Ωの僕がお偉いさん

引っ越し準備

　「サミュエルこれは？」

　「ああそれは置いていきましょう。此方の方が可愛いです。」

　今日はサミュエルのお家に来て引っ越し準備だ。僕らはもっと仲良くなりお互いを“様”なしで呼び合うようになった。まぁ、呼び方についてはその場にあわせて変えるけどね。
　やっぱり王族のお引っ越しというのは持っていくものが多い。それに加えてお世話してくれる人も準備の為に人数が少なくなってるのでこうして僕がお手伝いに来ている。
　やっぱりサミュエルのお引っ越しとなると手伝いは手伝いは誰でも言い訳じゃないでしょ？
　王弟というだけでも限られてくるのにΩだからね。同じΩが一番良い。でもΩって総じてどこか抜けてるので総監督がほしいのよ。そう考えたら僕が最適だからね～。なんせ僕には爺がついてる。
　というわけで、今日の爺はこのお部屋の総監督です。そしてサミュエルのお付きの人と話し会いしてもらってます。

　「ねぇ、ノエルのお家はどんなお家？」

　ワクワクと目を輝かせる様子は可愛いな。年上だけど。

　「僕の家はここの半分くらいの大きさなのでちょっと手狭に感じるかもしれませんよ？」

　そうなのだ。滞在先が僕の家と決まってから僕は大いに悩んだ。だって改修増築をしてはいるけど元があまり大きくない上に元寄宿舎も隣接している。
　だから今回はこの元寄宿舎も活用するよ。

　新しいのに手狭になったのでその役目を終えた元寄宿舎は……なんということでしょう。
　貴賓室を備えた迎賓館へと変貌を遂げたのです！
（ここ、某番組ビフォー　ウニゃにゃにゃラ　のセリフ張で。大事です。）

　今ごろ向こうでは快速挺で帰ったローランド指示の下、家具が入れ換えられているだろう。元牢屋を改装して孤児院をはじめた頃寄宿舎になるときはちゃんとした宿舎を作ろうと計画したがいざ始まると数年で部屋数が足りなくなった。その為、今の宿舎を建てて旧宿舎は客間として管理していたがこの度、迎賓館へと変貌を遂げたのです。

　実はサミュエルとても好みがうるさいらしい。まぁ、お付きの人のお話なんだけど。でもこのお部屋も白で統一されてて素敵。本人は可愛いのが好きというが家具の好みはシンプル調だね。これなら城からも運べる。母様がこういうの好みでよく使うからね。

　「サミュエルのお部屋は３階になる予定。隣はカドラさんね。お付きはカドラさんのお部屋から２つ隣。」

　「えっ！ほんと？カドラと隣？」

　部屋わりを教えてあげると思いも他喜んだ。

　「うん。隣というか扉繋がってるから行き来も出来るよ。それからカドラさんお仕事有るって言ってたから反対側は書斎にしておいた。」

　明日にはアーノルドに渡した追加注文が隼君でスサエナにいくはずだ。ローランドには悪いけど是非頑張ってほしい。……トータも。

　「さぁさ、お2人ともお急ぎ下さい。もう最後の箱を閉めますよ。」

　という爺に僕たちは慌てて最後の荷物を放り込んだ。……サミュエルその枕は手荷物だよ。