Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アンリの一言が……

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 「母上、落ち着いて聞いてくださいね。いいですね、落ち着いて。」

 そう言い置いてからアンリはノエルに向かってついさっき決めた事を告げた。

「ここから帰りの道中は母上達と船を別れます。」

 一息後、アンリは素早くノエルの口を手でふさいだがあらかたの悲鳴は漏れた。あえて言葉で表したならば『ヒィイイィィィヤァァァァモガァァァ』だろうか。口を押さえられてるから鼻息荒く今も『フゥガァガァハガァア!』となき散らしている。察するに『そんなのダメェ!』だろう。

「母上落ち着いてってば。大丈夫です。お祖父様所有の方に乗り換えるだけです。この船では完全にお客様扱いなので彼方の船で普段の船員の仕事や暮らしを見たいのですよ。」

 『フゥナフフフン!』

「『見なくて良い』?そんなわけにはいかないですよ。この旅は私が将来お祖父様の後を継げるかを確認する旅でしょう?知っておかないと。」

 『フゥウウバハァァ!』

「『渡さない』?って母上……話し合いしたでしょう?私の意思を尊重するって。」

 ペシペシと手を叩かれたので口から離すと、録に息ができていなかったらしいノエルはソファーにグダァーっと伸びた。それでも嫌だという意思は伝えたいらしくずっと首を振っている。

「母上、以前も言いましたけど私は私の力を思う存分にだしたい。能力が無いのならそれも諦めましたが、お祖父様や教師に確認したところ私は別の場所でもやって行けるだろうと言われました。……確かに後にエンジュを助け、傍にいてやる事も選択の中には有ります。ですが、」

「……エンジュが僕の後を次いでアンリの助けを必要とするまでの年数を考えるとって言うんでしょ!わかってる!でも、シモンも離れて行くしリリーも……それなのにアンリまでなんて……。」

 これを言い出され泣かれるとシモン、アンリは弱い。リリーは生まれながら祖母である王妃の元に行くだろうと思われていたし、シモンもそのうち手元から離れるのを覚悟していたがアンリは何処にもやらないと言われていたしずっとそう思ってもた。
……だからこそアンリとしてはジレンマもあったのだが。

「……じゃあ、僕もデジレ様の船に乗る。」

「やめて下さい。移る意味がなくなります。」

 …………。 お互い見つめあいが続いた頃、平行線のままだと諦めてアンリがため息をついた。

「取り敢えず、この島からフールフーガまでは移りますがちゃんと一緒に帰りますから。体験航海するだけですから。」

 今すぐ居なくならい。ちゃんと帰る。そう約束してなんとか渋々の承諾を得た。
 まだぶつぶつと文句だか不満を垂れ流すノエルをいつの間にか集まっていた侍女達に任せアンリは自分に付きっきりでここまでの旅で海の暮らしを教えてくれているコウの腹心の元へ向かった。

 
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