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補給の島
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出航から3日、いたって平和。なにも異常なし。マオが騒がしいのも、子供たちが天使なのも、爺が完璧なのも変わりない。
そんな中、水と果物の補給で1つの島を目指している。名前をマオに聞いたら『補給の島』と言われた。聞いた人間を間違えたと思ってデジレ様に聞いたら、答えにくそうに小さな声で『補給の島』と言われた。……なるほど、名前をつけずに何代も来たわけですね。たぶん航海図にも『補給の島』ってかかれてるんだろうねぇ。
「島には港が無いから沖に停泊して島へはボートでの上陸になるけど、行く?補給の島としては有名だから交易品もあるよ?」
僕は直ぐに「行く!」って答えた。
……うん。ここで『え?ちょっと待って?』って思った人は正解。花丸あげる。
「ちょっと待って!!なんで!やだ!怖いいい!」
ハイ、これ僕の悲鳴。そう、船の乗り降りは縄梯子かロープ。僕は自力じゃ無理でしょって箱に入れられてロープで吊るされて下ろされてるんだけど、もう凄く怖い!左右のロープ2本のみが僕の命綱。箱の縁にしがみつきながらギャーギャー叫びながら降りた。……爺はその横で颯爽とロープで降りてた。
かなり疲れはてた僕がボートに乗せられ、上陸すると先に来ていたマオが冷たい果実ジュースを渡してくれた。さっぱりほんのり甘い柑橘系のこのジュース、気に入ったよ!
ジュースで和んでいたらマオが貝殻のアクセサリーがここの土産物だと言って屋台へ連れていってくれる。
「これ可愛い!ピンクの貝殻のブレスレット?」
「こういうのノエル好きでしょ?」
うんうんと頷いてネックレスやブローチも見る。一番気に入ったのが小物入れだ。
「このお花の形した小物入れ、取手が薔薇だと思ったら貝殻で薔薇を作ってるんだね!」
手のひらサイズの小物入れが気に入った。これ絶対に王都で売れる!絶対、貴族のお嬢様達好きだよ!
「マオ……これ、交渉したい。交易品として。」
爺とマオの動きは速かった。まず爺がマオをデジレ様の元へ走らせて積み荷の許可取り、この島での取り引きになれてる人の手配、いきなり決めた僕への説教を流れるようにこなすと、あっという間に島の物流管理の人と会うことになった。
「綺麗な色でしょ?薄くてスベスベな手触りは最高でしょう?」
何してるかって?勿論、ここにシルクを売り込んでます。向こう側の透けて見えるキラキラのスベスベの生地に島の人は目を輝かせている。
「でね、私はここの貝殻で作ってる小物入れが気に入ったので、こちらを買い付けたいのだけど、どのくらいの量を集められる?」
交易品として大量買い付けと知って係の人は慌てて出ていった。……けっこう楽に安く大量に買えそうです。
因みに、僕の後ろにはなんとデジレ様がドドーンといらっしゃる。なんでもデジレ様は艦隊の中で交渉の役割をお持ちだとかで、自分がいるだけでどこの船の人間かがわかり交渉が容易くなると、付き添いで来て下さったのだけど、よく考えてみたら今の僕って正に『虎の威を借りる狐』じゃない?
……僕が狐か?といえば狐でもないだろうけど。なんだろう?イタチくらいかな?
そんな中、水と果物の補給で1つの島を目指している。名前をマオに聞いたら『補給の島』と言われた。聞いた人間を間違えたと思ってデジレ様に聞いたら、答えにくそうに小さな声で『補給の島』と言われた。……なるほど、名前をつけずに何代も来たわけですね。たぶん航海図にも『補給の島』ってかかれてるんだろうねぇ。
「島には港が無いから沖に停泊して島へはボートでの上陸になるけど、行く?補給の島としては有名だから交易品もあるよ?」
僕は直ぐに「行く!」って答えた。
……うん。ここで『え?ちょっと待って?』って思った人は正解。花丸あげる。
「ちょっと待って!!なんで!やだ!怖いいい!」
ハイ、これ僕の悲鳴。そう、船の乗り降りは縄梯子かロープ。僕は自力じゃ無理でしょって箱に入れられてロープで吊るされて下ろされてるんだけど、もう凄く怖い!左右のロープ2本のみが僕の命綱。箱の縁にしがみつきながらギャーギャー叫びながら降りた。……爺はその横で颯爽とロープで降りてた。
かなり疲れはてた僕がボートに乗せられ、上陸すると先に来ていたマオが冷たい果実ジュースを渡してくれた。さっぱりほんのり甘い柑橘系のこのジュース、気に入ったよ!
ジュースで和んでいたらマオが貝殻のアクセサリーがここの土産物だと言って屋台へ連れていってくれる。
「これ可愛い!ピンクの貝殻のブレスレット?」
「こういうのノエル好きでしょ?」
うんうんと頷いてネックレスやブローチも見る。一番気に入ったのが小物入れだ。
「このお花の形した小物入れ、取手が薔薇だと思ったら貝殻で薔薇を作ってるんだね!」
手のひらサイズの小物入れが気に入った。これ絶対に王都で売れる!絶対、貴族のお嬢様達好きだよ!
「マオ……これ、交渉したい。交易品として。」
爺とマオの動きは速かった。まず爺がマオをデジレ様の元へ走らせて積み荷の許可取り、この島での取り引きになれてる人の手配、いきなり決めた僕への説教を流れるようにこなすと、あっという間に島の物流管理の人と会うことになった。
「綺麗な色でしょ?薄くてスベスベな手触りは最高でしょう?」
何してるかって?勿論、ここにシルクを売り込んでます。向こう側の透けて見えるキラキラのスベスベの生地に島の人は目を輝かせている。
「でね、私はここの貝殻で作ってる小物入れが気に入ったので、こちらを買い付けたいのだけど、どのくらいの量を集められる?」
交易品として大量買い付けと知って係の人は慌てて出ていった。……けっこう楽に安く大量に買えそうです。
因みに、僕の後ろにはなんとデジレ様がドドーンといらっしゃる。なんでもデジレ様は艦隊の中で交渉の役割をお持ちだとかで、自分がいるだけでどこの船の人間かがわかり交渉が容易くなると、付き添いで来て下さったのだけど、よく考えてみたら今の僕って正に『虎の威を借りる狐』じゃない?
……僕が狐か?といえば狐でもないだろうけど。なんだろう?イタチくらいかな?
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