Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ネコのようなマオ?

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 「まったく、マオとはよく名付けたものです。本当のネコのように塀に登り隣家へ渡ったり人が通れるとは思えない隙間に入り込んだり…」

 グチグチと爺の愚痴が続く。しかし、爺を撒くとは凄いな。え?最初は2人いた?おかしな事言わないで?人が通れるとは思えない隙間?そんな所を通るの?そういえば前にマオが『洋服汚すとデジレ様に怒られるんだけど、普通に汚れるんだよね』と言ってた。もしかして日頃からそういう場所通っているのかな?

 
・・・・・・・


 ~街中捜索の真実~

 私達のトップである人から爺やさんの指示が伝えられた。
 私は1ヶ月前にようやく“影”のサポートとして入隊する事ができた新入りだ。サポーターとしての働きを認められてはじめて“影”を名乗る事がでる。“影”になるにはまだまだ先は長そうだがどうにかなると思っていた。


 「あっ!」

 サポーターは“影”とは違い常に身を隠している訳ではない。しかし人の印象に残ってはいけないのは当然なので私も他のサポーターと同じく建物の影や一般の護衛に紛れていたはずなのだ。しかし、今、彼は明らかに私を指差して「いい人見つけた!来て来て来て」と言っている。……いや、おかしいだろ。見つかるはずが無いのに。

 「あんたノエルの所の人だろ?ちょっと手伝って!ノエル達と作戦たてて必要な物ができたんだよ。でも頭固いヤツがイロイロ言いそうなの。でもあんたノエルの見方でしょ?っていうことはオレの見方。だからコウ撒くのよろしく!」

 矢継ぎ早にそう言うと長屋のような建物に消えて行った。
 ……どういう事だろうか?しかしノエル様との作戦と言った。ならば私はノエル様に従う物としてコウからマオの行方を眩まさないといけないだろう。
 そう思い行動に移した。まず同じような服装、白シャツに黒ベスト、茶のパンツにサンダル。幸い髪色は同じなのでそのまま。後は歩き方に注意だ。

 コウを屋根の上から探すとすぐに見つかった。市場を駆けずり回っている。わざとコウの目に入りやすいよう横道を横切る。するとすぐに「マオ!」と大声が聞こえたので釣れたとわかった。そのまま市場を駆け、住宅街の塀を登ったり水路を使い撒いた。しかし屋根の上を移動していたとき不意にゾクッとした気配がして足を止めると真下で爺やさんが手招きをしていた。

 ノエル様からの次の指令かと何の疑問もなく降りると……氷のような目の爺やさんだった。
  そう、私はまんまとマオの口車にのせられた……いや、違う。判断を間違えたのだ。マオは確かにノエル様の友人で悪人でもない。しかしマオは……要注意人物だったのだ。

 「……なるほど。理由はわかりました。マオが2人いた理由はそれですか。」

 凛として冷々とした声色は呆れかえって怒りにもならないと言われているも同然だ。今まさに“影”も動員してマオを探しているというのに“影”を助けなければならない自分が場を乱していたとは……。
 自分の行動、考えの甘さに愕然とした。



 「君には罰として5日間の夜勤を命じます。」

 ノエル様に事の報告がなされ、下されたのは5日間の夜勤というとても寛大な罰だった。
 
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