Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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街中へ

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「ねぇマオ、ちょっと聞きたい事があります。」

 僕の横にはデジレ様がこめかみを押さえながら座っている。それに対してマオは朝食のデザートの後に見つけたクッキーを両手に掴んで『ナニ?』と目で聞いてきた。

 うんうん。物を口に入れてるときに喋らないのは良いことだけど、デジレ様はキミのあるじなんだからその態度はダメでしょ。

「マオは今日、僕を案内する事になってたけどどういう手配をしてたの?」

 僕がデジレ様にお願いした時、マオがしてくれていたであろう手配がダメになってはせっかくの予定を狂わせてしまうと思ってそっちも調べてもらった。なるべくならそれに沿って行こうと思って。しかし、その結果わかったのは何も手配がされていないという事だったのでどういう事かとデジレ様と悩んだのだ。

「ん?……てはい?」

 嫌な予感がする。あーぁ、横のデジレ様なんてもう足を組んで額に手をあてて“悩む”のポーズだ。

「……そう。手配。」

「……なんの?」

 ……やっぱり?やっぱりなのか?まさかのまさかなのか?

「……馬車とか、お付きとか。」

「……いる?」

 キョトンとしてるマオを見ると本当に何も考えてなかったらしい。
 やっぱりかぁあ!そんな気はしてたんだよ!
ええ、今回のマオが案内したいと言った時に確認しなかったのが悪いんですよね。……泣くよ?
どこの世界にΩの王族がお付きも無しにフラフラと他国の街を彷徨くんだよ!マオがお付きの役割を果たせるのか?無理でしょ!

 チラリと横のデジレ様を見ればデジレ様は頭を抱えて悩んでいた。……追い討ちかけるの辞めてあげよう。


 馬車の中には進行方向に向かう席にサミュエル様と僕が並んで座り、向かい側にマオとトータが座った。譲り合いが始まると面倒だと思ったけど、トータが一応身分を考えてと言ったので素直に従った形だ。……このトータの言葉は額面通りに受け取ってはいけない。長年の付き合いで言葉の裏を読み取ろう。つまりは『護衛やお付きの人という他人の目のあるところで身分越えた付き合いを見られると後が面倒だからとりあえず身分順で座ってね。』と言ってる。後とは、僕たちへの紹介を頼まれるとかもあるが一番避けたいのはやっかみからのイヤミや嫌がらせだ。トータも成長したなぁ~。

 カタコトと道を進む馬車の中ではまたもや妖しい言葉が飛び交う。

「何が一番欲しい?」

「ノエル様のようなランジェリーを」

「オレも興味ある!」

「じゃあ、そのお店はゆっくり見ようね!」

 ……デジレ様がどんな思いで調べてくれたと思ってるんだ?感謝しなさいよ。

「いい?今から行くところはΩ用の複合型のお店です。下着類、発情期用の必要品の売り場地下一階と二階を貸しきってるけど大声出さないこと!特にマオ、皆の名前呼んじゃダメだからね!
サミュエル様はサミー、僕はエル、トータはトール、マオは……マオのままでいいか。いいね?」

「!!なんて面白そう!私はサミーですね。」

 はしゃぐサミー、ワクワクしてるトール、掘り出し物ないか期待するマオ、不安だらけの僕を乗せて馬車は進んだ。
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