていいよ。シモンはカシスを使ってね。』……ん~。あ~……がんばれ?」

 兄もこれには思うこともありそうだがため息1つで済ませた。そしてザサはたぶんよく知ってる筈だから色々聞くようにと言った。
 兄から憐れなという目で見られ、ザサはおもいっきり顔をしかめ、カシスは胸を撫で下ろしていた。
 母の指示はあんまりだと思うがよく考えてみれば今、自由に動ける者は少ない。なにせ隣国の国王と女公爵、将軍、王弟が揃ってやって来るというのだから。この憐れな目をむけてきた兄もとばっちりを受けて……あれ?前からかな?まぁ忙しそうだし、息抜きに訪れる場所ならやるしかないのだろう。

 そう思い少し前向きに考えたとたんザサから急かされて別の部屋に移る。

 「のんびりしてはいられません!これからあの施設の説明を致します。明日の朝には現地に向かいますよ。良いですね?!」

 とザサはやる気(?)を見せていた。


  ……なんだ?この施設は?
 ザサから問題の施設の図を見せてもらう。
 縄ばしご上り、平行棒、壁登り、綱渡り……ここら辺までは訓練所でもよく見るが、三段跳び?大玉避け?水上歩行に水上飛び?意味がわからない。しかも第一ステージ?
 図面をよく見ると海の上に第三ステージとある。では第二は何処だろうとみれば海に続く丘の部分に丸で囲まれた第二の文字があった。横書きに『要改良』と書かれている。

 「母上のいうバージョンアップといっていたのはここだろうか?」

 「そうですね。現地で見てみないとわかりませんがここら辺だと思って良さそうです。ここまでの道筋に別の施設……『頂きへの挑戦~真の勇者よ心意気を示せ!~知能で勝負か肉体でもぎ取るか、我らの勇気を今ここに!』が有りますから…」

 「ちょっと待て。……なんだそのやけに長い『頂きへの~』というのは?」
 
 「ああ、この施設の名前ですね。この施設はシリーズ化していまして全て『頂きへの挑戦』とつくんですよ。挑戦者達の間では何処の施設のクリアした者だと分かるとその夜酒場で一晩中語り明かせる事もあるらしいです。しかもクリアした者達が集まる時季もありまして、そのときはクリアタイム、技の美しさを競い会うとか。」

 ……母上。貴方はいったい何を考えて作ったんですか?母の考えがまったく読めずに唸っているとザサは「ノリです。」と一言だけ言い私を困惑させた。
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